Dolby Atmos対応サウンドバー、DHT-S517新製品発表会レポート
コロナ禍の影響により自宅で過ごす時間が増えた昨今、ホームシアター関連製品が人気を集めています。特にサウンドバーは手軽にTVの音を良くでき、サラウンドサウンドも味わえるということで大人気。今回はDolby Atmosイネーブルドスピーカー内蔵サウンドバーのニューモデル「DHT-S517」の発表会の様子をレポートします。
DHT-S517発表会のプレゼンテーションはディーアンドエムホールディングス 国内営業本部 営業企画室 田中が行いました。以下は製品の紹介を担当した田中のプレゼンテーションです。
ディーアンドエムホールディングス本社で行われたDHT-S517の発表会(人数を限定し複数回実施)
Dolby Atmosイネーブルドスピーカーの内蔵により本格的なイマーシブオーディオが体験できるDHT-S517
本日はDHT-S517の新製品発表会にお集まりいただき、ありがとうございます。
今、コロナ禍の影響もあってホームシアター市場は非常に好調です。数年前までデノンはサウンドバーの市場であまり存在感が発揮できておりませんでしたが、2019年12月に発売したエントリークラスのサウンドバー「DHT-S216」が大ヒットとなり、その音質の良さと相まってデノンのサウンドバーの存在感が高まってきています。そんな中、このたび発売となるDHT-S517は、デノンのラインアップとしてはミドルクラスに位置づけられるサウンドバーです。
ディーアンドエムホールディングス 国内営業本部 営業企画室 田中
↑新製品発表会資料より
最近では多くの映像コンテンツが、立体音響技術の一つでありイマーシブオーディオの代表格とも言える「Dolby Atmos」に対応しています。それは映画や音楽だけに留まらず、ゲームなどにも広がっています。実際、Dolby Atmosは現状ですでにNetflix、Disney+(ディズニープラス)、Apple TV+、U-NEXT、ひかりTV、ビデオマーケット、J:COM、さらに音楽系の配信でもApple Music、Amazon Musicが対応しています。
ドルビージャパン株式会社 代表取締役社長の大沢様からビデオメッセージが寄せられた
このようにDolby Atmosのコンテンツが増えてきている今、より多くのサウンドバーを始めとするホームシアター製品をDolby Atmosに対応させることでユーザーの皆様のニーズを叶えることができるとデノンは考えています。
そんな中で発売するDHT-S517は、Dolby Atmosイネーブルドスピーカーをサウンドバー本体に内蔵し、さらにワイヤレス接続のサブウーハーを備えた3.1.2ch構成のサウンドバーシステムです。その最大の特長は、DSP処理のみで作るバーチャルのイマーシブサウンドではなく、実際に上方向に定位する音源を再生するDolby Atmosイネーブルドスピーカーによる、リアルで臨場感豊かな立体音響体験です。
サウンドバー本体には合計7基のドライバーを搭載
ではDHT-S517の製品について具体的に説明します。まずは音質です。
DHT-S517は、デノンならではの高音質を実現するためにサウンドバー本体に合計7基のユニットを搭載しています。フロントはツイーターが25mm、ミッドレンジが楕円形の120×40mmの2ウェイとなっており、それが左右にあります。センタースピーカーは25mmのフルレンジです。セリフやボーカルを再生するセンタースピーカーは非常に重要であり、明瞭なサウンドを実現するためにアルミ製の逆ドーム型のドライバーを採用しています。
↑新製品発表会資料より。合計7基のユニット搭載されている(赤く示された部分)
DHT-S517のスケルトンモデル
DHT-S517のスケルトンモデル 120×40mm楕円形のミッドレンジ(画像左)と25mmツイーター(画像右)の2ウェイ
DHT-S517のスケルトンモデル、25mmセンタースピーカー
ちなみに各スピーカーはチャンネルごとにそれぞれ空気室が別になっています。これはスピーカーの設計として当たり前のことです。我々は総合オーディオメーカーとしてスピーカーも、AVアンプも、そしてHi-Fiコンポーネントも作っており、それぞれの分野で長年培って来たノウハウを持っています。サウンドバーという製品は、スピーカー、AVアンプ、Hi-Fiコンポーネントの技術の結晶のような製品であり、長年それらの製品を作ってきたデノンだからこそ、このクオリティのサウンドバーを実現できたと自負しています。
上方向の音を再生するDolby Atmosイネーブルドスピーカー
次にDHT-S517の本体に搭載された2基のDolby Atmosイネーブルドスピーカーについてご説明します。Dolby Atmosは水平方向に音が広がるだけでなく、上方向からも音が聴こえる立体音響技術です。そしてDHT-S517にはこの上方向からの音を再生するために斜め上を向いたスピーカーが本体上面に設置されています。これがDolby Atmosイネーブルドスピーカーです。Dolby Atmosイネーブルドスピーカーは天井に音を反射させることで上方向の音像定位を実現するものです。Dolby Atmosイネーブルドスピーカーを搭載していないサウンドバーでDolby Atmosを再生する場合、上方向から鳴る音はDSP処理によって作られたバーチャルのサウンドでの再生になりますが、DHT-S517の場合はDolby Atmosイネーブルドスピーカーが実際に鳴らした音なので、よりリアルで迫力ある立体音響を体験できます。
