
CEOL N9で試してみた!音質向上のための7つのヒント

オーディオシステムは「買ったら終わり」でありません。セッティングやちょっとした工夫で音はどんどん良くなっていきます。今回はデノンのサウンドマネージャー山内が、CEOL N9シリーズを使い音質を向上させるための「7つのヒント」をご紹介します。
オーディオシステムは「買ったら終わり」でありません。
セッティングやちょっとした工夫で音はどんどん良くなっていきます。
今回は、デノンのサウンドマネージャー山内がコンパクトながらデノンらしいサウンドを実現したCEOL N9シリーズを使って、音質を向上させる工夫をご紹介します。
マイルス・デイヴィスの「Seven steps to Heaven(天国への7つの階段)」にひっかけて、題して「音質向上のための7つのヒント」です。
Bluetooth & NFCに対応したネットワークシステムオーディオ「CEOLシリーズ」の最新モデル
カラー:W (ホワイト)/ K (ブラック)
オープン価格
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オープン価格 (2台1組)
CEOL N9のデザインや音質については「CEOL N9シリーズを編集部で使ってみた」をぜひごらんください。
デノンサウンドマネージャー 山内慎一
●まずは今回のテーマであるCEOL N9についてご紹介ください。
山内:CEOL N9はデザイン性の高さと音質の良さを両立した、コンパクトなネットワークオーディオシステムです。
カラーリングやデザイン性の高さから、ヨーロッパでは特に高い人気を誇っています。
またネットワーク機能など最新の機能が装備されているのも特長です。
●サウンドはどうでしょうか。
山内:ミニコンにありがちな高音、低音を強調したドンシャリな音ではなく、素直で自然な音ですが、そんな中でもデノンのHi-Fiらしい「エネルギー感」も兼ね備えています。
プレーヤー、アンプ、スピーカーを自由に組み合わせることができるコンポーネントとは違って、ネットワークCDレシーバー RCD-N9とスピーカーシステム SC-N9との組み合わせで、スピーカーケーブルまで含めて一体として開発していますので、セットで揃えていただくだけでお手軽に高音質なシステムを組むことができます。
●ではCEOL N9を素材にして、音質向上のための工夫を教えていただけますか。
山内:まず、最初の状態をつくりましょう。
これは買ってきて箱を開けてとりあえず組んだ状態です。
壁は便宜的にこんな風に組んでみました。
ここからスタートしてみましょう。
■HINT1 電源の極性を確認する
山内:最初のポイントはコンセントです。まずこのまま聴いてみましょう。(音源を再生して)どうでしょうか。
●なかなかいい音だと思います。
山内:ではコンセントの向きを変えてみます。
●あれ、高音の伸びが良くなって、音がもっとしっかりした気がします。
山内:これは電源の極性の問題です。
最初はわざと極性を違えていました。
電源の極性はコンセントの向きを変えるだけで反転できますので、極性を気にしたことがなかったなら、一度コンセントの向きを変えて音をよく聴いてみてください。
音が良いと思った方でいいのですが、違いがあまりわからない時は、いろいろやったあとで、もう一度変えて聞いてみるのも手ですね。
■HINT2 スピーカーにインシュレーターを入れてみる
山内:では次にスピーカーの下に余計な振動を遮断するインシュレーターを入れてみましょう。(音源を再生して)どうでしょうか。
●音が明瞭になりました。
山内:今は左右のスピーカーとCDレシーバーが同じボードの上にありますので、それぞれの振動が干渉し合っている状態です。
それをインシュレーターで振動を伝わらないようにするだけでクリアネスがこれだけ変わります。
ちなみにインシュレーターはいろいろなメーカーから出ていて素材も金属や木材、それらを組み合わせたものなどいろいろあります。
素材によって音が変わりますし、DIYショップなどで小さな木のブロックなどの木材を買って試してみてもいいかもしれません。
■HINT 3 CDレシーバーにインシュレーターを入れてみる
山内:次にスピーカーだけでなくCDレシーバーにもインシュレーターを入れてみましょう。(音源を再生して)どうでしょうか。
●音に芯が出てきたような気がします。
山内:そうですね。
音を出しているスピーカーだけでなく、プレーヤーも振動には敏感ですのでインシュレーターはかなり効きます。
インシュレーターの種類や置き方などでも音が変わりますので、音を聴きながらぜひ色々試してみてほしいと思います。
これらインシュレータ、ボードは設置場所のデメリットやくせを軽減し音質的なプラスアルファをしてくれるツールと考えると、わかりやすいですね。
■HINT4 スピーカースタンドを使ってみる
山内:次はスピーカースタンドを使ってみましょう。(音源を再生して)どうでしょうか。
●さらに音がクリアになりました。非常に明瞭な音だと思います。
山内:今までは2つのスピーカーとアンプが同じ板の上に乗っていましたが、スピーカースタンドを使うことでそれぞれの機器が完全に分離されました。
他の機器からの振動から開放され、音源が独立し、余計な反射などから解放されたことで、音が非常にハッキリしてきたのだと思います。
スピーカースタンドも様々なメーカーから出ていますので、お求めやすい手ごろな価格のものあたりからいろいろ試してみるといいのではないでしょうか。
■HINT5 スピーカーの軸間を広くしてみる
