誰もいない無人島で、朝日を浴びながら聴きたい1枚
デノン公式ブログで「無人島CD」第7回を公開しました。 無人島に1枚だけCDを持って行けるとしたらどれを選ぶ? 新入社員のYが選んだのは、1971年に発表されたアコースティックな名盤でした。
無人島CD第7回は、今年度入社したYが担当いたします。
たったの1枚だけ、というのは本当に悩みますね。
数日間ウンウンとうなってみても決められないので、
自分は無人島でどんなふうに音楽を聴くんだろう、と想像を膨らませてみました。
浮かんできたのは……
朝、海や空を眺めながら、心を真っ平らにして、心拍を落ち着かせてぼーーーっと目の前の海や空を眺めている自分の姿です。
前回、無人島CDを担当した先輩社員のOさんは、音楽は夜に聴くと書いていましたが、わたしはなんといっても朝です。
朝は一日の中で一番感覚や感性が澄んでいて、キメが細かい時間なのではないかなと思います。
そしてそんな時間にはやはり、余分な油や味付けのない、そのままの音が欲しくなります。
そういうふうに考えてみると、持っていく1枚はこれしかないなと思うものでした。
Joni Mitchell の4枚目のアルバム、「Blue」です。
このアルバムは彼女のアコースティック期の名盤として知られているようですね。
収録されている曲の多くは弾き語りです。
アルバムの構成は非常にシンプルな作りですが、Joni の陶器のような ヴォーカルやギター、
ピアノの音の粒がつるつると身体を滑っていくようでとても気持ち良い音がします。
そして、歌詞の一言一言のエネルギーも豊かに感じることができます。
私は大学在学中、イギリスに留学していたことがあるのですが、そのころ毎朝聴いていました。
特に9曲目の 「A Case Of You」 は、今まで生きてきた中で最も歌詞に衝撃を受けた楽曲です。
そして最も大切な一曲でもあります。
この歌詞での 「You」は、彼女の身体の中を流れるワインに例えられています。
「あなたを1ケース飲み干したって、わたし、自分の足でちゃんと立ってるわ」
というような内容のフレーズがサビの終わりに繰り返されます。
"I love you" という言葉なしで、ここまで真っすぐで深く、自立した愛を表現できるなんて……絶対真似できないなあ、としみじみ思います。
日本語にすると、どうしてもニュアンスが伝わりにくくなってしまうので残念です。
そしてラブソングについて語るのは非常に恥ずかしいので(笑)、ご興味のある方は、ぜひ彼女の詩を英語で味わっていただきたいです。
この曲は James Blake のカヴァーも有名ですね。
オリジナルもカヴァーも、どちらも素晴らしいです。
働き始めた今でも、早起きした朝は、スピーカーの前に座り込んで聞き入ることがあります。
そして聴くたびに、歌ってみたくなるのですが、無理です。
歌いこなせません。
どんなに聴いても、練習してみても、到達できそうにない、というのもJoniの魅力のひとつですね。
誰もいない無人島で朝日を浴びながら”Blue”を聴いたら……
きっと波や風、自然の音と混ざって、とても味のある音がするんでしょうね。
想像していたら本当に行きたくなってきました、無人島(笑)。
アーティスト名:Joni Mitchell
アルバム・タイトル:BLUE / ブルー
ワーナーミュージック・ジャパン