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 (昭和52年)

「音質重視」
「精密 テープ走行メカニズム」
「ダイレクト検出サーボ・2キャプスタン駆動」

カセットテープデッキ
DR-750
\230,000

■1977年11月

DR-750は、優れた音質を得るため、決めてであるテープ走行性と、磁気ヘッドの高性能化を徹底的に追求したカセットテープデッキです。
走行メカニズムは、ダイレクト検出サーボ・2キャプスタン駆動方式を採用し、カセットテープの振動により生ずる変調雑音や、テープ張力の変動によるチャンネル間位相特性を大きく向上させました。また、自社開発センダストヘッドにより、録音リニアリティが優れ、高いレベルまでひずみが少なく、広い周波数帯域にわたってダイナミックレンジの広い録音・再生が可能です。


主な特長

1)DENON独自のダイレクト検出・2キャプスタン駆動方式採用

モーターとメイン及びサブフライホイールを非弾性ベルトで結合しています。
メインフライホイールに、高精度で記録した500個のパルスを磁気ヘッドで検出し、キャプスタンの回転をサーボ・コントロールしています。2つのキャプスタンは非弾性ベルトで結合されているので、伸び縮みや、スリップが非常に少なく安定したテープ走行が得られ、ワウ・フラッター0.04%wrmsとカセットでは限界ともいえる優れた特性を実現しています。
しかも、カセットテープの振動によって発生する変調雑音や、テープ張力の変動によるチャンネル間の位相特性の改善に大きな効果がありますので、大変クリアーで音像定位の優れた音質が得られます。この2キャプスタン駆動部は、高精度で加工されたアルミ鋳物を採用し、入念に調整された各部の性能は長期間、維持されます。
チャンネル間位相特性は、38.2トラ優秀機と同等の優れた特性を得ています。

2)録・再ヘッドに自社開発センダストヘッド採用

録・再ヘッドは、コアー部にフェライトを使い、テープタッチ面にセンダストチップを使っています。このため、ギャップの精度を高くすることができ、しかも高域の損失も少ないので、広い周波数帯域にわたり、ひずみの少ない録音ができます。
再生の場合、精度の高い1μギャップを採用しているので、高い周波数まで無理のない優れた特性が得られます。優れた走行性とあいまってクリアーですなおな再生音質が得られます。
DENONでは、3ヘッドも含めて十分検討してきましたが、テープタッチによるレベル変動、ハーフの影響によるA面B面の録音・再生特性の違い、テープの互換性の問題等を十分考慮した結果、この点、大変有利な録・再兼用2ヘッド方式をあえて採用しました。(2ヘッド方式はアジマス調整等のめんどうな調整は不要です。)

3)テーブセレクター4段・バイアス連続可変調整方式採用

テープセレクターは、LH・FeCr・CrO2とCo(コバルト系)ポジションも設けました。(従来コバルト系テープをクロームポジションで代用すると、感度が高いため、ドルビー録・再で周波数特性にうねりを生ずる傾向がありました。)また、バイアス連続可変調整方式で、各種テープの性能を十分発揮でき、ひずみの少ない最良の録音ができます。

4)優れた走行系をいかす録・再アンプ

録音アンプと再生アンプは独立しています。録音アンプは、十分なダイナミックレンジをもち、録音アンプ内での音質の劣化を極力、防いでいます。
録・再切換には、信頼度の高い双子形金メッキ接点を持つリレーを使って、切換時のクリックノイズを無くすほか、ヘッドの帯磁を防止するため、タイミング回路を附加して、万全を期しています。
再生イコライズアンプは、3段直結による安定性の優れた回路を採用し、使用する部品についてもノイズの少ないものを厳選しています。

5)ヘッドショックを防ぐエアーダンバーの採用

ヘッドアッセンブリは、エアーダンパーの使用で、カセットテープや走行メカニズムに衝撃を与えないよう、また、操作時の衝撃音をなくし、ボタンタッチとともにフィーリング面でも気をくばった設計となっています。

6)テープ保護を考慮したロジックコントロールとフェザータッチ操作釦

REC釦を押すと、録音モニターとなり、録音レベルの調整ができます。さらにPLAY釦を押すと、テープが走行し録音を開始します。
早送りや、巻戻し中からPLAY釦を押すと、自動的にSTOP状態を経由してから、再生動作になるようにコントロールされているので、テープを傷めません。

