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 (昭和50年)

ダイレクトドライブ38/2トラオープンデッキ
DH-610S
\295,000
■1975年11月



新製品DH-610Sは放送機、業務用機器の技術を駆使した高級ステレオオーブンデッキDH-710/710Sの姉妹機として、基本性能、機能面をうけつぎ、変調雑音やワウ・フラッターの低減並びに忠実度の高い録音、再生を実現する2トラック専用デッキです。
DH-610Sはダイレクトドライブ(ACモーター)による1キャプスタン方式に、テープに理想的な条件を与える電子式テンションサーボ(バックテンション)の採用により安定したテープ走行を図り、しかもテープの安全性にも十分配慮しています。
ヘッドや錦音、再生アンプ、操作などにもDENONの最新技術が活かされ、特にテープの特性を最大限に活かすバイアス・イコライザーの連続可変調整方式はDH-710/710Sと全く同じです。
より高い性能を追求したDH-610Sは変調雑音やワウ・フラッターの低減と高S/N比、低歪率を実現し、極めて忠実度の高い音質を得ていますので、高度なオーディオマニア、音楽フアンの方々に十分満足していただけるものと確信いたします。


【DH-610Sの特長】

DH-610Sは1キャプスタンでありながらテープの安定した理想的なテープ走行を追求し、しかもテープ特性を最大限に活かすユニークな設計で2トラックに徹した高級オープンテープデッキです。

●業務用機の技術と経験が活きている高信頼性メカニズム

1)ダイレクトドライブキャプスタン駆動方式で安定したテープ走行

キャプスタン駆動にはスピード検出に磁気記録再生方式(DH-710/710Sと同じ方式)を採用したサーボ 方式によるダイレクトドライブ方式を使用しましたので回転ムラや振動が少なく、ワウ・フラッター(38cm /s時0.025%以下)変調雑音などの特性が非常に良くなっています。

2)電子式テンションサーボの採用(バックテンション)

バックテンションの採用により録音、再生時におけるバックテンションを一定に保ちヘッドタッチを安 定に保ちます。このため、録音、再生時における供給側テープの巻径によるテープスピードの変動やワウ・フラッター 及び変調雑音の増加がありません。早送り、巻き戻し時もテープ張力は一定に保たれ程よい硬さでリールに巻かれます。

3)テンションアームとインピーダンスローラーの採用でワウ・フラッターは2キャプスタン並み

高感度テンションアーム、インピーダンスローラーの採用でリールの巻ムラやリールモーターの振動に よる高い周波数の振動をも防いでいますのでワウ・フラッターは非常に少なくなっています。

4)スクレープフィルターで変調雑音を低減

スクレープフィルターの採用によりテープの縦振動による変調雑音を減少させています。このためダイレクトドライブの特長とあいまって忠実性の高い音質が得られます。またテープ走行状態やヘッドタッチも常に安定しているため、チャンネル間の位相の変動は非常に少なくなりますのでステレオ定位はより明確になります。

5)業務用に使用されている高性能パーマロイヘッドを採用

トラック幅の広い放送局用硬質パーマロイヘッドを使用しましたので、38cm/s時における低域のあばれ(形状効果)が少なく、高性能録音、再生アンプとあいまってS/N比、歪率(1kHz規準レベルで0.08%以下)も向上していますので、忠実度の高い録音、再生をいたします。

 ヘッド部

6)CUE/PAUSE:レバーの採用

録音、再生中はPAUSE動作に、早送り、停止中はCUE動作になるミューティング・スイッチ(停止中減衰)連動のCUE/PAUSEレバーを採用しましたのでテープの編集等に非常に便利です。

●業務用機の規準に基づいて設計された録音、再生アンプ

1)ダイナミックレンジが広く規準レベルに対して十分余裕のある録音アンプ

P-P回路を使用した録音アンプの最大出力レベルを、業務用機と同じで規準レベルに対して30dB以上(1kHz)の余裕をとりましたので、録音アンプの飽和による歪が録音されることはありません。また、周波数特性、S/N比、歪率の点も大幅に改善されていますので、高性能ヘッドとあいまって忠実性の高い録音、再生をいたします。

2)規準再生レベルが設定できる再生ボリューム

再生ツマミを長線の基準位置(クリックストップ)に合わせることにより、録音レベル、再生レベルをチェックすることができます。(0VU 0.775V出力)

