Dolby Atmos®(ドルビーアトモス)対応のBlu-ray「ØMI LIVE TOUR 2022 “ANSWER…”」をサウンドバーDHT-S217、DHT-S517で聴いてみた
なんと、ØMIさん(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)のライブツアーを収録したBlu-ray作品「ØMI LIVE TOUR 2022 “ANSWER...”」が、Dolby Atmos試聴ソフトとしてデノンのサウンドバーの試聴可能店の一部で使われることになりました。今回は、Blu-rayソフトのDolby Atmos音源の制作に携わったエンジニアの米津裕二郎さんと藤島敬弘さん、そしてDolby Japan株式会社の関川直美さんと菅原孝介さんをデノン試聴室にお招きし、その聴きどころやサウンドバーの試聴の感想などをうかがいます。
(写真左より)
TOHOスタジオ株式会社 ポストプロセンター ポスト部 ポスト課 テクニカルクルー 藤島敬弘さん
Dolby Japan株式会社 ライセンス&エコシステム マネージャー 菅原孝介さん
レコーディング ミックス エンジニア 米津裕二郎さん
Dolby Japan株式会社 マーケティング・マネージャー 関川直美さん
DH-S217
DH-S517
ØMI(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE / Vocal)
【公式ウェブサイト】https://www.hiroomi-tosaka.com/
Dolby Atmosについては、デノンブログのエントリーをご覧ください。
Dolby Japanのライセンス&エコシステム ディレクター 鈴木さんに「Dolby Atmos®(ドルビーアトモス)」について聞いてみた
Dolby Atmosで、ライブ会場にいる以上の圧倒的な臨場感を味わっていただきたい
●米津さんと藤島さんはDolby Atmos対応のBlu-ray「ØMI LIVE TOUR 2022 “ANSWER…”」の制作にどのような形で関わったのでしょうか。
米津:私が主にライブ演奏の部分のサウンドのDolby Atmosミックスを担当し、藤島さんには、ステージの幕間で何カ所か登場する映像部分のDolby Atmosミックスやオーディエンスへの効果音の処理などを担当してもらいました。
●今回Dolby Atmos対応の映像作品となったのはどうしてですか。
米津:最初にØMIさんの所属事務所であるLDHさんからオファーがあったとき、コロナ禍でのツアーだったため、感染が心配だったり、実際に感染してしまってライブ会場に来られなかった方がたくさんいらっしゃいました。そういう方々のために、実際にライブ会場に足を運んだのと同じか、あるいはそれ以上の満足感が得られるような作品にしたいというお話がありました。ØMIさん側としても、一歩踏み込んだプレミアムな作品を作りたいという気持ちがあったのだと思います。それならば臨場感にあふれるイマーシブな音響が実現できるDolby Atmosを使うのがいいのではないか、ということでDolby Atmos対応の作品となりました。
レコーディング ミックス エンジニア 米津裕二郎さん
●Dolby Atmosでの収録となると、今までよりたくさんのマイクが必要だったのではないでしょうか。
米津:そうですね、音源のDolby Atmos化には必ずしも多くのマイクでの収録は必須ではありません、ですが今回は収録スタッフ陣にもご協力いただいて、通常のライブ会場での収録の約3倍、24本くらいの録音用マイクを立てました。
●Dolby Atmosのような立体音響は、具体的にはどのようにミックスしていくのですか。
米津: Dolby Atmosの「良いミックス」には、僕自身はある明確なラインを持っています。具体的に言うと、自分を包んでいる音の半球があるとすると、その半球の面に音が置かれているのではなく、半球の内側の空間が音で埋まっている、というイメージになる瞬間があるんです。そこをめざしてミックスします。ただ何をどうしたらそこに到達できるのかという決まったルートはなくて、いろいろ試行錯誤して、いい感じになったなと思った時には、自分を包む半球の空間が音できれいに満たされているという感じです。
幕間の映像音源とライブ会場の音声をシームレスにつないだ、映画とライブの中間のような作品
●「ØMI LIVE TOUR 2022 “ANSWER…”」の内容的な部分でおすすめポイントを教えてください。
