デノンカスタマーサポートDが無人島に持ち込む究極の一枚とは?
無人島に1枚だけCDを持って行けるとしたらどれを選ぶ? と唐突に突きつけられる究極の選択、名付けて「無人島CD」。今回は社内でクラシックオタクと囁かれているカスタマーサポートのDさんにお願いしました。孤島という限界状況で聴きたいのは、なんと動物たちの音楽だそうです!
こんにちは!クラオタ疑惑があるらしいカスタマーサポートジャパンのDと申します。
あの世に持っていきたいCDはいくらでもありますが、行き先は無人島…。孤独が苦手な私が自ら望んで行くことはまずなさそう、はて、ならば島に幽閉された状況で生き延びるのを助けてくれる1枚を選びましょう。
ということで、私が選んだのはこちら。
アーティスト名:小澤征爾
アルバム・タイトル:プロコフィエフ:ピーターと狼/サン=サーンス:動物の謝肉祭&ブリテン:青少年のための管弦楽入門
現実逃避し、音楽物語のファンタジーの世界に身を委ね、今ではもう失ってしまった子供ならではの好奇心から得られるポジディブなエネルギーを自身の中から呼び起こし乗り切ってしまおう!という作戦であります。
指揮の小澤氏は言わずと知れたあの「世界のオザワ」です。
音楽監督に就任して19年目の1992年、ボストン交響楽団との録音で、マエストロ自ら日本語で全編ナレーションを担当、その素朴な語り口はまるで「おじいちゃんが絵本を読んでくれている」ようであり、ファンタジーへの入り口の扉を開け、背中を押してくれるのです。
「ピーターと狼」(1936)は、 プロコフィエフ(1891-1953)が子ども達にオーケストラの楽器を紹介する為に作曲した作品で、勇敢なピーター少年が狼を捕まえるまでを描いた音楽物語です。登場人物たちはイメージの合う楽器でそれぞれ表現されており、ここでボストン響メンバーのソリストとしての力演を存分に楽しむことができます。
物語の最後、ナレーターは「耳をすましてみて下さい。アヒルが…」と語って終わります。もしかすると、作家は「耳をすます」をいう行為を伝えたかったのかもしれません。耳をすまし、心を澄ますと無人島でも何かワクワクできることが見つかりそうな気がしませんか?
「動物の謝肉祭」(1886)は、サン=サーンス(1835-1921)が友人の夜会のために作った曲ですが、他の作曲家の有名曲が毒のあるパロディ一としてたくさん散りばめられており、「これ、大丈夫なの?」と、著作権がある今の時代を生きるワタクシ、聴く度に思うのです。オッフェンバックの「天国と地獄」(某カステラのテレビCMの音楽ですね)を始め、ラモー、ベルリオーズ、メンデルスゾーン、ロッシーニ、民謡や自分が書いた他の曲までもアイロニカルに使用しているのですから。御本人は生前に出版を拒んでいたそうなので、かなり意図的に作ったのではないでしょうかね。
そんな14曲からなる組曲ですが、有名な“美しい音楽“の「白鳥」、TVコマーシャルやドラマ「のだめカンタービレ」でしばしば使用されたミステリアスな「水族館」、などもあり、自分のおもちゃ箱を開ける時の様に、中に何が入っているか知っていながら、何度聴いても私にとってはとびきり楽しい楽曲なのです。
最後の仕上げにブリテンを聴くと、オーケストラの迫力はエネルギーを与えてくれ、同時にボストン響の優れた特徴であるマイルドな音は、孤独な心を癒やしてくれるでしょう。
さて、動物たちの音楽を聞いたらきっと自然を満喫したくなりますよ。大きな麦わら帽子をかぶり、釣り竿を担いてタ~ンタ~ララッタタ~ン♫と、ピーター少年のテーマを歌いながら海辺に出かける自分の姿が浮かびます。