サウンドバー Denon Home Sound Bar 550でDolby Atmosコンテンツ「ザ・ビートルズ: Get Back」を視聴してみた
サウンドバーDenon Home Sound Bar 550を使って、Disney+で配信中のビートルズのドキュメンタリー映画「ザ・ビートルズ: Get Back」を視聴してみました。本作はビートルズが50年以上前、1969年1月に行った「ゲット・バック・セッション」の模様を記録したフィルムを現代の技術で修復&再編集。音声フォーマットは今話題の立体音響、Dolby Atomosが採用されています。全3部構成、約8時間もの長編映画です。
ビートルズ解散前の貴重なフィルム
ちょっと前置きが長くなってしまいますが、ざっくりと映画の内容と背景をまず記したいと思います。ビートルズの映画「ザ・ビートルズ: Get Back」は、1969年1月30日に行われたビートルズ最後のライブパフォーマンス「ルーフトップ・コンサート」開催までの約1カ月の間に行った「ゲット・バック・セッション」の様子を追ったドキュメンタリーフィルムです。
この「ゲット・バック・セッション」は、もともと1970年に公開されたビートルズの映画「レット・イット・ビー」用に撮影されたものでした。この映画「レット・イット・ビー」はメンバーがバラバラになり、解散に向かうビートルズの姿を記録したもの、というネガティブな印象が強い映画でファンの間でもあまり評判はよくありませんでした。
ビートルズが解散したのは1970年。映画「レット・イット・ビー」が公開された年で、「ルーフトップ・コンサート」が行われた翌年にあたります。今回の「ザ・ビートルズ: Get Back」は、「レット・イット・ビー」では使われなかった映像を含めた、約60時間に及ぶフィルムと150時間の音声テープから、熱心なビートルズファンである映画監督のピーター・ジャクソン(代表作は「ロード・オブ・ザ・リング」三部作)が制作を手がけ、2021年11月にDisney+で公開されました。全3部構成、約8時間にも及ぶ長編映画で、実際に行われた「ルーフトップ・コンサート」の様子はパート3におさめられています。
ちなみに「ルーフトップ・コンサート」は、コンサートと銘打っていますが、ロンドンの中心部、メイフェアにある高級紳士服店が集中している通りで有名なサヴィル・ロウにあるアップル・コア社(1968年にビートルズによって設立された会社)の屋上で行われた、公開録音でした。
私(編集部S)はビートルズが解散し、ジョン・レノンがこの世にいなくなった後に生まれたので、ビートルズといえば60年代を駆け抜けた世界的大スターで、誰もが知っている名曲を作り、そしてそのほとんどをポール・マッカートニーとジョン・レノンが手掛けた、といったことぐらいの一般的な知識しかありませんでした。今回映画を観て、関連する情報をいろいろ追ってみて初めて知ることが沢山ありました。たとえば解散の理由にオノ・ヨーコが絡んでいるとか、ジョージ・ハリスンがグループ内では軽く見られていたとか。とにかくネタにつきないビートルズですが「ザ・ビートルズ: Get Back」を観ると、今でも人気がある理由、色あせない魅力が少しだけ分かったような気がします。
「ザ・ビートルズ: Get Back」からは、少なくとも「レット・イット・ビー」で言われているようなネガティブなイメージはほとんど感じませんでした。途中でジョージ・ハリスンがグループを抜けると言ってスタジオから出て行ってしまうくだりでは、『それもバンドを組んでいたらありそうだよな』という自分の身近な出来事のように感じました。そう感じてしまうのはあの時代に神のような存在だった(?)ビートルズを知らない世代の視点というのもあるかもしれないと思いますが、他に大きな要因として、映画化にあたって復元された鮮やかな映像と音声があげられます。
50年以上前に撮影したとは思えない映像と音声
ピーター・ジャクソン監督は映画化にあたって16㎜フィルムに残された50年以上前の映像を、鮮やかな映像に復元しました。さすがに「今年撮影した」とは言えませんが、少なくとも90年代ぐらいに撮影したのかな? という具合の映像クオリティに仕上がっていて、50年以上前に撮影されたものとはとても思えません。
音声については、当時モノラル録音された音声から、AIを用いたプログラムで特定の人の声や楽器の音だけを取り出し、会話と楽器の音を分離した上でミキシングされています。Disney+で対応しているサラウンド音声フォーマットはDolby Atmosですので、Denon Home Sound Bar 550で再生すれば、ビートルズの映像が最新の立体音響で楽しめる、というわけです。
