シネマサウンドを極めるもう一つの「A」、デノンの新しいAVアンプ「AVC-A10H」発表会レポート
デノンのAVアンプのニューモデル「AVC-A10H」。フラッグシップモデルに匹敵するプレミアムレードな高音質を実現したAVC-A10Hの実力を新製品発表会の試聴会で体験しました。その様子をレポートします。
「AVC-A1H」に迫るサウンドクオリティと機能性を備えた第二のフラッグシップモデル
その時代における最新かつ最高の映像・音声フォーマットを最良のクオリティで再生できるモデルのみが名乗ることを許された「Aシリーズ」。その称号を冠した新たな13.4ch AVサラウンドアンプ「AVC-A10H」が登場。「AVC-A1H」に迫るサウンドクオリティと機能性を備えた第二のフラッグシップモデルです。内蔵したパワーアンプ数とプロセッシング可能なチャンネル数こそ最上位モデル「AVC-A1H」に譲りますが、サウンドクオリティと機能性はフラッグシップモデルに迫る卓越した性能を備えています。
発表会のプレゼンターは国内営業本部 営業企画室 田中が務めました
AVC-A10H製品発表会の様子
AVC-A10H製品特長:
- 13.4chのAVサラウンドアンプで、6chのトップスピーカーを含むイマーシブオーディオ再生に対応
- 最大260W(6Ω、1kHz、THD 10%、1ch駆動)の大出力
- 独立した4系統のサブウーファープリアウトを装備
- 8K/60Hzおよび4K/120Hz映像信号のパススルーに対応したHDMI 7入力/3出力を搭載
- モノリス・コンストラクション構成により各チャンネルの音質への振動影響を最小限に抑え、純度の高いリアルな音場再生を実現
- Dolby Atmos、DTS:X、およびIMAX Enhanced、Auro-3Dなどの最新オーディオフォーマットにも対応
AVC-A10Hは、8Kの高解像度とHDRによる高コントラストな映像美と、Dolby Atmosなどのイマーシブオーディオによってもたらされる異次元の没入感により、かつてない最上級の映像体験を実現します。
AVC-A10H発表会で展示されたAVC-A10H内部構造
デノン試聴室で実証した、AVC-A10H試聴の実力
ここからはAVC-A10Hの製品発表会の一部として行われた試聴会での様子をレポートします。
AVC-A10Hの試聴はデノンサウンドマスターの山内慎一が音質評価を行っている デノンの試聴室で行われました。ステレオ音源の再生のためにCDプレーヤー「DCD-SX1 LIMITED」が用意されました。試聴環境はフロントにBowers & Wilkinsの801 D4を使い、7.2.6ch構成でのデモとなりました。
デノン試聴室
AVC-A10H
試聴コーナーの進行はサウンドマスター山内が務めました。
デノンサウンドマスター山内慎一
最初はアンプとしてのピュアなサウンドを実証するために、まず2chでCD音源の試聴です。
山内:シェルビィ・リンの「Just A Little Lovin’」という曲です。空間とか定位感とか、そういったところも味わってもらえればと思います。こちらはアナログ入力を使用しています。
Just A Little Lovin’
Shelby Lynne
田中:AVC-A10Hでは2ch再生であっても「これがAVアンプなの?」っていうぐらい、パフォーマンスを出せます。以前はAVアンプとHi-Fiアンプとの音の差がある時期もあったかなと思うんですが、本当に技術の進歩はすごいもので、そこは少しずつ埋まってきていると感じます。その音質を大きく左右する重大のものが、コンデンサーなどの音質パーツです。それを部品点数の多いAVアンプに、いかに上手に使いこなすかがキーとなりますが、そのあたりが山内の腕の見せ所で、今回はさらに冴えてきたなと感じます。
次はマルチチャンネルの音楽ソースを試聴。ジョン・ウィリアムス指揮による東京のサントリーホールのライブ演奏から1曲です。
山内:クラシックならではの響きがとても豊かなホールだと思いますが、そういった上質な感じとがどんな感じで出てくるか。「スーパーマン・マーチ」をDolby Atmosで聞いてください。
John Williams & Saito Kinen Orchestra – Superman March (Live at Suntory Hall, 2023)
(試聴して)
山内:いかがだったでしょうか、表現の質感、空間感、そして全体的な方位感というんですかね。そういう2chの音場感みたいなものを拡張すると、やはりマルチチャンネルでもそういった表現がより生きてくるのだと思います。
次は「BLUE GIANT」をご覧ください。これはジャズのライブをアニメーション化したもので、よく音楽系の映画でもビートと映像がシンクロさせている作品はあまりないとは思うんですけど、そこのところをかなり苦労して作り込まれた素晴らしい作品だと思います。
https://bluegiant-movie.jp/#modal
山内:次は映画の「ゴジラ-1.0」です。
この映画で見ていただきたいのは圧倒的な臨場感です。Dolby Atmosの全てのチャンネルを駆使した音響効果を聞いてみてください。微細な音から爆発音まで、すごく丁寧に録られていると感じる作品です。
「ゴジラ-1.0」公式Webサイト
https://godzilla-movie2023.toho.co.jp
(試聴して)
田中:ある評論家の先生が日本語のセリフの再生は難しいとおっしゃったんですね。「さ行」をうまく表現しないと音がやかましくてしょうがないという話をされていたんですが、そのあたりも素晴らしいと思います。我々としては単にAVC-A1Hをダウンサイジングしたというわけではなく、それ以降に開発して得た知見をAVC-A10Hにはしっかりと注ぎ込めたと思っています。
山内:そうですね。「A1H」の技術要素はかなり流用していますが、そこにさらにサウンドチューニング含めて、今一番ぐっとくるようなサウンドというところを目指しています。
それでは最後にもう1曲、ノルウェーの少女合唱団の演奏で、ピアニストはトルド・グスタフセンという、ECMでよくアルバムを出されている方です。こちらはAuro-3Dで聴いてください。
Det lyser i stille grender
(試聴して)
山内:いくつか素材を使ってデモさせていただきました。
田中:ありがとうございました。
試聴会は以上でした。
フラッグシップモデルAVC-A1Hに次ぐモデル、AVC-A10H。チャンネル数こそ減りますが、音質はフラッグシップモデルに肉薄するクオリティだと感じました。
そのサウンドを今後のイベントや店頭などで、ぜひご体験いただきたいと思います。
(編集部I)