AVR-X4200W開発者インタビュー Part.3
デノンのAVアンプの中堅モデルの最新版、AVR-X4200Wがいよいよ発売となりました。その設計思想やコンセプトについての設計者インタビュー、Part.3では使い勝手、特にBluetooth、無線LANについて聞きました。
デノンのAVアンプの中堅モデルの最新版、AVR-X4200Wがいよいよ発売となりました。
その設計思想やコンセプトについての設計者インタビュー、Part3では使い勝手、特にBluetooth、無線LANについて聞きました。
7.2ch AVサラウンドレシーバー
AVR-X4200W
150,000円(税抜価格)
10月中旬発売
製品の詳しい紹介につきましてはこちらをご覧ください。
CSBUデザインセンター 愛甲 英寿
(PART2からの続き)
■AVR-X4200W開発者インタビューPart.2では
高橋さんにデノンAVアンプの音に関する設計思想をうかがいました。
Part.3では愛甲さんにAVR-X4200Wならではの特長をうかがいたいと思います。
愛甲:AVアンプを購入しようとされているお客さまがどこに注目するかを考えると、「価格」「ブランド」「最新フォーマットに対応しているか」、そして前回高橋がお話しした「音質」だと思います。
それに加えて私は、実際に使用されるお客様にとっての「使いやすさ」も非常に大事だと考えています。
■「使いやすさ」もカタログは訴求しにくい点ですね。
愛甲:そうなんです。
ですから、ぜひ強調したいと思います。
近年のデノンのAVアンプは、設置時に便利な「セットアップアシスタント機能」でテレビ画面を通して手とり足とりセッティングや調整の仕方を指示してもらえますし、リア端子についても全モデル横一列に並んでいて、
接続や設定がしやすくなっています。
私は今回Wi-FiやBluetoothなどの無線関係の設計でAVR-X4200Wに関わったこともあり、無線環境を中心にAVR-X4200Wの魅力についてご紹介したいと思います。
というのも、今年はドルビーアトモス、DTS:Xなどのサラウンドフォーマットが出そろった年でもありますが、日本ではAppleミュージック、AWA、Line Musicなどが始まったストリーミングサービスの元年でもあります。
今はまさに、スマホを中心としたワイヤレスでの新しい音楽の楽しみ方が急激に広がりつつある時期だと思います。
だからこそ、無線環境の充実は今、
大事なポイントだととらえています。
※セットアップアシスタント、リア端子などについては「AVR-X1200W/AVR-X2200Wでドルビーアトモス体験! Part1セッティング編」をご覧ください。
■AVR-X4200Wの無線環境についてはどんな点が特長なのでしょうか。
愛甲:デノンのAVアンプは昨年、全てのモデルで無線化を行いました。
無線というと大きく「Wi-Fi」と「Bluetooth」になりますが、Wi-Fiに関しては、ただでさえスピーカーの結線が大変なAVアンプなのに、さらにEthernetへの接続は煩わしいということで、使い勝手を重視して搭載しました。
AVR-X4100Wでは11gまでの対応でしたが、AVR-X4200Wでは11nまで対応しています。
Bluetoothに関しては音楽を聴くスタイルがスマホやタブレット中心になってきたことに対応しています。
AVR-X4200WではさらにBluetoothの使える範囲が広くなるように工夫しています。
■ワイヤレスの機能に関してデノンならではの特長はありますか。
愛甲:無線の機能はロッドアンテナの感度が大きな鍵を握ります。
このあたりは様々なノウハウがあり、なかなかブログで公開できないものが多いのですが、デノンのAVアンプの特長としていえるのは、リアの2本のロッドアンテナが両サイドにきれいに左右対象で設置されている点です。
アンテナの左右対称配置は見た目に美しい、ということだけではありません。
アンテナシミュレーションといって、アンテナに信号を入れてその放射パターンを検知し電波がどの程度均一に、そしてさまざまな角度で受信できるかを検証するのですが、左右対称で、かつ、なるべくアンテナ同士の距離を離して設置することが最もムラがなく電波を受信できることがわかったのです。
それでデノンのAVアンプは基本的にこの位置に配置しています。
AVアンプもメーカーによっていろいろな場所にアンテナがついていますので、そのあたりもぜひ、お店でぜひ確認いただきたいと思います。
■AVR-X4200WはWi-Fiによって、どんな便利さが提供できるのでしょうか。
愛甲:AVアンプってスピーカーがたくさんあるし、テレビやBlu-rayプレイヤーともつながなくてはいけない。
だからスピーカーケーブルやHDMIケーブルなどたくさんケーブルをつなぎますが、結構それが大変なので、できれば1本でも
接続するケーブルを減らしたい、と私自身思っています。
特にEthernetはコンピュータ関連のケーブルですからちょっと異質ですよね。
隣の部屋から引いてこなくちゃいけない、とか場合によってはどうしてもAVアンプにEthernetがつなげない、という方もいらっしゃるかもしれません。
でもAVR-X4200WはEthernetをつなぐことで、ネットワークオーディオやAirPlay、インターネットラジオなど、非常に多くのことが楽しめます。
さらにファームウェアアップデートもEthernetを経由して行うわけですから、できるだけつなげないユーザーを少なくする必要がある、ということでWi-Fiにも対応しています。
■Bluetoothに関してはユーザーにどんなメリットがあるのでしょうか。
愛甲:先ほどもちょっといいましたが、今年から様々なストリーミングサービスが本格的に始まりました。
これは音楽を聴く人間にとって、大きな音楽聴取環境の変化ではないか、と私は思っています。
今後、スマホやタブレットでストリーミングした音楽を、Bluetoothでアンプなどに無線で飛ばして聴く、というスタイルがどんどん増えてくると思うんです。
でもスマホは電話ですから、家の中でもいろんな場所へと持ち歩く可能性が大きいですよね。
そんな時でも音楽がなるべく途切れないように、Bluetoothで接続できる範囲の広さと通信の安定性に神経を使いました。
■ストリーミングサービスはスマホを音源に使うことが多いので、ほとんどの方がヘッドホンや小さなBluetoothスピーカーで聴くケースが多いと思います。
AVR-X4200Wで聴くのとでは、きっと音の印象が違いますよね。
愛甲:ストリーミングサービスの音源はいわゆる圧縮音源のものが多いのですが、実際にAVR-X4200Wでストリーミングサービスの音を聴いてみると、データを受ける側、つまり再生する側がしっかりしていれば、かなりいい音で聴けるんだな、という印象を持ちました。
再生装置がヘッドホンや小さなスピーカーだと、音もそれなりなので「ストリーミングサービスだから、まぁこんなもんか」と思いがちですが、AVR-X4200Wのように計235Wの大パワーを持った素性がいいアンプで、しっかりしたスピーカーを鳴らすと、ストリーミングサービスでも、相当いい音で楽しめます。
それにAVR-X4200Wなら24bit精度にまで拡張することで原音に近づけることができるデノン独自の「AL24 Processing Plus」も動作しますから、一般的なストリーミングサービスの音よりもはるかにいい音で再生できます。
AVR-X4200Wでストリーミングサービスの音を聴く機会があれば、予想を超えた音の良さに、たぶん驚かれるではないでしょうか。
試聴会などでぜひお試しいただきたいと思います。
AVR-X4200W設計者インタビューPart.1、Part.2に登場してもらったCSBUデザインセンター 技師 高橋佑規(右)とともに
(Denon Official Blog 編集部 I)