3)最適なバイアス量と録音イコライザー特性を設定できます

バイアス量と録音イコライザー特性を連続可変調整方式を採用していますので、テープ別調整表により前面のBIAS及びEQツマミとVUメーターで、最適なバイアス量とイコライザー特性を設定できますので、リニアリティと周波数特性を最良の状態に設定できます。

4)マイクアッテネーターの採用

12dB減衰するアッテネーター・スイッチがついていますので、マイクの感度や使用状態に合わせて切換 えることが出来、S/N比が良くダイナミックレンジの広いマイク録音ができます。またマイクアンプの余裕度はいずれの場合にも55dBありますので、アンプで飽和することはありません。

5)ピーク・VU指示切替式のレベルメーター採用

レベルメーターは切替スイッチによりピーク指示とVU指示に切換えられますので、最適録音レベルの設定が非常に容易になります。

●キメの細かい設計

1)リールモーター軸の回転検出機構による安全設計

テープをいためないため早送り、巻き戻し中に再生ボタンを押しても再生動作になりません。テープ(リールモーター)が停止してからでないと再生、録音ができないよう設計されています。

2)テンションアームにテープエンドセンサーを連動

テープ走行が終ったとき右側のテンションアームに連動したスイッチによりテープ走行動作(メカニズム)は自動的に停止いたします。

3)リモートコントロール可能

メカニズムパネル面と同じ(5ボタン)操作のリモートコントロールが可能です。

4)マイク回路とライン入力回路とのミキシングが可能です


  • 形式
    • 3モーター2スピードステレオテープデッキ
  • 使用モーター
    • キャプスタン用:6極アウトローター形ACサーボモーター1個
    • リール用:6極ACサーボモーター2個
  • 駆動方式
    • キャプスタン部:ACサーボモーターによるダイレクトドライブ
    • リール部:ACサーボモーターによるバックテンションサーボ
  • トラック形式とヘッド
    • 2トラック2チャンネル録音,再生,(消去フェライトヘッド)(録音,再生ヘッド ハードパーマロイヘッド)(消去フェライトヘッド)
  • 使用リール径
    • 最大10号(26形)
  • 使用半導体
    • メカニズム部:トランジスター34個 ダイオード67個 IC1個
    • アンプ部:トランジスター57個 ダイオード26個
  • テープスピード
    • 38cm/s 19cm/s
  • テープスピード偏差
    • ±0.5%以内
  • ワウ・フラッター
    • 38cm/s 0.025%W.rms以下
    • 19cm/s 0.03%W.rms以下
  • 早巻き時間
    • 10号リール・740mにて約2分30秒
  • 周波数特性
    • 38cm/s 20Hz〜30kHz
    • 19cm/s 20Hz〜20kHz
  • 録音再生補償特性
    • NAB規格
  • 録音バイアス
    • 約180kHzバイアス量は±40%調整可能
  • チャンネルセパレーション
    • 50dB以上(1kHz)
  • 入力
    • マイク 50kΩ不平衡-72dB(ATT OFF)-60dB(ATT ON)(VR最大時)
    • ライン 100kΩ不平衡-22dB(VR最大時)
  • 出力
    • ライン 出力インピーダンス100Ω以下,負荷インピーダンス600Ω以上規準出力0dBm(0VU)0.775V
  • 総合第3調波歪率
    • 1kHz規準レベルにおいて0.08%以下(Scotch♯250テープ使用時)
  • 総合S/N 38cm/s、19cm/s
    • 最大録音レベル(514pWb/mm)に対して66dB以上
    • 規準録音レベル(200pWb/mm)に対して58dB以上
  • 附属品
    • 10号リール×1
    • 10号リールクランパー×2
    • 7号リールクランパー×2
    • リール高さ調整用ゴムシート×2
    • ヘッドクリーニングセット×1
    • ピンコード×2
    • オイル×1
    • ソケットレンチM3用,ビニールカバー×1
  • 総 合
    • 電源 AC100V50/60Hz
    • 消費電力 120W
  • 外形寸法・重量
    • メカ部 470W×385H×270D(mm) 20kg
    • アンプ部 460W×180H×235D(mm) 6.5kg

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