ステレオ・スマートスピーカー 2機種体験レポート「Denon Home350とDenon Home250を聴いてみた」
Denon Homeシリーズの最も大きなスマートスピーカーDenon Home 350。このスピーカーとその弟分とも言えるDenon Home 250を、音楽ライターのシブヤモトマチさんがデノンオフィシャルブログでレビューしてくれました。
左:Denon Home 250 右:Denon Home 350
高音質のストリーミング音源を再生できるスマートスピーカーを聴いてみたい!
デノンブログでは何度か執筆しております、シブヤモトマチと申します。音楽リスナーです。ジャンルを問わず、新譜を中心に新しい音との出会いを求めていて、たまに音楽紹介の記事も書いています。そんな私の日々の試聴に欠かせないのが音楽ストリーミング・サービス。移動時や屋外ではイヤホンやヘッドホンでSpotifyやApple Musicなどを聴いていますが、じっくりと聴きたいときは、やはり部屋でスピーカーを鳴らしたいもの。そこで、数年前に他社製のモノラルBluetoothスピーカーを買いまして、自宅では、主に音楽ストリーミングの再生用にこのモノラルスピーカーを使っています。
そんな私のところに、デノンブログ編集部から連絡がありました。聞けばDenon Homeというシリーズのスマートスピーカーの2機種を同時体験してみませんかというありがたいオファーです。自分はオーディオについて詳しくはないのですが、音楽のヘビーリスナーとしての率直な感想を! ということなので、それならとお引き受けしました(両機種ともステレオで再生ができ、しかもAmazon Music HDのような高音質音源も聴けると知って、ますます聴いてみたくなりました)。
ということで、新たに発売されたのDenon Home 350と、少しコンパクトなDenon Home 250の2台を、さっそく試聴してみました。
さて、これから2台の感想をレポートしていきますが、私の結論を先にお伝えしますね。
Denon Home 350もDenon Home 250も、音楽好きならきっと欲しくなるスピーカーです。とくに音楽ストリーミング・サービスをクオリティの高い音で楽しみたい方におすすめです。音の広がりとくっきり感は大きいサイズのDenon Home 350に分がありますが、基本的なサウンドの方向性は同じです。ワイヤレススピーカーとしての楽しみ方もいろいろ。あとは空間と用途に合わせてどちらのサイズにするか、という選択になると思いました。
では、主にDenon Home 350を中心に、Denon Home 250も合わせて聴いてみましたので、そのファースト・インプレッションを「採れたて」の状態でお伝えします。両機種のどちらにすべきか迷っている方や、ワイヤレススピーカーのことがちょっと気になっている方、また、新しい音楽体験を求めるリスナーのみなさまの参考になれば幸いです。
Denon Home 350
設定は本当に簡単。あとはHEOSアプリで操作
箱を開けると梱包材は驚くほど少なくて、再生紙材の最小限の緩衝材で上下からカバーしてある程度。これはエコですね。Denon Home 250は背面に凹部があり、そこに指先をかけて、もう一方の手を本体に添えれば取り出しも簡単。Denon Home 350の方はもう少し大きなボディで、こちらは両手でしっかりと持って取り出す感じですが、もちろん持ち運びは楽にできます。
置いてみると、両モデルともチャコールグレーのファブリックで、ミニマルなデザインがいい感じ。どんなインテリアにもすっきりと馴染みそうな印象です。Denon Home 250はコンパクトで、横幅は295cmとほぼA4用紙の縦サイズ、奥行きは120mmなのでCDの幅よりも短い! オープンシェルフなどにもすっきりと収まるので、気分と使う場所に合わせて自由に置き場所を選べそうな予感がします。一回り大きなDenon Home 350は基本的にテーブルや台の上に据え置きする感じでしょうか。もちろん、350も移動可能ですが、250に比べると若干置き場所を選ぶかもしれません。しかし、奥行きは180mmと、こちらも非常にコンパクトです。
Denon Home 250の設置イメージ
Denon Home 350の設置イメージ
Denon Home 350もDenon Home 250も、ワイヤレス・オーディオ・プラットフォーム「HEOS」を搭載していて、Wi-Fiへの接続や各種の設定、再生等の操作は「HEOS」アプリ(無料)から行います。Amazon Music HD、AWA、Spotify、SoundCloudなどの音楽ストリーミング・サービスに対応しています。また、インターネットラジオのTuneInも聴けるので、世界のスポーツ実況やインターネットラジオ局の音楽番組が楽しめます。(各ストリーミング・サービスをお楽しみいただくにはアカウントの登録や、有料プランの契約が必要です)
……これは楽しみ! さっそく、スマートフォンにHEOSアプリをインストールして、セットアップしてみました。
Denon Home 350の設置イメージ
基本的にはアプリの指示に従ってセットアップをするので、思っていた以上に簡単でした!
詳しい設定の方法は、デノンブログの下記のエントリーをぜひご参考に!
