私のオーディオ道 第3回 APマーケティング部K 「わが家にホームシアターが2部屋ある理由」
デノン社員の音楽観や使用機器を紹介する「私のオーディオ道」第3回は、自宅にホームシアターを2部屋も作ってしまったAPマーケティング部のKさんにインタビューしました。
オーディオ機器メーカーで働く人の音楽観や使用機器に興味はありませんか?
その疑問にお答えする連載「私のオーディオ道」第3回は、
自宅にホームシアターを2部屋も作ってしまったAPマーケティング部のKさんにインタビューしました。
●Kさんは自宅にホームシアターシステムを2部屋に持っていると聞いています。どうしてですか。
K:子どものころから映画が好きでして、大学でも映画研究会に所属しました。それで自宅を建てるときにホームシアターを作ろうと思っていたわけです。
ところがいろいろな経緯があって、家族が集まるリビングと、2階の「ブラックルーム」と呼んでいる5畳ほどの部屋、
この2部屋にホームシアターシステムを組んでしまいました。
もともと5年前に新築するとき、リビングに7.1chのオーディオ機器とプロジェクターを置く計画で進めていました。
ところがギリギリになって「リビングの天井からプロジェクターを吊るすのはダメ」と妻に反対されてしまいまして……。
結局、リビングは7.1chのオーディオとプラズマテレビの組み合わせになりました。
そのかわり「別にプロジェクターを置く部屋を作らねば」と、収納スペースとして考えていた部屋を拡張して設計しなおしたのです。
このような事情で、思いがけなく(笑)、2部屋も作ることになった次第です。
●リビングとブラックルームは、それぞれどういう構成になっているのですか?
K:約15畳のリビングは、マルチチャンネルのサラウンド音響を楽しむ構成です。
機器の構成は、AVサラウンドレシーバーとしてAVR-A100、再生機はブルーレイレコーダー、
壁と天井の隅にボストン アコースティックのスピーカーを埋め込んでいます。
当初は7.1chでしたが、その後メインスピーカーを追加して、壁埋込みのフロントスピーカーをフロントハイトにした9.1chにしています。
ちなみに、AVR-A100は、デノン100周年記念の限定生産モデルです。
約5畳のブラックルームは、プロジェクターを使って映像を楽しむための部屋です。
ひとつしかない窓を黒い遮光カーテンで覆っただけでなく、壁紙、天井、そして絨毯も全部黒にして、暗室のようにしています。
ただ、急遽設計変更したため、ドアや巾木が木目のままなのには完成してから気づきました(笑)。それでも昼間でもカーテンを閉めれば真っ暗です。
黒で統一にしているのは、「迷光対策」のためです。
迷光とは、余計な光、邪魔な光のこと。スクリーンから反射する光が部屋のどこかを照らすと、その光が部屋を明るくしてしまうんです。
それを避けるためにすべてを黒くして「本当の暗闇」を作ることを目指しました。
例えば照明を落とすとリモコンのバックライトがないとボタンが全く見えません。
こうして迷光を抑えた効果もあって、このブラックルームで見る映像はまさに「黒が沈む」んですよ。
黒が本当に真っ黒に映ると、「黒よりちょっと明るい黒」が表現できます。
黒の中で美しい階調が作れるので、暗いシーンでの奥行き感が豊かになって、立体感が出せるんです。
ただこの部屋のサウンドシステムは2ch。マルチチャンネルにはしていません。
本当はスピーカーを増設したいのですが、音楽を聴くときにも真っ暗な部屋って落ち着いていいのと、妻がこの部屋を気に入ってしまいまして。
あまり機材を増やしてほしくないって言うんですよ。
使用機材は、プリメインアンプがPMA-SA1、DVDオーディオ/ビデオ・スーパーオーディオCDプレーヤーがDVD-A1XVA、
ブルーレイディスクプレーヤーがDBP-2010、レコードプレーヤーがDP-29Fです。
●「自宅にホームシアターがある生活」ってどのような感じですか?
K:なんといっても音が良いので、映画館以上に映画が楽しめます!
自宅でDVDやブルーレイの映画を見る場合は、ホームシアターシステムを組んでいるかどうかで、映画の魅力がまったく違ってくるんですよ。
●ええ! 映画館より音がいいって、本当ですか?
K:音響の観点からいえば映画館では、「真ん中の席で見られるとは限らない」「他にもたくさんの人がいるし、ざわざわと雑音がする」
などの問題もあります。映画館は音量が大きいので迫力は感じますが、繊細な音までしっかり聞こえるかといえば、難しい面があります。
その点、ホームシアターなら、常にベストのポジションで音を聴くことができますし、雑音もありませんから、
映画館では聞き洩らしてしまうような繊細な音の表現までじっくりと味わうことができます。
また部屋の明るさに関しても、自宅であれば工夫次第で真っ暗にできます。
ですから私は自分の部屋は「そのへんの映画館よりずっといい音で映画が楽しめる」と自負しているんですよ。
休日にブラックルームで見る映画は、まさに映画を独り占めしている感覚です(笑)。
●マルチチャンネルについてはいかがですか?
K: マルチチャンネルの魅力って、「爆音を立てて戦闘機が駆け抜けていく」ような派手なシーンがわかりやすいですよね。
でも、本当にすごいのはそこじゃないんです。むしろ静かなシーンのほうが、マルチチャンネルの迫力に驚かされるんですよ。
たとえば、主人公が後ろから声を掛けられる場面。あるいは静まり返ったところで突然真後ろから音が響く場面。
マルチチャンネルなら背後だけから聴こえるんです。臨場感がすごくて、思わず主人公と一緒に私まで振り返りそうになります。
●ホームシアターで見て良かったと実感した映画はどのようなものでしたか?
K:ミュージカル映画の「バーレスク」「ナイン」「ヘアスプレー」などですね。
最近のミュージカル映画はマルチチャンネル前提の音作りがされていますから、
サラウンドであるかどうかはミュージカル映画の面白さを左右する重要な要素です。
私自身、2chでミュージカル映画を見ても、「なんだか違うなあ、面白くないなあ」と思ってしまいます。
ミュージカル映画を楽しむには、映像の素晴らしさ、ストーリーの面白さ、加えて曲や歌声が楽しく聞こえることが必要だと思うわけです。
だからミュージカルを見るときはリビングとブラックルームのどちらで見るか、迷ってしまいます。
結局2回見るんですけどね(笑)。ぜひみなさんにもサラウンドでミュージカル映画の本当の楽しさを味わっていただきたいと思います。
Kさん、ありがとうございました。
さて、今後もいろいろなオーディオ道を紹介していきます。乞うご期待!
【Kさんの使用機器】
リビング
AVサラウンドレシーバー:AVR-A100
ブラックルーム
プリメインアンプ:PMA-SA1
DVDオーディオ/ビデオ・スーパーオーディオCDプレーヤー:DVD-A1XVA
ブルーレイディスクプレーヤー:DBP-2010
レコードプレーヤー:DP-29F
(Denon Official Blog 編集部 O)