AVR-X3800H、AVR-X2800H、AVR-X580BT、Denon Home 350発表会レポート
デノンの2022年モデルのAVアンプ「AVR-X3800H」「AVR-X2800H」「AVR-X580BT」とスマートスピーカーの新製品「Denon Home 350」。今回はその発表会の様子をリポートします。
デノンの2022年モデルのAVアンプ「AVR-X3800H」「AVR-X2800H」「AVR-X580BT」とスマートスピーカー「Denon Home 350」の発表会はディーアンドエムホールディングス本社において、人数を限定し複数回実施されました。製品発表会のプレゼンテーションはディーアンドエムホールディングス 国内営業本部 営業企画室 田中が行いました。以下は製品の紹介を担当した田中のプレゼンテーションです。
新製品発表会はディーアンドエムホールディングス本社で行われました(人数を限定し複数回実施)
エントリーモデルながら、シンプルな回路構成を生かして徹底した音質重視設計が施された「AVR-X580BT」
今日ご紹介させていただくデノンの新製品は4モデルあります。AVアンプが3モデル、そしてネットワークスピーカーが1モデルです。順番にご紹介させてください。
ディーアンドエムホールディングス 国内営業本部 営業企画室 田中
最初にご紹介するのは、エントリーモデルのAVアンプ、AVR-X580BTです。製品コンセプトはシンプルで、「サラウンド体験をもっと手軽に」ということです。AVR-X580BTはデノンのAVアンプとしては最もお求めやすい価格になっています。そしてデノンの他のAVアンプとはちょっと立ち位置が違っていて、HEOSなどのネットワーク機能は非搭載、Dolby Atmos、DTS:Xにも対応していません。とにかく最もシンプルな5.2チャンネルのサラウンドAVアンプとなっています。
エントリーモデルであるAVR-X580BTですが、対応フォーマットは大きく進化しました。最新の8Kに対応。また4つすべてのHDMI入力が8K/60Hz、4K/120Hz対応、最新の映像コンテンツに対する著作権保護技術「HDCP 2.3」にも対応しました。音声フォーマットとしてはロスレスサラウンドフォーマットDolby TrueHD、DTS-HDに対応しており、サウンドトラックのマスター音源のクオリティをそのままホームシアターで楽しめます。
AVR-X580BT リアパネル
この価格帯のものは、リビングの音楽再生用アンプとしてもご活用される方が多いと思います。AVR-X580BTはBluetoothに対応しており、スマホやタブレット、PCなどとワイヤレスで接続可能です。さらにハイレゾ音楽ファイルにも対応していて、フロントパネルのUSB端子経由でハイレゾ音源が楽しめます。
AVR-X580BT
さて、AVR-X580BTの製品の特長ですが、シンプルなエントリーモデルには、エントリーモデルなりの提案のしかたがあると我々は考えました。
AVR-X580BTは機能が絞られていて構成が最もシンプルですから、シンプルな基本設計を生かした、ミニマムシグナルパス、つまり信号経路の最短化が行えます。それによって信号の鮮度が高いまま、スピーカーへと流し込むことができます。そのための作り込みは「これはAVアンプですか?」というぐらいHi-Fiアンプのようです。
具体的に言うと、たとえば信号ラインの出力インピーダンスを可能な限り低減しています。これはどういうことかと言いますと、インピーダンスを下げ、なるべく抵抗なく、信号の鮮度を保ったままスピーカーへ送り届けるということです。2つ目は、ワイヤーツイスト、ビスの選定、緩衝材などを見直し、耐圧を考慮した部品選定を行って、全体の作りこみを徹底していることです。また大容量カスタムコンデンサーや、大型カスタムトランスフォーマーを採用することで余裕のある電源供給を実現しました。弊社のパーツ調達能力を生かして良質なコンデンサを大量に使い、まるでHi-Fiアンプのような作り込みを行うことで、エントリークラスでありながら極めて音質にフォーカスした設計を実現しました。
これらによってAVR-X580BTはデノンのサウンドフィロソフィーである「Vivid & Spacious」を実現しています。
デノンAVアンプの3つのフィロソフィーを体現した「AVR-X 2800H」「AVR-X 3800H」
引き続き、その上位モデルであるAVR-X 2800H 、AVR-X 3800Hの紹介をさせていただきます。
AVR-X 2800、AVR-X3800HからはデノンAVアンプの3つのコンセプトである「ザ・ワールド・ファースト」、「ストレートデコード」、そして「フォー・オール・カスタマーズ」が製品の柱となります。