音については、特にそれぞれのメンバーの声に驚きます。ビートルズの映画でここまでメンバー各々の肉声が入った作品は過去にないのではないでしょうか。そして、それが鮮明に聞き取れるのです。全編通してほぼスタジオでのシーンになりますので、映像としては地味なのですが、Denon Home Sound Bar 550の包み込まれるようなサラウンドサウンドで、だんだんと自分もそのスタジオの中にいるような、スタッフの一員になったような気分になってきます。さらにDenon Home Sound Bar 550で声やボーカルを聴きやすくする「ダイアログエンハンサー」を「HIGH」にすると、会話がよりクリアに聞こえますので、メンバーがすぐ近くで話しているような、距離の近さを感じることができます。ぜひビートルズファンの方には試して欲しいモードです。
サウンドバーのモードを切り替えてビートルズを楽しむ
音楽については、パート3で出てくる「ルーフトップ・コンサート」以外は、ほぼセッション場面ですのでまるっと完成した曲を聴けるシーンは実はありません。メンバーそれぞれがときにナーバスになり、ときに不穏な空気を漂わせ、ときには冗談を言い合い、音楽を生み出していく姿、このセッションからあの数々の名曲が生まれたんだなと思うと、歴史が生まれる瞬間を目撃しているようでもありました。
私が特にいいなと思ったのは「I ME MINE」という曲です。個人的には、ジョージ・ハリスンが作った曲をあまり知らなかったのもあり、初めて聴いてビートルズっぽくないなという印象を受けました。パート1の中のジョージがこの曲を作ったきっかけやどこでインスピレーションを得たかを語りながらメンバーに披露するシーンで、いいんじゃない? みたいな雰囲気で盛り上がっているところにジョンだけが冷たい反応を示したところ(後にオノ・ヨーコと踊るぐらいには気に入ったように見えますが)、ここをシアターモードにしてみると、ちょっとしたドラマのある映画的なシーンとして楽しめました。Denon Home Sound Bar 550ではサウンドモードがいろいろ切り替えられますので、モードを切り替えながら聴き比べをしてみるのも楽しいですね。
そしてピュアモードで視聴したのが、パート1の後半に出てくる「Let It Be」のセッション。言わずもがなの名曲です。レノン・マッカートニー名義になっていますが事実上はポール・マッカートニーが作詞作曲したということで、セッションのシーンでもポールが中心となって演奏をしています。まだ完成しきっていない曲を合わせつつ、ああでもないこうでもないと会話を重ね、セッションならではのアドリブも入り、形になっていく流れが、ピュアモードで視聴するとよりナマっぽさが前面に出てきます。曲のぬくもり、温度感みたいなものがぐんと迫ってくるのが面白かったです。
そしてミュージックモードで楽しんだのは、パート3のほとんど最後のシーン「ルーフトップ・コンサート」です。映画のタイトルにもなっている「Get Back」のいくつかのテイクから「Don’t Let Me Down」と続くライブ演奏を観ていると、それまでのスタジオでのセッションがすべてこの瞬間のためにあったのだな、というのがよく分かりますし、通常であれば音がこもって単調に聴こえるモノラル録音だったはずの音源を、Dolby Atomsで聴けることの喜びを感じる演奏でもありました。
(オフィシャル ルーフトップパフォーマンス)
Denon Home Sound Bar 550のミュージックモードで再生すると、リビングを満たすような迫力のサラウンドサウンドでビートルズが聴けて、50年越しでフレッシュなビートルズを体験しているな、という不思議な興奮に包まれました。ビートルズが屋上で演奏している合間合間に、人だかりができたサヴィル・ロウで街の人たちにインタビューしているシーンが挟みこまれるのですが、その映像の音声も一つひとつがクリアで、いちいち驚いてしまいます。
観る前は長い映画だし、特にビートルズの熱狂的ファンというわけでもないから観れるかな? と心配しつつ、観始めると面白くなって結局最後まで観てしまいました。
こうした昔の映像作品が、現代の技術で美しく蘇った配信コンテンツは、今回のDenon Home Sound Bar 550を通して視聴したように、その魅力やすごさをきちんと伝え切ることができるサウンドバーなど、ホームシアターがあるだけで、その体験が一段と良いものになると思います。過去のコンテンツが過去ではなくなる、魔法のような技術を十分に堪能できます。よかったらぜひ体験してみてください!
(編集部S)