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防音ルームで贅沢にヘッドフォンが試聴できる「AVAC ヘッドホン横浜」に行ってきた
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日本全国でホームシアター関連製品の販売を手掛けるAVAC(アバック)に、高級ヘッドフォンが試聴体験できる専門店「AVAC ヘッドホン横浜」がオープンしたとのことで、デノンブログ編集部で行ってみました。お店のコンセプトやラインアップについて菅原義純店長にインタビュー。しっかりと防音が施された試聴室も必見です!
▼当時AVAC新宿本店の店長だった菅原義純さんへのインタビューはこちら
株式会社アバック 横浜店 菅原義純店長
他の専門店とは違うアバックらしい取り組みを
―アバックといえばホームシアター製品を中心とした高級オーディオショップですが、なぜヘッドフォン専門店を作られたのか、そしてなぜ東京にではなく横浜だったのか、そのあたりから教えてください。
場所に関しては、最初からここに出そうというより、アバック横浜の地下にあるスペースを有効活用するためにどうしようか、というところから始まりました。実は以前から、ヘッドフォンも少し取り扱っていたんですが、展示スペースは無くオンラインショップのみの販売でした。
ここ数年、ヘッドフォン市場が広がってきている中に参入していきたいとずっと思っていましたが、後発ですので、他の専門店さんや量販店さんと同じようなことをやるより、アバックらしさを出したいと考えていました。ほかの専門店さんは催事場などを中心にプロモーションされていることが多いのですが、音を聴く場所としてはなかなか厳しい環境です。
このスペースはもともと防音で作っている部屋です。弊社で扱うヘッドフォンはハイエンドのものに絞っていましたので、製品の良さをきちんと出すことを考えると、ちょうどこの環境とマッチするのではないか、とコンセプトが固まりました。その流れで、このスペースを使ってハイエンドのヘッドフォンの、ちょっと他にはない贅沢な試聴室を持ったお店を出すことになりました。
―取り扱う製品をハイエンドモデルに絞った理由は何ですか。
限られたスペースでやれること、そしてこの防音の環境を活かすことを考えると、しっかり価格帯を設定した高級ラインに絞ることになりました。
―ここに並んでいる製品は大体いくらくらいのものなんですか。
価格帯は、10万円以上というコンセプトなんですが、10万円以下の製品もあります。デノンさんのAH-D7200は10万円を切りますが、クオリテイを考慮しますとグレードとしてコンセプトに合っておりましたので置いています。お店に置いてあるヘッドフォンの数は全部で30台弱ぐらいですね。
―それは1台ずつセレクトしているんですか。
そうですね。メーカーさんとの商談の中で、この部屋のコンセプトをご理解いただいて、しっかりパートナーシップを組めるブランドの製品で、このあたりなら自信を持っておすすめできるというものを選んでいます。
―「購入する前にまず試聴してもらう」、というコンセプトですね。
アバックが扱うホームシアター製品全般の流れに似ているかもしれないですね。とくに、高価格帯の製品はきっちり試聴し、納得して購入していただきたいというところ。
我々としては、SNSの情報だけを見てネットでカゴから買うのではなく、やっぱりいい製品はちゃんとした環境で聴いた上で買っていただきたいという思いがあります。そのコンセプトはホームシアター製品と同じです。
ヘッドフォンだけで音楽を聴いている方が非常に多い
―ホームシアター製品を買いに来るお客さんと、ヘッドフォンを買いに来るお客さんの層は被るのでしょうか。
ご来店頂いたお客様は新規の方がほとんどで若い方が多いです。
―音楽を聴くのにスタンドアローンで耳にかけるだけのものと、たくさんのスピーカーを使うのでは確かに違いますね。
我々はこれまでホームシアター製品やオーディオ製品の取り扱いがメインでリアルにスピーカーを置き、ご試聴いただくというような製品販売が主でした。
ヘッドフォンはオンラインショップでの販売が中心で、店舗では展示していませんでした。
ですが、よくよく考えると、スピーカーもヘッドフォンも同じ音を聞く製品ですので、(試聴するコンテンツが)「映画」でも「音楽」でも音を楽しむのは同じだな ということに気づきました。
つまり、今まではヘッドフォンをアバックとしてお客様へしっかりご案内できていなかったんだと思います。
―なるほど。そういう方はこれまでアバックさんとしてリーチしていなかったお客さんなのですね。
そうですね。今までのアバックのホームシアターのお客様とは違う、新しいお客様に来ていただいていますので、我々としてももちろんしっかり取り組んで、いい製品をご紹介していきたいと思っています。
―お客さんはどんな感じの方がいらっしゃるんですか。
比較的若い方が多いですね。先日、とあるメーカーさんのヘッドフォンの発売に向けて先行試聴会のイベントを行いました。購入イベントじゃなくて、あくまでも発売前の製品の試聴というイベントだったのですが、若い方が多かったです。年齢層的には20代から30代くらいですね。