まず「ザ・ワールド・ファースト」。AVアンプの世界は新しい規格が次々と出てきます。常にその最新規格に対応し、お客様に最新の作品を最良のフォーマットで楽しんでいただきたい。「このソフトはうちのAVアンプに対応しているのかな」とお客様が余計な心配をしなくてもいいAVアンプを作っていきたいということです。
そして「ストレートデコード」、これは以前のホームシアターは音を加工し、それらしい雰囲気を出すことが多かったと思います。しかし近年はサラウンドフォーマットが非常に進化し、音も良くなっています。ですから音を加工するのではなく、記録された音をそのまま出すことが、本当のいい音をお客様に提供できるだろう、ということです。
最後の「フォー・オール・カスタマーズ」は、充実したコネクティビティとユーザビリティを意味します。
またパワーアンプのチャンネル数ですがAVR-X 2800Hが7ch、AVR-X 3800Hが9chです。AVR-X 3800Hのプロセッシングチャンネル数は11.4chです。サブウーファーが4個、本当に必要なのか、という話なんですけども、「指向性」モードで実際に聴いてみると重低音が移動するという、今までにない体験ができます。そして対応フォーマットですがDolby Atmos、DTS:Xは両方とも対応。さらにAVR-X 3800HはAuro-3D、IMAX-Enhanced、MPEG-H 3D Audio(360° Reality Audio)にも対応しています。
AVR-X 3800H
AVR-X3800Hに搭載された新機能としては、最新のDSPであるグリフィンライトXPを新規採用しました。これは独立した 4系統のサブウーファープリアウトを装備した11.4ch プロセッシングチャンネルに対応する演算能力が必要となったためです。もう1つの機能がプリアンプモードです。プリアンプモードは以前のモデルにも搭載されていましたが、従来のプリアンプモードはオンかオフかの2種類しかありませんでした。つまり、全チャンネル一括してプリアンプモードにするものでしたが、AVR-X3800Hではチャンネル個別に指定できるようになりました。ですからフロントのステレオだけはプリアンプモードを使う、という用途も可能です。
さらに有料アップグレードでの対応ですがAVR-X3800は、音場補正機能のDirac Liveに対応しています。デノンは、一貫してAudysseyを採用してきましたが選択肢の一つとして、Dirac Liveも選べるようになりました。
デノンならではの高音質なサウンド「Vivid & Spacious」を実現
さて肝心なAVR-X2800H 、AVR-X3800Hの「音」はどうなのか。ここでもやはりデノンのサウドコンセプトである「Vivid & Spacious」がさらに推し進められています。
具体的に何をしたかというと、AVR-X2800HにはAVR-X1700H時に共同開発したカスタムパワートランジスタを使用しています。またコンデンサーもオーディオグレードのものを要所要所で大量投入しています。これは弊社サウンドマスターの山内が「Vivid & Spacious」を実現するためによく使う手法です。さらに、信号ラインのインピーダンスの低減、ワイヤリングの見直し、信号経路のミニマイズ、そして出力段に高性能なオペアンプを追加するなど、さまざまな手法を使ってかつてない高音質を実現しました。
AVR-X 2800H
HDMI端子については、AVR-X3800Hは全部で6入力を装備していますが、全てが8Kに対応しました。AVR-X2800Hは6入力のうち、3入力が8K対応です。出力は2系統ですが、このクラスで2出力あるというのは、他にはなかなかありませんので、この辺りはAVR-X3800H、AVR-X2800Hをお選びいただく選択基準の一つになっているかなと思います。
また両モデルともHEOSによるネットワーク機能も搭載されていますので、SpotifyやAmazon Music HDなどのストリーミングサービスに対応しています。ですからこれをリビングに置いておけば、家族全員が楽しめるAVアンプになっています。さらにハイレゾ、DSD、音楽ファイルの再生、そしてWi-Fi、AirPlay、Bluetoothなどのワイヤレスオーディオにも対応しています。Bluetoothは送信もできますので、深夜にBluetoothヘッドフォンで楽しむこともできます。