7)セフティスイッチとテープ残量照明付

カセットが正しく装着されると、セフティスイッチにより、テープ残量照明が点灯します。
装着不完全の時は、セフティスイッチにより、残量照明は点灯せず、しかも、テープを傷めないため、メカニズムやアンプ系は動作しない安全設計になっています。

8)PAUSE/MUTE釦

録音の時、釦を押している間、録音ミュートになり、テープ走行はそのままで音声は録音されません。モニター信号は、レベルメーターに指示され、出力端子にも出ています。
釦をはなすと、ポーズ状態になります。PLAY釦を押すと録音は継続されます。

9)そのほかの特長

A)VU・PEAK指示切換式レベルメーターにより、音声のレベルを適確に知ることができます。

B)ドルビーシステムの内蔵
ドルビー回路は、改良形ICにより、S/N、クリッピングレベル、周波数特性等、あらゆる特性について飛躍的に性能アップされています。安定したテープ走行との組合わせで、'ドルビーNRシステム動作時の音質劣化は、聴感上、まったく感じられない程になっています。

C)タイマー録音・タイマー再生が可能
市販のタイマーを使い、TIMER STARTスイッチをONにすると、任意の時間に録音・再生のスタートができますので、留守時の録音や、セットした時刻における再生等に便利です。(電源スイッチ、入力ボリューム等は動作状態にしておきます)
この時カセットの誤消去防止爪がそのままで録音になり、爪をとった時は再生になります。また、カセットテープの残っている限り何回でも、録音・再生のスタートができます。

D)メモリーリワインド機構
カウンターを 「000」にして、メモリースイッチを押して、録音・再生後、巻戻をする時、カウンターが「999」になると、自動的にストップします。スタート位置まで巻戻すのに便利です。

E)マイク入力とライン入力のミキシング録音が可能
マイク入力ツマミとライン入力ツマミの操作で、ミキシング録音が可能です・マイクプラグをぬくと、マイク回路は動作しないよう考慮されています。

F)MPXフィルタースイッチ付
FMチューナーから録音をする時、パイロット信号の漏れが大きいと、ドルビー動作が狂うので、スイッチをONにします。
ドルビーを使わない時、他のソースを録音する時、および再生時には、スイッチをOFFにします。


DR-750主要規格

■形式:縦形4トラック2チャンネル・ステレオカセットテープデッキ
■使用半導体:
 
・トランジスター・・・74個
 
・IC・・・8個
 
・ダイオード・・・93個
 
・発光ダイオード・・・2個
 
・サーミスター・・・2個
 
・整流器・・・2個
■ヘッド:
 ・録音・再生ヘッド(センダスト)
 ・消去ヘッド(ダブルギャップ・高密度フェライト)
■使用モーター:
 ・DCコアレスモーター・・・1個
 
・DCモーター・・・1個
■テーブスピード:4.8cm/sec
■テープスピード偏差:±0.5%以内
■早送り巻戻し時間:C-60カセットテープにて約70秒
■録音バイアス:約100kHz(バイアス量はクロームテープ位置に対して約+5%〜-65%調整可能)
■総合SN比:65dB以上(CCIR wrms)(DOLBY NRスイッチIN、クローム系テープの1kHz、THD 3%レベルに対して)
■総合第3高調波ひずみ率:0.9%以下(LHテープで1kHz、規準レベル0VU、200pwb/mm時)
■総合周波数特性:
 
・35〜18,000Hz±3dB(クロームテープ)
 
・35〜16,000Hz±3dB(L.H.テープ)
 
 (-20dB MPXフィルタースイッチOUT、ドルビーNRスイッチOUT)
■チャンネルセパレーション:35dB以上(1kHz)
■クロストーク(隔接トラック間):65dB以上(1kHz)
■ワウ・フラッター:0.04%wrms以下(JIS) 0.1%rms以下
■入力:
 ・マイクロホン:-70dB(インピーダンス10KΩ不平衡VR最大)
 ・ライン:-20dB(インピーダンス50KΩ不平衡VR最大)
■出力:
 ・ライン:+2dB(1Vrms、10KΩ負荷時 出力VR最大)適合負荷インピーダンス600Ω以上
 ・ヘッドホン:1mW(適合負荷インピーダンス8Ω)
■アース端子付
■付属品:
 ・ヘッドクリーニングセット・・・1セット
 ・平行PINコード・・・2セット
■電源:AC100V 50/60Hz
■消費電力:38W
■外形寸法:415W×303H×226D(mm)
■重量:約12.5kg


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