そもそもBluetoothって?
スマホのヘッドホンジャックがなくなってきたこともあり、最近Bluetooth®ヘッドホンを街で見かけることが一気に増えてきましたね。今回は、今一度Bluetoothについておさらいしつつ、ハイレゾ相当の高音質再生が可能なapt-X HDなどの最新コーデックについて解説します。
そもそもBluetoothって?
まずは、そもそもBluetoothってなんでしょうか、というおさらいから。
ご存じのようにBluetoothとは、10mから100m以内の近距離を端末同士でワイヤレス接続をする無線通信技術で、パソコン用のキーボード、マウスやトラックパッド、さらにはゲームのワイヤレスコントローラー、デジカメの画像を転送する技術、万歩計などにも使われています。
そして今回のテーマであるBluetoothヘッドホンやインイヤーホンはBluetooth送信機能を持っているスマホやタブレット、ミニコンポ、アンプ、デジタルミュージックプレーヤー、などとワイヤレスで接続し、音楽を聴くことができます。
現在Bluetoothに対応しているデノンの主なオーバーイヤーヘッドホン、インイヤーヘッドホンは以下の製品となっています。
Bluetoothにはバージョンがある
ところでBluetoothにはバージョンがあることはご存じでしょうか。実はBluetoothは年々バージョンを重ねて進化しており、バージョンが上がるに従って通信速度の向上、データ転送の効率化、省電力化などが進められています。
現状主なバージョンは以下となっています。現在の最新バージョンは5.0です。
Bluetooth バージョン | 特長 |
---|---|
Ver 4.0 | 大幅な省電力化 |
Ver 4.1 | 端末等の電波の干渉の抑制、データ転送の効率化、 自動性接続機能、インターネットに直接接続する機能など |
Ver 4.2 | 通信速度が2.5倍に高速化 |
Ver 5.0 | データ転送速度が高速化、到達距離の長距離化 |
デノンのBluetoothヘッドホンは、AH-C820W、AH-GC30、AH-GC25はいずれも最新のBluetooth Ver.5.0に対応。AH-C160WがBluetooth Ver.4.1に対応しています。
↑Bluetooth Version5.0に対応しているAH-GC30
Bluetoothのつながりやすさには「Class」という指標がある
Bluetoothヘッドホンを使っていてよくイライラするのが、音切れです。Bluetoothには電波強度による「つながりやすさ」を示す送信出力の指標、「Class」があります。Bluetoothヘッドホンを選ぶ際には、Bluetoothのバージョンに加えて、Classも確認するといいでしょう。
クラス | 出力 | 到達距離 |
---|---|---|
Class 1 | 100mW | 100m |
Class 2 | 2.5mW | 10m |
Class 3 | 1mW | 1m |
デノンのBluetoothヘッドホンは、AH-C160W、AH-C820W、AH-GC30、AH-GC25のいずれもがClass1に対応しています。
↑AH-C820W はClass1対応
Bluetoothの音質の決め手は「コーデック」にあり
Bluetoothヘッドホンの音質と遅延とに大きく関係するのが「コーデック」です。ちなみにBluetoothヘッドホンにおけるコーデックとは、音声を圧縮する方式のこと。Bluetoothの通信速度の範囲内でより良い音質で再生するためには音声データの圧縮が必要となります。その際の音声データの圧縮・伸張の方式がコーデックです。
現在Bluetoothで使われている主なコーデックは以下の6種類です。
Bluetoothコーデック | 特長 | 遅延 |
---|---|---|
SBC | 音楽再生の標準コーデック | 170~270ms |
AAC | 主にiOSで採用 Android 8.0以降で標準対応 |
比較的小さい(非公開) |
aptX | 主にAndroidで採用 | 70~80ms |
aptX LL | 主にAndroidで採用 遅延が非常に少ない |
40ms |
aptX HD | 主にAndroidで採用 ハイレゾ相当の高音質再生 |
130ms |
LDAC | ハイレゾ相当の高音質再生 ソニーが開発 |
非公開 |
SBCは最も基本的なコーデックで、Bluetoothにおいて標準的な音質といっていいでしょう。またYouTubeなどの動画サイトを見た時に感じる音の遅れを「遅延」や「レイテンシー」と言いますが、SBCの遅延は比較的大きく、動画サイトでスポーツや音楽ライブのコンテンツを見ると、音と画像のズレにやや違和感を覚えることがあります。
AACはApple製品などに採用されているコーデックでiPhone、iPadなどがAACに対応しており、SBCよりも高音質を実現しています。遅延はSBCより改善されています。
aptXは主にAndroidのスマホやタブレットで採用されているコーデックで、AACよりさらに高音質を実現しており、遅延もより少なく抑えられています。
aptX LLはaptXの遅延をさらに抑えたバージョンです。このLLとはLow Latencyの略称で、リズムゲームなどにも対応するぐらいの極めて低いレイテンシーを実現しています。デノンのヘッドホンではAH-C820Wが対応しています。
aptX HDはより高音質を実現したコーデックでハイレゾ相当の高音質再生を実現しています。デノンのヘッドホンではAH-GC30、AH-GC25WがaptX HDに対応しています。
同じくハイレゾ相当のBluetoothコーデックでは、LDACも挙げられます。こちらはソニーが開発したコーデックとなっています。
↑aptX HDに対応したAH-GC25W
というわけで、今回はBluetoothの最新のコーデックについてご紹介しました。お使いになる場所や用途などに応じてコーデックなどを確認いただき、ご自身に最適なBluetoothヘッドホンをぜひお選びください。
(編集部I)