―若い人もハイエンドモデルを購入していくんですか。
さすがに1台数十万円するような製品を、これを買いに来ましたといって、ポンと買っていく若い方はあまりいないですけど、まず聴ける環境がなかなかないので、一度聴いてみたいっていう場合はありますよね。ですので、それが可能な環境を作って、ご提供したいと思っています。
―なるほど。この場所がこれまでと違う層のお客さんが来るきっかけになっているんですね。
日本の家庭事情を考えると、ホームシアターとしてスピーカーを置いてきっちりと聴いたり、大きな音で鳴らすことができなかったりする環境の方も多いですよね。近所迷惑になるとか、音響の問題が出てきます。ヘッドフォンですとその心配がありませんからね。
―おっしゃるように家に十分な(リスニング)環境がないからヘッドフォンを使うというのもあると思いますが、若い人に話を聞くと、ヘッドフォンで音楽を聴くというスタイルそのものにニーズがあるような気もします。スピーカーが置けるスペースがあったとしても、ヘッドフォンの方がいいっていう感覚が結構強いのかな、という感じもします。
それもありますね。オープンエアのヘッドフォンなんかいいですよね。完全に密閉じゃなくて、ちょっとスピーカーに近い感覚で聴けます。でもそうなると、今度は購入前に聴く環境が難しい。量販店のようにBGMなどのいろんな音楽が流れたり、お客様がいっぱいいる中でオープンエアのヘッドフォンで試聴するとなると、他の音まで入ってしまいますのでなかなか難しいです。
―確かに周りがうるさいとちゃんと評価できませんね。
ですので、このお店で試していただくと音だけを聴けて、より正確なモニタリングができます。特にオープンエアのヘッドフォンはご自宅に近い環境でご試聴いていただけると思います。
試聴が一番多いのはデノンのAH-D9200
―デノンのヘッドフォンはAH-D7200とAH-D9200の2台を置いていただいてますが、評価はいかがですか。試聴したいというお客さんもいらっしゃいますか。
このお店自体が始まったばかりですし、横浜という立地で来店くださるお客様が多いわけではないですが、でも、その中でもご試聴が一番多いのがデノンさんのAH-D9200なんですよ。決してデノンさんのブログの取材だからではありません。
―本当ですか。それは嬉しいです。AH-D9200は20万円弱ぐらいでしょうか。
そうですね。この価格帯ですとまず試聴をしてから「自宅に近い環境で聞いてみたい」というのがあると思います。それでわざわざ横浜まで来ていただいてるんだと思います。
ハウジングに竹を使っていて、見た目もきれいですよね。綺麗に響く高音や派手過ぎない低音含め、ナチュラルな音は自宅でリラックスして長時間聞いていられる良いヘッドフォンだと思いますよ。
―試聴したいと思ったらふらっと来てもいいんでしょうか。
試聴できる人数が限られていますので、完全予約制にしています。最初に聴いてみたいヘッドフォンを2台選んでウェブサイトからご予約ください。
―その時にデノンが選ばれているんですね。
他のヘッドフォンと比較対象としてデノンを聴かれる方が多いですね。
―流れとして、まずお店に来てから受付などを済ませて、奥の試聴部屋に行くんですか。
そうですね。その前にスタッフは予約時に入った試聴機やその他機材などの設定や準備をしています。
1回30分。自分だけの世界に浸って試聴可能
―至れり尽くせりですね。試聴室はどんな風になっているんですか。
この防音扉の向こうに2部屋あって、それぞれの部屋に2つの小部屋(試聴部屋)があります。防音ルームの中に、さらに1人用の防音ルームがある構造になっていて、まさに「ルームインルーム」なんです。
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手前の防音扉を開くと中に試聴用の小部屋がある
―試聴用の部屋に使われている素材がすごく軽いですね。
これは「かるーむ」という製品なんです。もともと生け花などで使われる緑色のスポンジを作っていた会社さんが、スポンジに吸音効果があることを発見したらしくて、こういった製品を作って展開したそうです。
防音ルーム「かるーむ」
―もともと何に使われているものなんですか。
もともとは楽器用ですね。コロナ禍とかで、家の中で楽器を弾きたい人が、練習用に購入されてたっていうのは聞きました。ただ実際はそこまで高い防音性はないようです。
ただ、中に入ってもらうと分かるんですけど、普通の防音ルームって圧迫感があってあんまり居心地よくないんですね。けど、これはそこそこ圧迫感を緩和してくれるので、普通の防音ルームに比べると環境が少し良くなっている感じですね。中に入ると吸音がかかっているのがすごく分かっていただけると思います。
―1回の予約で何分くらい試聴できるんですか。
基本的には30分単位でお願いしています。
―自分のヘッドフォンを持ってきて比べるとか、そういうこともあるんですか。
禁止はしていませんが、今まであまり見たことないですね。音源を持ち込む方もいらっしゃいます。
―音源が入ったデータですか?