「Denon Home 150を自宅で使ってみた」
あとは、HEOSアプリの「ミュージック」タブからお好きな音楽サービス、あるいは再生したいUSBメモリーなどのメディアやAUX外部入力を選べば準備はOKです。
再生、停止、音量(+/-)、好きなコンテンツに素早くアクセスできるクイックセレクトなどの操作はスマートフォンだけでなく、本体の上部にあるタッチボタンでもできます。この写真では出荷時のステッカーが貼られていますが、一見すると天面は真っ黒で何も表示されない状態です。しかし、手をかざすと操作ボタンのアイコンが光って現れるという、ちょっとうれしい演出があります。センサーが検知してバックライトが光るのだそうですが、この辺も新しい時代のスマートなスピーカーという感じがします。
バランスのいい再生音に、胸がザワザワ。
音量の大小を問わず、いい音が楽しめる
Denon Home 350、Denon Home 250の両方でいろいろなアルバムを聴いてみました。両機種に共通して言えるのは、音の解像力が高いわりに音質がまろやかで、とにかく聴いていて疲れないということです。
まずは静かなアルバムをと、ECMレコードの2010年作、ギタリストのラルフ・タウナー(ギター)とトランペット、フリューゲルホーン奏者パオロ・フレスのデュオアルバムを聴いてみました。
アーティスト名:ラルフ・タウナー(Ralph Towner)&パオロ・フレス(Paolo Fresu)
アルバム・タイトル:「Chiaroscuro」
最初は、いつも聴いているSpotifyで。Spotifyの場合は、Spotifyのアプリの左下のスピーカーのアイコンをタップすると、「お使いのデバイス」という画面が出てくるので、そこでDenon Homeデバイスを選んで再生します。
バランスがいい。さすがに、2wayのステレオ・スピーカーです。低音から高音までのバランスがよく、1台なのに空間にステレオサウンドが広がります。とくに感じたのは中低音が豊かな点。個人的に好みの音で、アコースティックな楽器でも、エレクトリックでも温かみと細かなニュアンスを感じられます。ラルフ・タウナーはこのアルバムでは曲によって12弦ギターとバリトン・ギターを持ち替えていますが、とくにバリトン・ギターのふくよかな低音の響きと艶がよく引き出されていると感じました。
驚いたのは、HEOSを通してAmazon Music HDで聴いたときです(実は、今回初めてAmazon Music HDを試しました)。HD対応の音源を聴くと、クラシックギターの低音弦の響きはもちろん、E/B/Gのナイロン弦の音色が明らかに変わりました。フリューゲルホーンの伸びやかな高音に応えるようなギターのアルペジオの響き、自然なサステインが耳に残ります。気持ちいい!
Amazon Music HDには、曲によって高音質のHD(CDと同等の44.1 kHz / 16 bit)と超高音質のUltra HD(48 kHz / 24 bit ~ 192 kHz / 24 bit)の2種類のロスレスオーディオがあります。
アーティスト名:ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)
アルバム・タイトル:「Come Away With Me」
ご存じ、最近来日公演を行ったノラ・ジョーンズ、2002年の大ヒットアルバムです。各楽器の音が立体的で、とくにノラの柔らかなボーカルとピアノが美しく、コントラバスとドラムスともに厚みをもって聞こえてきます。しかし、解像度が高くても輪郭は比較的まろやかなのでずっと聴いていられます。
なおAirPlayでApple Musicのロスレスオーディオも試してみました。音のまろやかさがあって、とくにボーカルとピアノ音の質感が明らかに違いました。スピーカーの作りがしっかりしているので、こうしたいい音でストリーミング音源を聴けるDenon Homeシリーズいいかも! と思いました。
両モデルの音の違いについて、感じたことを。
Denon Home 350は2基の大口径のサブウーファーを搭載していてパワーに余裕があるせいか、音量を上げたときの迫力がすごいです。とくに感じたのは中低音の分厚さとクリーンさ。私の自宅は賃貸マンションなので上げられる音量には限界がありますが、戸建住宅や広々とした空間なら、さらに余裕でいい音を鳴らしてくれそうです。例えばホーム・パーティーなどでも活躍しそう。
Denon Home 250は、コンパクトなボディで高音質なステレオサウンドを鳴らしてくれるので、比較的小さな空間で真価を発揮しそうな気がします。そうそう、夜更けにできるだけ小さな音で鳴らすテストをしてみたところ、Denon Home 350、Denon Home 250ともに、ベースやボーカルもしっかりクリアに聞こえましたが、とくにDenon Home 250は極小のボリュームにしたときに解像度の高さを感じました。
余談ですが、スマートフォン側の音量ボタンで「+/-」の操作をすると、思ったより音量が大きくなったり、あるいは小さくなりすぎたりということがありますが、本体の天面タッチ操作でなら、無段階とはいきませんが、かなり繊細な音量調整ができました。
あとは、Denon Home 350には空間系の音響の再現に強みがあるように思いました。ジャズ・ヴィブラフォンの期待の星、ジョエル・ロスの最新作「The Parable Of The Poet」、その1曲目に「PRAYER」という曲がありまして、これがヴィブラフォンの音がロータリースピーカーのように左右に揺れて鳴るトレモロ効果が特徴的で、非常にメロウで美しいナンバーなのですが、この曲あたりはDenon Home 350で聴くと、残響の広がりとステレオ感を強く感じました。
アーティスト名:ジョエル・ロス(Joel Ross)
アルバム名:「The Parable Of The Poet」
Denon Homeシリーズは、Amazon Alexaも内蔵していて、スピーカーに直接話しかけて音声での操作もできます(アレクサが話してるのかわいい! いまさらですが、これがスマートスピーカーか~!)。Denon Home 350とDenon Home 250は、音楽好きの「聴いてみたい」気持ちをくすぐる、うれしい機能満載のスマートスピーカーでした。
Alexaその他の機能についてはデノンブログの以下のエントリーもぜひご覧ください。
「Denon Home 250を自宅で使ってみた」
シブヤモトマチ プロフィール
コピーライターとして企業のプロモーション、広告制作業務に携わるかたわら、音楽や映画、展覧会など国内外のカルチャー全般に興味があり、執筆や個人的な制作活動も行っています。ジャズ、南米、ロックなど音楽は何でも聴きますが、とくに新譜に興味あり。音楽が好きな人と音楽の話をするとライフが少し回復します。ペンネームの由来は通勤区間から。