超初心者のための「8Kって何?」
「8K時代の幕開け」と言われる2020年。デノンから世界に先駆けて8Kに対応したAVアンプ、AVC-X6700H、AVR-X4700H、AVR-X2700H、フラッグシップモデルのAVC-A110が発売中です。今後4Kに代わって、大きな潮流になっていくとされる8Kについて。そもそも8Kとはいったい何か? 基本情報を押さえておきましょう。
8Kとは4Kの4倍、2K(フルハイビジョン)の16倍緻密な表現ができる解像度のこと
8Kというのは映像や画像の解像度を表しています。解像度は数値が高いほど細かな部分まで美しく見え、緻密な表現ができる映像や画像になります。
では解像度とは何か? という部分をもう少し噛み砕いて整理してみましょう。デジタルの映像や画像というのは、色のついた小さな点の集まりで構成されています(テレビ画面を虫眼鏡で見るとよくわかります)。この点を「画素(ピクセル)」と言います。画素と解像度それぞれ、関係は以下になります。
・画素(ピクセル)
画像を構成する一番小さな要素、色や明るさという情報を持った「点」。
・解像度
画像の「密度」。どれだけ多くの「画素(点)」が入っているかが数値で表されます。
2K(フルハイビジョン)、4K、8Kテレビの解像度を比較した図をご覧ください。
今一般的になりつつある4Kテレビの画面は、横が3840、縦が2160画素で約800万の画素が敷き詰められています。8Kの場合は、横が7680で縦が4320画素。約3300万という画素数になります。8Kを正確に記載すると「7680×4320」。8Kと言われるのは、横の画素数が約8000であることからです。「K」というのは1000の単位(キロ)の省略形になります(1000mを1km、1000gを1kgと表記するルールに則っている)。
上の図を見てもわかるように、8K画像は4Kの4倍、2Kからすると16倍もの解像度ということになります。その分、より滑らかで、色彩、陰影の表現が豊かな映像が展開されるということです。
4Kから8Kへ
4Kが登場した背景の一つに、テレビの画面サイズの大型化が挙げられます。テレビの画面サイズが大きくなればなるほど、画素数も同じように多くならないと、どうしても画像がぼやけて見えてしまいます。A4サイズの紙に描かれた絵をそのままA2サイズに拡大したら、画像が粗く見えるのと同じ原理です。
画面サイズを大きくすれば解像度(密度)も上げる、画面サイズと解像度は比例の関係であることが望ましいということです。地上波デジタル放送がはじまった2006年頃から、リビングに置くテレビは40~50インチ以上の大型サイズが出始め、現在は60~70インチ以上のテレビも多くなっています。
4Kの試験放送が始まったのは2014年ですが、ただ、そのまま4Kが主流になることもなく、一部を除き、地上波のテレビ番組で4K放送を行うところはほとんどありませんでした。代わって、BSやCS、AmazonやNetflixなどの映像ストリーミングサービスや、Ultra HD Blu-rayなどの光ディスクパッケージなどから、じわじわと4Kに対応したコンテンツが増えていくことで、4Kテレビの販売台数も少しずつ増加していきました。そんな中、総務省が舵を取り2018年12月から家庭向けの4K/8Kの実用放送が始まったことから、家庭用4Kテレビの販売台数がついに2019年で全体の49%、約半数を占めたという報告があります。
―GfK -「2019年上半期 家電・IT市場動向」より抜粋
そして2020年、オリンピックイヤーです。ご存じの通り、オリンピックは新型コロナウイルスの流行で2021年に延期になりましたが、多くの競技が8K放送される予定ということで、テレビや放送業界的にはまさに「8K時代の幕開け」という流れがきています。
なぜ8Kが誕生したの?
そもそもなぜ8Kが誕生したのでしょうか。8Kはもともと「スーパーハイビジョン」と呼ばれ、NHK放送技術研究所が研究開発してきた超高解像度のテレビ規格のことを指します。研究開発の目的としては、「解像度の面で人間の視覚能力の限界に到達することを目指す」つまり、一般家庭においても「本物の景色と見間違えそうなリアリティのある究極の映像」を楽しめるようにする、ということです。
「人間の視覚能力の限界」を目指して開発された8K。現在8Kテレビは少しずつ市場に出回り始めていますが、映像コンテンツを作る側、放送する側はまだまだ追いついていない状況とも言えます。すぐに8Kコンテンツが増加するというのは今のところ考えにくいですが、徐々に増えていき数年後には日常的に目にする機会も増えていくのではないでしょうか。
ちなみに8Kのあと、映像の美しさやリアリティを追求する部分においては、解像度から「フレームレート(fps)」に移行すると言われています。フレームレートとは、動きの滑らかさを決める要素で、一秒間の動画中に見る静止画のコマ数のことです。コマ数が少ないとカクカクとした動きになり、多いとなめらかで自然な動きに見えます。8Kでは120fps(120コマ/秒)が規格に盛り込まれています。一般的な映画が24fps(24コマ/秒)、日本のテレビ番組が30fps(30コマ/秒)で、4Kでも60fps(60コマ/秒)が最大でした。
AVアンプも「8K対応」へ
これから徐々に4Kから8Kへと潮流が変わっていく中、デノンから世界に先駆けて8K対応のAVアンプが4機種発売されています。
8Kコンテンツを楽しむには、8K対応のテレビが必要ですが、AVアンプを使用したサラウンド環境で楽しむ場合にはさらに8K対応のAVアンプが必要です。また各々を繋ぐHDMIケーブルの規格もHDMI2.1という8K規格に対応したものが必要になります。詳しくはこちらの記事を参照ください。
2Kや4Kの映像コンテンツを8Kテレビで見ると、画質が粗く見えることがあります。これまでお話してきたとおり、8Kとそれ以外では解像度が圧倒的に違うためです。とはいえ、テレビ自体がアップコンバート対応をしていれば、2Kや4Kの映像も8Kに近い状態で見ることができるよう画質補正をかけてくれますので、テレビを購入する際はそのあたりの機能がついているかどうかのチェックも必要です。
デノンのAVアンプでは8K対応機種全てにおいて8Kアップスケーリング対応をしています。2Kや4Kの映像を8Kにアップスケーリングしますので、現在8Kコンテンツ自体が少ない状況でも、今後を踏まえると新規購入や買い替えをお考えの方にも8K対応機種を検討してみる価値はありそうです。
8K映像の鮮やかさと繊細さ、超高精細な画質で奥行きまで感じさせてくれるような画面を前に、全身を包み込むようなサラウンドの効果があれば今までの「臨場感」とは一線を画す体験ができると思います。2021年、8Kで放送されるスポーツの祭典を、AVアンプを繋いだお家のリビングで観戦してみれば、まるでそこがスタジアムのような環境に感じてしまうかもしれませんね。
(編集部S)