AVアンプでハイレゾを。 その2 Blu-ray編
AVアンプでBlu-rayの再生は当たり前? 確かにそうですが、実はBlu-rayの音声データ自体がハイレゾ音源。ですからBlu-rayを聴くだけで、かんたんにハイレゾ体験ができるというわけです。ということで「AVアンプでハイレゾを」の第2弾はBlu-rayの音源を聴いてみました。
AVアンプでBlu-rayでの再生は当たり前? 確かにそうですが、実はBlu-rayの音声データ自体がハイレゾ音源なのです。
ちなみにJEITA(電子情報技術産業協会)が2014年3月に発表した「ハイレゾオーディオ」の定義によれば、
CDスペック(CDの44.1kHz/16bitと、DAT/DVDなどの48kHz/16bit)を超えるデジタルオーディオを「ハイレゾ」と呼びます。
JEITA(電子情報技術産業協会)による「ハイレゾオーディオ」の呼称定義
Blu-rayは規格として「リニアPCM」「ドルビーデジタル」「DTSデジタルサラウンド」をサポートしており、
さらにオプションで高音質なドルビーデジタルプラス、ドルビーTrueHD、DTS-HDマスターオーディオ、
DTS-HDハイレゾリューションオーディオなどの規格を採用しているものもあります。
これらはフォーマットごとにさまざまなbit数やサンプリング周波数があり、一概には言えませんが、
多くのBlu-ray作品はCDのスペックを越えており「ハイレゾ」音源だと言えるでしょう。
アーティスト名:Chris Botti in Boston
アルバム・タイトル:Chris Botti in Boston
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まずは、「トランペットの貴公子」と称されるスムース・ジャズ界の大スター、クリス・ボッティのボストンでのライブ盤。
ライブの会場はボストンが誇る名ホール「ボストン・シンフォニーホール」です。Blu-rayソフトは音質的にハイレゾ音源であるだけでなく、
再生チャンネル数の面でも、通常のオーディオソースのようなステレオ(2ch)ではなく5.1chなど、
ホームシアター用のサラウンド再生となっているため、ライブ盤のBlu-rayコンテンツでは、会場の響きやオーディエンスの拍手など、
ライブ盤ならではの臨場感が存分に味わえます。
特にこのボストン・シンフォニーホールは、残響時間が豊かなことで有名なホールなので、その音場は信じられないほどの美しさです。
バックの演奏陣は気心が知れたクリス・ボッティのバンドに加えて、
かのボストン・ポップスオーケストラ(ボストン・フィル・ハーモニーオーケストラとほぼ同じメンバーによるポップスオーケストラ)という贅沢さ!
さらに曲ごとに、たとえばヨーヨー・マ、あるいはスティング(クリス・ボッティはスティングのバックバンドに在籍していたのです)、
スティーヴン・タイラーといった豪華絢爛なトップスターたちがゲストとして登場するという、
クラシックファンにも、ジャズファンにも、そしてロックファンにも夢のようなライブです。
というわけで、次はサラウンドの音質にフォーカスしてみましょう。
本作はドルビーTrueHD 24bit/96kHzというハイレゾですが、主役のトランペットやボーカル、
そしてバンド、さらにそのバックにいるオーケストラが、それぞれクッキリと明快に定位しています。
オーケストラが奏でるバイオリオンの弦を擦る音や、ドラマーが叩くシンバルのレガートなどの高音、
バスドラムが響かせる低音、そしてオーケストラとバンドが一体となったときの壮大な迫力は、さすがに24bit/96kHzの高音質です。
ボーカル&トランペット、ジャズバンド、フルオーケストラと、まったく異なる質感を持つサウンドを見事に描き分けながら、
それらが渾然一体となり、レンジの広い迫力あるサウンドが見事に再生されていました。
ちなみに編集部Iが個人的に特に好きだったのは、ジョン・メイヤーが珍しくギターを持たずに登場して歌う「Glad To Be Unhappy」。
かつてフランク・シナトラが歌った小粋な曲をジョン・メイヤーが今風にさらりと歌うのですが、それをささえるクリスの短いソロは、値千金の名演!