山内:さてスピーカースタンドにしましたので、オーディオラックに置いていた時よりスピーカーの設置場所の自由度が増えました。
今までは左右のスピーカーの軸間を1メートル程度にしていましたが、すこし広くして1.5メートルぐらいにしてみましょう。
(音源を再生して)どうでしょうか。
● あ、音像が広がりました。センターのボーカルの存在感がぐっと上がった気がします。
山内:そうですね。
音がクリアになってきましたから、スピーカーの間隔を開けることで、スレテオイメージが明瞭になり、結果としてセンターに定位したボーカルの音が真ん中に明瞭に浮かんできたのではないでしょうか。
このようにスピーカーの間隔を拡げるだけでも音はずいぶん変わってきます。
それと音が良くなってくると音量を上げても不快な部分がないのでうるさく感じなくなってきます。
■HINT6 オーディオボードを使ってみる
山内:いろいろやってきましたが、きりがないのであと2つだけにしましょう。
CDレシーバーの下にオーディオボードと言われるものを敷いてみたいと思います。
さて(音源を再生して)どうでしょうか。
●安定感が増した気がします。これはどういう素材なのでしょうか。
山内:木と金属のハイブリッドです。
オーディオボードにはさまざまな種類がありますので、これもお好みでいいと思います。
●これも振動を減らすためのものでしょうか。
山内:そうです。
ただゴムなどの素材を使って振動を完全に殺せば音が良くなる、というわけではないところがオーディオの面白いところです。
挟んだ素材が音に反映しますので、オーディオボードもDIYショップなどで木や金属の板を何種類か買ってきていろいろ敷いてみて音の変化を確かめるのもいいかもしれません。
■HINT7 スピーカーケーブルを変えてみる
山内:最後にスピーカーのケーブルを変えてみましょう。
付属しているケーブルも本体とトータルで開発されているものなので、実はかなりいい音が出ています。
でも付属品のグレードではないすこし高価なケーブルを使ってみましょう。
(音源を再生して)どうでしょうか。
●音に繊細さ、緻密さが出てきたように思いました。
山内:そうですね。
このケーブルに変えて音の艶が出て、音場感も出てきたと思います。
ケーブルは本当に千差万別でメーカーによってそれぞれ音に対する哲学、コンセプトが違いますし、価格も幅があります。
いずれにしてもケーブルを変えるとかなり音が変わりますので、雑誌やネットでの情報で音の傾向などをいろいろ調べてから買われた方がいいと思います。
ちなみにこのケーブルはたまたま手元にあったものですが、高いと言っても1mあたり1,000円程度のものです。
それとこれはケーブルを変えてみた時の注意ですが、ケーブルは変えて本領を発揮するまでに実はけっこう時間がかかります。
いわゆる「ケーブルのエージング」ですが、僕がここでケーブルを変えてみても、いい音が出るまで早くても数時間かかりますし、エージングが済むと音が「激変」することはよくあることです。
ですからケーブルを変えたら少し時間をかけてなじませてから音を評価したほうがいいと思います。
●番外編 スピーカーを変えてみる
山内:さてここからは「番外編」ですが、スピーカーそのものを変えてみましょう。
まず壁も取り外してしまいます。
そしてスピーカーを差し替えます。
では聴いてみましょう。(音源を再生して)どうでしょうか。
●当たり前ですが、音ががらりと変わりました。とてもミニコンポレベルの音とは思えません。
山内:これはB&Wの「805 Diamond」という小型ですが非常に定評のあるスピーカーです。
非常に高価なスピーカーなので組み合わせとしてはあまり現実的ではないかもしれませんが、CDレシーバーRCD-N9の能力としては、このグレードのスピーカーも結構鳴らせる力を持っています。
●これはCDレシーバーRCD-N9の能力が高いということでしょうか。
山内:そうですね。
特にデジタルアンプになってからはサイズが小さくても大きなスピーカーを駆動できるようになりました。
ここでひとつだけ注意していただきたいのですが、CEOL N9はCDレシーバー RCD-N9とスピーカーシステム SC-N9と組み合わせている時には「スピーカーの最適化」というモードがオンになっています。
もしCEOL N9で別のスピーカーを使用する場合には「スピーカーの最適化」をオフにしてみることをオススメします。
●番外編はさておいても、電源の極性から、インシュレーターなどの工夫をするだけでずいぶん音が良くなったと感じました。
山内:オーディオはスピーカーを置く場所や間隔、角度だけでもずいぶん音が変わってきます。
たとえばスピーカーを壁の近くに置くと低音は出てきますが、クリアさは下がります。
逆に壁から離すと低音は抑え気味になり、明瞭さが増します。
しかもこれらは部屋の形や壁の素材でも変わってきます。
ですから、オーディオは「買って置いたらそれで終わり」ではなく、どうやったらもっと音が良くなるのかをぜひ試してみてほしいと思います。
音が変化すると見えてくる景色も変わってきますし、様々な音楽ソースへの対応の幅が広がるのがわかります。
例えば「音質が今ひとつだな」と思っていたソフトでも、実は気付かなかった聴きどころがいっぱいあったり、などなど。
ただ、チューンは急ぐ必要はありませんから、音の変化を楽しみながら少しずつやるのがいいのではないでしょうか。
そうやっていろいろと試せるのが、オーディオの一番楽しいところではないか、と私は思っています。
●ありがとうございました。
(Denon Official Blog 編集部 I)