最後にデノンのAVアンプ全体の話をさせていただきます。ありがたいことに、 AVアンプカテゴリにおいて、デノンは5年連続でブランド総合シェア1位をいただきました。デノンのAVアンプがどういう使われ方をされているかと言いますと、マルチチャンネルで使われているのがほとんどです。まさにホームシアターの王道です。「最新の技術と卓越したエンジニアリングで、最高のマルチチャンネルサラウンドを」というデノンAVアンプのフィロソフィーが評価されており、いわゆる「ザ・ホームシアター」として楽しんでいただいていると自負しています。
プレゼンテーションに引き続き、デノン試聴室で試聴会が実施されました
各モデルで、ステレオ音源、サラウンド音源、Dolby Atmosによる立体音響の試聴が行われました
Denon Homeシリーズのスマートスピーカーとしては最大モデル「Denon Home 350」
続きまして、スマートスピーカー、Denon Home 350の説明をさせていただきます。Denon HomeのスマートスピーカーにはこれまでDenon Home 150、Denon Home 250がありました。その他にサウンドバーのDenon Home Sound Bar 550とサブウーファーのDenon Home Subwooferがあります。ここに新たにDenon Home 350が加わります。
具体的な機能ですが、Denon Home 150はコンパクトなモノラルスピーカーです。Denon Home 250はステレオ再生が可能で、低音再生用にパッシブラジエーターを搭載しており、サイズを超えた低音を実現しました。Denon Home 350も同じくステレオ再生が可能で、さらに大型の165mmの大口径&ロングストローク・サブウーファーを搭載しており、より迫力ある低域再生が行える、Denon Homeのスマートスピーカーとしては最も大型のモデルとなります。
DENON HOME 250のホワイトモデル(左端)、右手前Denon Home 150、右奥Denon Home 350
Denon Home 350の機能としては、既に発売している150、250と同じです。つまりHEOSアプリを使って簡単にAmazon Music HDなどのストリーミングサービスやインターネットラジオ、ローカルネットワーク上の ミュージックサーバーやUSBメモリーに保存した音源などの多彩な音源が再生できます。さらに AirPlay 2やBluetoothにも対応しており、スマートフォンやタブレットから手軽に音楽を楽しめます。そしてAmazon Alexaを搭載しているので、スマートスピーカーとしてお使いいただくこともできます。
Denon Home 350
ではDenon Home 350の最大の特長はなにか。それはズバリ「高音質」です。Denon Home シリーズの中で最大のサイズであり、その分、回路設計やパーツ選定での制約が少ないモデルでした。Denon Home 350は実はアメリカ・ヨーロッパで先行して発売しておりまして、音質面で特に高い評価を得ています。
Denon Home 350のスピーカー構造
Denon Home 350とDenon Home 250はいずれもステレオ構成で形状もよく似ていますが、最大の違いはウーファーです。ドライバー構成は左右それぞれに20mmトゥイーターと50mmミッドレンジ・ドライバーが配置されています。ウーファーは165mmの大口径&ロングストローク・サブウーファーを背中合わせに配置しています。
サブウーファーは強力な磁気回路によって駆動されるため、ユニット自体が大きな振動源となりますが、背中合わせに対向配置することで、振動エネルギーや歪を打ち消しあい、非常に透明感の高い低域を再生することができます。振動もほとんど起こりません。そのため非常にクリアでタイトなよりHi-Fiライクな音に仕上がりました。
Denon Homeシステムは、HEOSアプリで他のDenon Homeシリーズの製品と連携でき、さまざまなシステムがフレキシブルに組めるところも特長です。
ご存じの通り、ストリーミングサービスの利用者数は右肩上りで、すでにロスレスやハイレゾでのストリーミングサービスも行われております。今後は利用者数がどんどん増え、ますますこういったスピーカーの需要は高まると思います。Denon Homeシリーズはそうしたニーズにデノンならではの高音質なサウンドでお応えできるスマートスピーカーであると思います。ぜひデノンのHi-Fiオーディオの技術とノウハウを継承したDenon Home 350をはじめとするDenon Homeシリーズで、より多くの方に、よりいい音で音楽を楽しんでいただきたいと思っています。
本日はありがとうございました。
(編集部I)