彼に名だたる歌手からのオファーが絶えない理由がよく分かります。
アーティスト名:パット・メセニー
アルバム・タイトル:『オーケストリオン・プロジェクト』
ワーナーミュージック・ジャパン
最後は、現在のジャズシーンを牽引するギタリスト、パット・メセニーの「オーケストリオン・プロジェクト」です。
パット・メセニーは長年PMG(パット・メセニー・グループ)を率いてきたことで有名ですが、
このアルバムはソロ作品で、2010年にニューヨーク・ブルックリンにあるセント・エリアス教会で2日間にわたって撮影されたもの。
オーケストリオンとは
「19世紀末から20世紀初頭に実在した、オーケストラの複数の楽器を同時に演奏させることができる大掛かりな機械」
のことだそうですが、
パットは現在のデジタル技術、電子的な同期技術を駆使して、
パット自身がギターを弾きながら、たった一人だけでこれだけの楽器群をコントロールしています。
私(編集部I)はパット・メセニーの大ファンで、本作ももともとCDで聴いていたのですが(当初はCDのみ発売)、
そのときは正直言ってオーケストリオンのコンセプトがさっぱりわかりませんでした
(自動演奏なのか、ミュージシャンが演奏しているのかが、CDではわかりません。。。)。
でもこのBlu-rayを見てぶっ飛びました。
恐らくニューヨークの腕利きミュージシャンたちを集めればすぐにレコーディングできるようなことを、
もの凄い執念で自動演奏させている、ここにパット・メセニーの非凡さがよく出ているなと感服しました。
見ようによっては笑いが取れるようなやや滑稽な要素もあるのですが、あまりにパットの表情が真剣すぎて圧倒されました。
で、肝心の音質ですが、これがまたPMG(パット・メセニー・グループ)と変わらないぐらいクオリティが高い。
これはちょっとした驚きでした。
音声フォーマットはドルビーTrueHD”アドバンスド96kHzアップサンプリング”であり、7.1chのサラウンドで楽しむことができます。
部屋中にところ狭しと置かれた楽器群がアチコチで鳴っているのがよく分かりますし、電子音ではなく空き瓶やマリンバ、ドラム、
自動演奏ピアノなど、ほとんどの楽器が生音で発音するアコースティック楽器なので、サウンドもリアルで克明。
特に打楽器のリアリティは圧倒的でした。
また今回は実際に試聴しませんでしたが、Blu-rayの規格のまま、容量のほとんどを音に使っている
「Blu-rayオーディオ」という音楽を聴くためのBlu-rayソフトも発売されています。
Blu-rayは通常映像に多くの容量を使いますが、音だけに容量を使うことで、
たとえば192kHz/24bitのリニアPCMなどの高音質を楽しむことができます。
またBlu-rayの規格を活かして2ch以上のマルチチャンネル再生ソフトも多く出ていますので、
機会があればそちらもぜひお楽しみください。
デノンブログの編集部でも、近いうちにBlu-rayオーディオ音源を実聴してみたいと思っています。
AVR-X2100W
というわけで、今回は話題のハイレゾ音源をBlu-rayの音楽ソフトで楽しんでみました。
Blu-rayでのハイレゾ再生は、ハイレゾ音源再生のためのプレーヤーやアンプを新たに用意しなくても、
ごく普通のホームシアターシステムですぐに聴くことができます。
ぜひBlu-rayを「ハイレゾ音源」として聴いてみてください。またAVアンプをご購入予定の方には、
4K対応で、しかもDSDやハイレゾ音源が楽しめる、いわば「全部入り」のAVR-X2100Wを、ぜひご検討いただきたいと思います。
AVR-X2100Wの詳細はこちらをご覧ください。
(Denon Official Blog 編集部I)