米津:ツアー前にリリースしたアルバム「ANSWER…」のコンセプトである「光と闇」というテーマがこのツアーにも引き継がれていて、ライブの幕間の映像が「光と闇」というコンセプトを示す重要な役割を担っています。単にツアーのライブであればライブ音源がDolby Atmosで、幕間の映像は2ミックスでも成立すると思いますが、今回は幕間の映像も重要なテーマを持っていると思ったので、映像は藤島さんにDolby Atmosでミックスしてもらい、こちらで仕上げたDolby Atmosのライブ音源とシームレスに融合させることで、映像とライブの切れ目のない、お客さまがその世界に没頭できるような映像作品を目指しました。結果的にライブの臨場感や生音感も堪能でき、幕間の映像作品のときは映画館にいるようなサウンドが体験できますので、ライブに来られなかった方はもちろんですが、実際にステージを見た方も、もういちどじっくりと世界観が楽しめる作品に仕上がったと思います。
藤島:ライブ作品でありながら、一本の映画、全体を一つの映像作品として捉え、音響構成をしました。このBlu-rayでは、幕間映像部分にも演奏部分と同じぐらいの重きを置いています。映画のような迫力、エンターテイメント性の高い映像とライブシーンが合わさることで「シネマライブ」ともいうべき作品に仕上がったのではないかと思います。効果音や息づかいなども元の素材を供給してもらい、それらを再構築して、ライブと映像をシームレスにつなぎ合わせています。
TOHOスタジオ株式会社 ポストプロセンター ポスト部 ポスト課 テクニカルクルー 藤島敬弘さん
「ØMI LIVE TOUR 2022 “ANSWER…”」は、「またライブに行きたい!」と思える臨場感を体感できるサウンドが味わえる
●Dolby Japanのお二人は、すでに御社のデモルームで「ØMI LIVE TOUR 2022 “ANSWER…”」をご覧になっていらっしゃるそうですね。作品の印象はいかがでしたか。
関川:私自身、三代目 J SOUL BROTHERSさんのファンで、今回Dolby Atmosで発売されると聞いて、リリースをすごく楽しみにしていました。この取材に先立って弊社で拝見しましたが、冒頭や終わりの音の激しい部分、ライブ中の激しい曲の部分はDolby Atmosが非常に効果的で、アリーナの一番いい席に居るんじゃないかというくらい臨場感がありました。静かなピアノの曲も、効果音と伴奏がマッチして、フワッと包まれるような中で歌声を聴くことができました。実際のライブ会場では、もしかしたら聴き逃してしまいそうな効果音もしっかり聴こえて、それぞれの音が際立つ、リアル以上の体験ができる作品だと感じます。
Dolby Japan株式会社 マーケティング・マネージャー 関川直美さん
菅原:私は個人的ØMIさんのしっとりしたバラードのとき、ライブ会場のぴあアリーナの広がり感とDolby Atmosの空間を描く力がマッチしていて、Dolby Atmosのポテンシャルが際立っていたと感じました。個人的にもここ最近の2年ほど、コロナ禍でライブに行けてなかったのですが、「またライブに行きたい!」と思える臨場感でした。同じようにライブイベントから遠ざかっていたお客さんも、現場ならではの熱気を、Dolby Atmosで改めて体感いただけたのではないでしょうか。
Dolby Japan株式会社 ライセンス&エコシステム マネージャー 菅原孝介さん
テレビの音だけじゃもったいない! ぜひデノンのサウンドバーのサウンドを体験してほしい
●それでは実際に「ØMI LIVE TOUR 2022 “ANSWER…”」を、デノンのサウンドバーDHT-S217とDHT-S517でご試聴いただきたいと思います。最初に聴いていただくDHT-S217は、デノンのサウンドバーではエントリーモデルです。Dolby AtmosとロスレスのDolby TrueHDまで対応しながら、実売では3万円を切る価格帯を実現しました。サブウーハーを内蔵したワンボディのベストセラーモデルです。ではご試聴、よろしくお願いします。
サブウーハーを内蔵した1バータイプのDHT-S217
米津:(「ØMI LIVE TOUR 2022 “ANSWER…”」を試聴して)これは、ワンバーとは思えないサウンドですね。
●デノンのサウンドバーが評価された理由の一つが音質の良さで、バーチャルサラウンドなどの処理を行わない「ピュアモード」を搭載しています。その「ピュアモード」をご試聴いただけますか。
藤島:(ピュアモードで試聴して)あ、これいいですね。
米津:バーチャルの処理がされてない素直な音だから、こっちのほうがスタジオの音っぽくて聴きなじみがあります。
●(幕間に流れる映像で)「ムービーモード」にしてみていいですか。
藤島:(ムービーモードを試聴して)ロー・ミッドがリッチになりますね。いい感じになります。
米津:ぼくもいいと思います。ミキシングした立場で言えば、DHT-S217でバランス的にいいなと思うのは、この「ムービーモード」と「ピュアモード」です。ちなみにモードではどんな部分が変化するのですか。
●「ムービーモード」と「ミュージックモード」では、「ムービーモード」のほうが、音場が広がる感じになりますね。「ピュアモード」は、音を加工しないので音の情報量が増え、各音がよりくっきり明瞭に聞こえるのだと思います。
米津:試しに、サウンドバーを通さないテレビのスピーカーで鳴らすことはできますか。
