超初心者のための「AVアンプって何?」
巣ごもり需要でホームシアターを始める人が増え、AVアンプが人気を集めています。ところでAVアンプってなんでしょうか。普通のアンプとどう違うのでしょうか。そしてAVアンプがないとホームシアターは構築できないのでしょうか。そんな疑問にデノンオフィシャルブログがお答えします。
そもそもアンプって?
AVアンプのご説明をする前に、まずアンプについてご説明しましょう。
アンプという言葉は増幅器=アンプリファイアという英語に由来しています。入力された微細な音声信号をスピーカーで駆動できる大きさにまで増幅し、スピーカーから音を発生させます。
詳しくはデノンオフィシャルブログ超初心者シリーズの「アンプって何?」をぜひご覧ください。
ステレオアンプとAVアンプの違いは出力数
では、普通のオーディオで使っているステレオアンプとAVアンプは、どこが違うのでしょうか。
Hi-Fiオーディオシステムやミニコンポなどで音楽を再生する場合、左右に2つのスピーカーを設置して鳴らします。これはステレオ方式といって右チャンネル、左チャンネルの2つのスピーカーによって左右に広がる音場を再現します。
この時のステレオアンプの役割はCDプレーヤーなどから右と左のチャンネルの音声信号を受け、増幅して左右それぞれのスピーカーに信号を送り、スピーカーを駆動することです。
ステレオアンプの場合
一方、AVアンプの役割は、音の増幅だけではなく、映像も処理することです。映画やミュージックビデオ、スポーツ中継などの映像コンテンツを、複数のスピーカーから音を出すサラウンド音声で臨場感たっぷりに楽しめます。
ステレオアンプとの最大の違いは、まず接続できるスピーカーの数が多いこと。ステレオの2チャンネルよりずっと多いチャンネルを駆動する能力を持っています。また、バーチャルでサラウンドを楽しむ機能も持っているものもあります。
通常ホームシアターではサラウンド方式での再生が行われます。たとえばサラウンド再生の場合、最も基本的な構成である5.1チャンネル再生(下図)では、5台のスピーカーと低音専用のスピーカーであるサブウーハーの6台のスピーカーを使用します。AVアンプは1台でこれらのスピーカーをすべて駆動することができます。
AVアンプの場合
サラウンドフォーマットは現在、5.1チャンネル、7.1チャンネルなどのフォーマットに加え、天井や壁面の高い位置にスピーカーを設置することで立体的な音響空間を表現する7.1.2チャンネルなどのイマーシブオーディオと呼ばれるフォーマットもあります。AVアンプはこれら数多くのスピーカーを再生するために、中に多数のアンプを搭載しています。たとえばデノンではエントリーモデルのAVR-X1600HやAVR-X2700Hでは7.2チャンネル出力に対応していますし、フラッグシップモデルのAVC-A110では13.2チャンネル出力に対応しています。
しかし、初めから6台以上のスピーカーをすべて揃えないとサラウンドを楽しめないということではありません。大体のAVアンプには、フロントスピーカーだけでもサラウンドが楽しめるバーチャルサラウンド機能が搭載されています。まずは2台のスピーカーから始めて、徐々にスピーカーを増やしてシステムを拡張していくこともできます。自分の好きなスピーカーを選んだり、チャンネル数を増やしたりと、カスタマイズできるのがAVアンプの面白いところでもあります。
AVアンプの入力はHDMI端子から
もう一点、ステレオアンプとAVアンプでは大きな違いがあります。それは入力です。
ステレオアンプではCDプレーヤーなどから右チャンネル用、左チャンネル用の音声信号のみが送られてきて、それを増幅します。
しかしAVアンプには音声信号だけでなく、Blu-rayプレーヤーなどから映像信号と音声信号とが一体となったデジタルデータの状態でHDMI入力端子から入力されます。AVアンプでは、そのデータを音声信号と映像信号に分け、映像信号はテレビやプロジェクターへHDMI出力端子から送り出します。そして音声信号はフォーマットにあわせてデコードし、D/A変換(デジタル音声信号をアナログに変換)した後に増幅を行います。このようにAVアンプの内部では様々な処理が行われています。
サラウンドの詳細についてはデノンオフィシャルブログ超初心者シリーズの「サラウンドって何?」をぜひご覧ください。
対応フォーマット、HDMI端子数、チャンネル数などの確認をお忘れなく!
最後にAVアンプを選ぶ時に注意すべき点を挙げておきます。
●対応音声フォーマット
AVアンプはHDMI端子を経由して音声と映像のデジタルデータを受信するため、再生するコンテンツとAVアンプのフォーマットが適合していないと正しく再生できませんので注意が必要です。
最新のAVアンプが対応している音声フォーマットにはDolby Atmos、DTS:X、Auro-3Dなどがあります。いずれも立体的なサラウンドが楽しめるイマーシブオーディオ対応フォーマットですが、コンテンツによって採用しているフォーマットが異なりますので、再生する際にはAVアンプがそのフォーマットに対応していることをご確認ください。
イマーシブサウンドについてはデノンオフィシャルブログの以下のエントリーをぜひご覧ください。
●対応映像フォーマット
映像に関しては4Kや8Kなどのフォーマットがあります。下位互換性はありますが、8K対応のテレビ、プロジェクター、ゲーム機などを接続して8Kの映像を楽しみたい場合は、8K対応のAVアンプが必要です。HDMIケーブルも8Kに対応したものが必要となります。
8Kについてはデノンオフィシャルブログの以下のエントリーをぜひご覧ください。
●チャンネル数
チャンネル数とは、AVアンプに接続できるスピーカーの台数です。チャンネル数は基本的な5.1チャンネルから7.1チャンネル、9.1チャンネル、5.1.2チャンネル、7.1.4チャンネルなど、さまざまなタイプがあります。構築するホームシアターのスピーカーセッティングにあわせてお選びください。
●入出力端子
アンプによって搭載されているHDMI端子の数も異なります。Blu-rayレコーダー、DVDレコーダー、ゲーム機、衛星放送チューナーなどの接続したい入力機器の数、テレビ、プロジェクターなどの出力したい機器の数を考慮して必要なHDMI端子の数を搭載したAVアンプをお選びください。
●そのほかの機能
AVアンプにはスマホなどから音声を送って再生できるBluetooth機能や、Bluetoothヘッドホンで聴取できるBluetooth送信機能、HEOS、AirPlay2といったネットワークオーディオ機能、Amazon Alexaなどの音声コントロール対応、ハイレゾ音源対応など、さまざまな機能が搭載されています。用途や使い方に応じて、必要な機能を持ったAVアンプをお選びください。
(編集部I)