音源を持ち込まれる場合は、USBメモリに入れてお持ちください。
―(実際に中に入って試聴してみて)確かにちょっとここに入るとワクワク感がありますね。すごく静かで、部屋の中でひとりじっくり浸れる感じが嬉しいです。
例えばアニソンをガンガン店内で聴くのが恥ずかしい、とかってやっぱりあるんですよね。自分が好きで聴いている音楽を、誰の目も気にしないで聴ける、というのはすごく嬉しいですよね。なんとなく、ハイエンド商品を使っている方はクラシックとかジャズを聴いているイメージが強いですが、ヘッドフォンが好きな方ってアニソンも含めて幅広く聴いている方が多いんです。この防音室の中にはスタッフも入りませんので、ひとりだけでじっくりとお好きな音楽を聴いていただけます。
―完全にひとりなんですね。
そうですね、自分だけの世界に入っていただけます。外側の扉を閉めて二重にするとほぼ何も聞こえないですね。
高級ヘッドフォンの聖地を目指して
―お客さんからの反響はどうですか。
防音環境で聴くこと自体が初めてで、自分だけの空間で好きな音楽を楽しむことができて、さらに製品本来の音をきっちり聴くことができてよかった、と言っていただけることが多いです。我々のコンセプトが、お客様にもお分かりいただけて嬉しいです。
―ヘッドフォンもいろいろなメーカー、価格帯で違いがあるので面白いですよね。
音がダイレクトに入ってくるので、エントリーモデルでもそれなりのインパクトがあると思います。単純に低音が出る、高音が出るとかだけじゃない、音の質などもオーディオに近いと思うんですけど、ハイエンドモデルになると音の深さが違いますね。もちろんメーカーさんによって音の作り方も違います。
―お客さんは若い方が多いとおっしゃっていましたが、安いからヘッドフォンで入って、そのうちアンプを買ってスピーカーを揃えて・・・っていうより、ヘッドフォン自体が好きだから、高いヘッドフォンにどんどんグレートアップしていくっていう方も多いかもしれませんね。
本当に入り込める、自分だけの世界を頭の中で聴けるというのは、スピーカーとは違う楽しさですよね。ですので、このお店があることで、普段はホームシアターの環境を好んでいる方がヘッドフォンに触れていただく機会もできました。逆にヘッドフォンが好きな方には、我々が今までやってきたスピーカーの音も聴いていただき、うまく双方向に効果があると嬉しいです。
―こうしてずらっと並んでいるとデザインの違いも分かりやすいですね。
選びに来る方は、機能もそうですけど、デザイン性も大事に思ってらっしゃいますよね。日常で使うものですし。
―そうですね。デノンの開発者に話を聞くと、やっぱり顔に近いので、デザイン、質感や色味、素材、フィット感などすごく重視されています。こういう形態でやられているヘッドフォン屋さんは他にあるんでしょうか。
今のところ他にはないとは聞いています。ここまでの環境を作るのは簡単ではないですからね。
―「高級ヘッドフォンの聖地」として全国から多くの方が詣でにくるいいですね。
そうですね(笑)。本当にそうなったら嬉しいです。
(編集部S)
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