DA-10 開発者インタビュー(フルサイズ版) Part.2
デノンから初めて発売されるポータブルUSB-DAC / ヘッドホンアンプ DA-10。スペシャルサイトにもDA-10開発者インタビューは掲載されていますが、公式ブログではさらに詳しくフルサイズ版でお送りします。第2回はバッテリーやデスクトップでの使用、そしてデザインなどについて。
デノン初のポタアン、ポータブルUSB-DAC / ヘッドホンアンプ DA-10がいよいよ10月10日から発売となります。
製品の概要はDA-10のスペシャルサイトをご覧いただくとして、
ブログではDA-10誕生経緯や開発時のエピソードなどを、開発チームの菊池敦が語ります。
Part1 はこちら。
ディーアンドエムブランドグループジャパン
P1開発本部 マネージャー 菊池敦
ポータブルUSB-DAC / ヘッドホンアンプ スペシャルサイト
DA-10
希望小売価格:オープン価格
発売時期:2014年10月10日
●このサイズで7時間駆動できるバッテリーを探すのが大変だった。
■小型化に苦労したとのことですが、DA-300USBには搭載していないバッテリーを搭載しなくてはいけないですよね。
菊池:仕様目標は、バッテリー駆動7時間でした。それだけあれば外出していても一日使えるし、海外に行く飛行機でも十分です。
ただ一難去ってまた一難、ではないですが、DA-300USBで使っている音質重視のパーツをそのまま使っているため、
電気的に「大飯喰らい」が多く、この位のサイズで多い2000mAh以上もの容量が必要だったんです。
それでこの筐体に入るサイズで3000mAh以上のものを探しました。
これがなかなかなくて、時間がかかりました。
本当に大変で、正直言って途中で諦めそうになりつつ(笑)やっとの思いで見つけました。
DA-10実際に搭載したリチウムイオンバッテリーは3200mAhの容量があります。
(手前の黒い長方形がDA-10のリチウムイオンバッテリー)
●ヘッドホンでの新機能とデスクトップでの高音質を実現する機能を搭載。
■DA-10はヘッドホンで使うことがほとんどかと思いますが、どんな工夫があるのでしょうか。
菊池: DA-10はHi-Fiグレードの音質を実現していますので、できればデスクトップでも使っていただきたいとは思っていますが、
実際の所はヘッドホンでの使用がほとんどであろうと想定しています。
それでヘッドホンのゲインスイッチを搭載しました。
ヘッドホンの抵抗値は一般に32Ωぐらいが普通ですが、
海外の高級ヘッドホンなどでは600Ω、といったハイインピーダンスのものも存在します。
ですからヘッドホンにあわせてノーマル用とハイインピーダンス用に切り換えられるスイッチを本体側面に搭載しました。
通常はノーマルでお使いいただけますが、もしご自身のヘッドホンで「音が小さい」と思った
ら「HIGH」に切り換えていただければ、音量を上げることができます。
(※本体側面のスイッチ。写真左から・ヘッドホンのゲインスイッチ・ボリュームの固定と可変を切り替えるアウトプットスイッチ・
PCにつないだ時の電源を切り替えるチャージスイッチ・入力を切り替えるインプットスイッチ。)
■デスクトップで使ってほしい、というお話がありましたが、側面にある他のスイッチはデスクトップ用途で使うものですか。
菊池: DA-10はDA-300USBと同じようにパソコンにつないで
PCオーディオを楽しむという用途にも十分なHi-Fi性能を持っています。
側面にCHARGEというスイッチのON/OFFがありますが、パソコンと接続した際に充電するかどうかを選択します。
これは充電機能のON/OFFだけでなく「駆動のためにパソコンの電源を使うかどうか」ということでもあります。
パソコンからの電源はノイズが載っている可能性がありますので、音
質を重視したUSB DACとしてPCオーディオを楽しむ場合にはCHARGEをオフにし、
本体のバッテリーで駆動したほうが音質としては有利です。
またプリメインアンプとスピーカーで駆動することを想定して用意したのがOUTPUTの「FIXED/VAR」のスイッチです。
OUTPUTをFIXにするとボリューム回路をバイパスした信号が出力されます。
●本体仕上げの使い分けや削り出しのボリュームノブなど、デザインにもこだわった。
■プロダクトデザインに関しては当初のアイディア通りできたのでしょうか。
菊池:実はデザインモックは最初もっと小さかったんです。
でも回路やパーツのシミュレーションの結果、それでは入らないということで少しだけ大きくしてもらいましたが、
デザインコンセプトは初期のモックにかなり近い状態で製品まで持っていけたと思っています。
(↑DA-10のデザインの3Dプリントサンプルたち。左端がDA-10の実物、その右隣が採用となったデザインのサンプル)
■仕上がりの美しさも際立っています。
菊池:やはり持ち運びなどで手にすることが多いものなので、仕上げにはこだわっています。
たとえば天板、底板はアルミの一枚板を押し出し成形で作っています。
風合いや触り心地に変化を出すために、一番上の平らな部分はヘアラインで仕上げ、
斜めのアール部分はナシ地にして仕上げを変えています。
またその違いが際立つように、天板とアールの部分にはわざわざ小さな段差をつけています。
この辺の細部もデザインへのこだわりですね。
HiFiオーディオっぽさを感じさせる大ぶりのボリュームは質感にこだわってアルミの削り出しにしています。
光が綺麗に映り込むようにボリュームにはスピン加工を施しました。
またボリュームが誤動作しないように形状が工夫されたプロテクターがついており、ボリュームを変えたいときには変えやすく、
そうでない時にはボリュームノブが回りにくいようになっています。
■iPhoneなどと持ち歩くための専用ポーチが付属するとききました。
菊池:外でiPhoneなどとDA-10を一緒に持ち歩けるようにケースを作りましたが、これもけっこう苦労しました(笑)。
表面の透明部分は下のタッチスクリーンが操作できるタイプにしています。
ポーチは製品に付属しています。
●Hi-Fiへの入り口になってくれるといいですね。
■DA-10に興味を持っている音楽ファン、オーディオファンは多いと思います。最後に開発者からのメッセージをお願いします。
菊池:DA-10は「ポタアン」というカテゴリーの製品ですが、
どんなに小さくてもやはり音が良くなければデノンが作る必要はありません。
サイズの制約のなか、非常に苦労してHi-Fiグレードの音色を実現した製品ですので、
小型で持ち運べる便利さと、音の良さを両方味わっていただきたいと思います。
iPhoneなどのデジタルデバイスの音を、端末のスピーカーやヘッドホンでそのまま聴くのではなく、
ていねいに再生することで、ここまでいい音が出せる。
そしていい音で音楽を聴けば、もっと音楽の深いところまで楽しむことができる。
そんなことをこの製品で伝えられたらと思っています。
DA-10でいい音の素晴らしさに目覚め、そこから本格的なHi-Fiの世界に興味を持っていただければ最高ですね。
DA-10がみなさまのHi-Fiの入り口になってくれるといいなと思います。
●菊池さん、ありがとうございました。
ポータブルUSB-DAC / ヘッドホンアンプ DA-10 スペシャルサイト
(Denon Official Blog 編集部I)