↑筐体の上面の左右に2基、イネーブルドスピーカーが搭載されている(赤く示された部分)
↑本体左右の円形部分がイネーブルドスピーカー
↑本体上部のスリットの部分にイネーブルドスピーカーが搭載されている
テレビの画面を隠さない薄型設計のエンクロージャー
DHT-S517の筐体には、一目見て「デノンのサウンドバーだな」と分かるデザインと、デノンならではの高音質とを両立させるために、さまざまな工夫が凝らされました。まずはエンクロージャー、つまり筐体ですが、高い剛性を実現するためにコンピューター解析を行い、ご覧のようなリブを入れました。これによって非常に強い、強く押してもミシリとも言わない高剛性の筐体を実現しています。
↑筐体の剛性を上げるためのリブ
ちなみにバーの外寸は横幅が1,050mm、高さが60mm、奥行きが95mm。高さを60mmに抑えているので、大体のテレビの画面に被らずに設置できます。横幅はおおよそ49インチから65くらいまでのテレビにあうサイズ感です。今一番売れているテレビのサイズは55インチですが、そのサイズにちょうどいいぐらいの長さとなっています。さらに壁面への設置も可能です。
DHT-S517の壁面への設置例
A4サイズの設置面積で置けるワイヤレスサブウーハー
そしてDHT-S517のサブウーハーですが、こちらは150mmの大口径ドライバーを実装しつつ、A4サイズ程度の床面積で設置できてしまうコンパクトなサイズとなっています。サウンドバーとはワイヤレスで接続し、バー本体との結線は不要です。
ちなみに小さなサイズのサブウーハーで豊かな低音を出すためによく使われるのが、ユニットを下に向けて床面の反射を使う手法です。しかしこの方法を使うと、低音の俊敏さに欠けてしまい、低音が若干遅れ気味になることがあります。DHT-S517のサブウーハーはそれを避けるために正面にドライブユニットを搭載しています。ですからサブウーハーは縦置きでも横置きでも音質、安全上は問題なく使うことができます。ただ、横置きにした場合のフットは付属していません。またバスレフポートについてはDHT-S517のために新設計を行い、フレアというラッパ型の形状を前後で継いだ一体成型としました。これによってバスレフでよく起きる「風切り音」を大幅に低減しています。
↑風切り音を防ぐために新開発されたバスレフポート
多彩なフォーマットに対応し、音質を重視したピュアモードも搭載
対応フォーマットについては、Dolby Atmos、Dolby TrueHD、Dolby Digital、Dolby Digital Plus、そしてリニアPCM 7.1chにも 対応しています。また日本でホームシアターを楽しむのであれば必須と言えるNHKなどが正式に採用しているMPEG-4 AACにも対応しており、PCMなどに変換することなく、ダイレクトに受けることができます。
↑新製品発表会資料より
再生モードはMOVIE、MUSIC、NIGHT、PUREの4モードがあります。特に注目していただきたいのがデノンのサウンドバーならではの「PUREモード」です。これはデノンのサウンドフィロソフィーである「Vivid & Spacious」を実現するための高音質モードです。HDMIから入力された音声信号は、通常デコーダーでPCM信号に変換され、さらにサウンドモード毎に異なるイコライジングやアップミックス、バーチャルサラウンド処理を経てアンプに入力されますが「PURE」の場合は、アップミックスやバーチャルサラウンド処理をバイパスしてそのままアンプに信号が送られます。そこでの音作りはデノンのサウンドマスターである山内が作り上げるわけですが、今回も山内が非常に長い時間をかけて検討を重ねており、デノンならではのVividでピュアなサウンドに仕上がっています。
発表会にはデノンサウンドマスター山内も登壇
以上でプレゼンテーションは終了し、ここからは試聴室に移動しての実機の試聴をしていただきます。
Dolby Atmosに対応した様々な映像作品を再生し、DHT-S517の表現力を試聴
田中のプレゼンテーションの後は、ホームシアター用試聴室に移動してDHT-S517の音を実際に試聴となりました。まずはステレオの音楽音源をPUREモードで試聴。DHT-S517の基本的なサウンドのクオリティの高さを体験していただきました。
音楽ソースでの試聴の後は、Dolby Atmosに対応した映像コンテンツで頭上をヘリコプターが飛び交う戦闘シーン、左右を車が走り抜けるレースシーン、重低音で唸るエンジンのサウンドなどを体験。サウンドバーとは思えない迫力と、バーチャルサラウンドとはひと味違う上方向からのDolby Atmosイネーブルドスピーカーのリアルなサウンド、そしてサブウーハーが別体となっているサウンドバーならではの重低音が味わえました。
サブウーハーはフロントにスピーカーユニットが搭載されているタイプなので、横置きも可能※。スペースに応じて柔軟な設置が行えます。
※横置きにした場合のフットは付属していません。
試聴後はプレス関係者から質問が数多く寄せられ、デノン初のDolby Atmosイネーブルドスピーカー搭載サウンドバーDHT-S517への関心の高さがうかがえました。
Dolby Atmosイネーブルドスピーカーの搭載で「上から音が降ってくる!」というイマーシブサウンドが体験できるDHT-S517。ぜひお近くのお店で、迫力のある高音質なデノンサウンドをご体験ください。
(編集部I)