(テレビの音を5秒程度試聴して)あ、わかりました。もういいです(笑)。これはもう、ぜひサウンドバーを買っていただきたいです。
あと、サウンドバーを買ってもDolby Atmosで再生していないケースもあるようなので、そこも気をつけてほしい点です。Blu-rayディスクはセットしたデフォルトの状態だと、再生フォーマットがDolby Atmosになっていないことが多いんです。ですからBlu-rayディスクをセットしたらトップメニューから音声に行って、再生方式で「Dolby Atmos」を選択して再生するようにしてください。そうしないと再生フォーマットがステレオになってしまいます。
●ありがとうございます。続いて、DHT-S517を試聴していただきます。DHT-S517はサブウーハーが別体タイプであること、そしてDolby Atmosの特徴の一つである上方向の音の再生を上向きに設置されたDolby Atmosイネーブルドスピーカーで実現するので、Dolby Atmosが本格的に楽しめます。それでは、「ピュアモード」「ムービーモード」「ミュージックモード」それぞれでご試聴ください。
DHT-S517 左右のスリット部分が上向きのイネーブルドスピーカーが搭載されている
藤島:「ピュアモード」のほうが上方向の音を感じますね。この価格帯で上方向からの音をしっかり認識できているのは、すごいなと思います。
●DHT-S217は上方向の音はバーチャルサラウンドでしたが、DHT-S517はイネーブルドスピーカーで実際に上向きの音を再生しているので、きちんと聞こえます。
米津:なるほど。僕はDHT-S517では「ピュアモード」「ムービーモード」「ミュージックモード」の3つともいいと思いました。制作者としては「ピュアモード」が一番イメージに近い音ですが、他の2つのモードもお客さんがそれぞれのお好みでサウンドを楽しんでもらえればいいと思います。自分の好みのモードを探してみてほしいです。DHT-S217との比較でいえば、サブウーハーがあることで低音の再生能力は全く違ってきますね。ローがこのぐらい出ると、より臨場感あるサウンドで楽しめると思います。
DHT-S517の別体サブウーハー。ワイヤレスで接続でき横置きも可能
●Dolby Japanの菅原さんと関川さんはDHT-S217とDHT-S517をあらためて試聴室で聴いてみていかがでしたか。
菅原:私はDHT-S517の記者発表に参加させていただいたので、そこで聴いた時から大絶賛しているんですけど、今日改めて聴かせていただいて、やはり安定感がすごいと思いました。弊社のデモルームにある天井スピーカー付きの7.1.6chのシステムで聴いたのと同じくらいのインパクトを感じましたし、今日改めて聴いて、デノンさんならではのピュアモードは、音の艶感もよく出ていると思いました。
関川:デノンさんのサウンドバーは弊社の試聴室にもあるので音は聴かせていただいていましたが、今日は初めて製品別に解説付きで試聴させていただきまして、それぞれの製品の素晴らしさをあらためて認識させていただきました。特にDHT-S217はこの価格でこの音っていうのは、本当にお買い得だと思いました。個人的には、DHT-S517で聴いたØMIさんのライブ会場の臨場感がすごかったです。
●最後に、店頭でサウンドバーDHT-S217とDHT-S517を試聴するお客さまに、米津さんと藤島さんからワンポイントアドバイスをお願いします。
藤島:ライブの演出でよく使う爆発音って、会場のマイクで収録するとただの「パンッ」っていう乾いた音になるんですね。会場なら音が大きいのでそれでもいいんですが、家で観る時は物足りないので、臨場感を出すために音を加えるといった工夫しています。そういった細かい効果音にもこだわっているので、そのあたりもぜひ注意して聴いていただきたいです。ライブの臨場感のポイントはサウンドだと思うので、ぜひサウンドバーで、Dolby Atmosの迫力ある音を体験してもらいたいと思います。
米津:サウンドバーの音だけを聴くと「いい音だけど、オーディオ機器だから当たり前だよね」っていう感想で終わってしまうと思うので、テレビからの音とぜひ聴き比べてもらいたいと思います。僕たちもミキシングの時に、チェック用としてサウンドバーでも聴いてます。制作サイドのような音響環境や本格的なホームシアターをお持ちの方の再生環境だけでなく、一般のお客さまの視聴環境でもリアルで迫力のある臨場感を感じてもらいたいからです。もし人生の2時間を費やして映画やライブなどのコンテンツを楽しむのなら、テレビの音で体験するのはもったいないです。ぜひサウンドバーなどのいい音で映像作品を楽しんでほしいと思います。
●本日はお忙しいところありがとうございました。
「ØMI LIVE TOUR 2022 “ANSWER…”」試聴可能店舗はこちら
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(編集部I)