音楽が名脇役 Part-1
映画音楽には優れた名曲がたくさんあります。曲そのものが、物語の重要なキーとしてストーリーに深く関わってくる映画を探しみるのも面白いですね。そこで今回は、クラシック音楽が名脇役となって登場する映画3本を紹介します。
曲そのものが、物語の重要なキーとしてストーリーに深く関わってくる映画を探しみるのも面白いですね。
そこで今回は、クラシック音楽が名脇役となって登場する映画3本を紹介します。
まずは、フランク・ダラボン監督作品「ショーシャンクの空に」(1994年)から。
『ショーシャンクの空に』
ブルーレイ ¥2,500(税込)
DVD ¥1,500(税込)
ワーナー・ホーム・ビデオ
スティーヴン・キングの小説を原作とする名作映画です。妻殺害の容疑から有罪判決を受けたエリート銀行マンが過ごす獄中での日々が描かれています。
音楽が名脇役ぶりを発揮するのは、物語の中盤。
主人公は、獄中生活を豊かにするために図書館の本を充実させる要望を何度も提出し続け、ついに認められます。
そして届いた本の中に、クラシックのレコードが含まれていたのです。
それはモーツァルトの「フィガロの結婚」でした。主人公は、看守の目を盗み、放送室でレコードを再生。
フィガロの結婚が施設全体に大音量で響き渡ります。
驚いてベッドから飛び起きるもの、刑務作業の手を休めてスピーカーを見上げるもの、屋外で立ち尽くすもの……。
美しい歌声に心を奪われる囚人たちの表情から、さまざまな思いが伝わってきます。
主人公は、許可なく放送した罰として2週間ほど独居房に閉じ込められますが、出てきたときに仲間たちと交わすセリフに彼の人生観が表れています。
そのシーンはぜひ映画でお確かめください。
2つ目はかなりメジャーな映画。
ゲイリー・マーシャル監督作品「プリティ・ウーマン」(1990年)です。
富豪の実業家とコールガールの、ふとした偶然による出会いから始まるラブストーリー。
この作品で名脇役ぶりを発揮する音楽は、実業家がヒロインを連れて行ったオペラ。
映画では説明されないのですが、演目はヴェルディの「椿姫」です。
椿姫は、高級娼婦と、彼女に恋をした若い青年貴族の悲しい物語です。
二人の恋は成就するものの、周囲の反対を受けて関係は絶たれます。
しかし想いを断ち切ることができず、再会を果たしたとき、すでに彼女は重い病に侵され、彼の手の中で息を引き取るのです。
椿姫の主人公たちの姿は、実業家とヒロインに重なります。
だからこそ、彼はこのオペラを見せたのでしょう。観劇中の彼女に送る彼の視線、オペラにぐいぐい惹きこまれていく彼女の表情。
しかもこの曲、ラストシーンの伏線にもなっています。演目が椿姫と理解したうえで、改めて見ていただきたいシーンです。
3つ目はちょっと古いのですが、ジャン=ジャック・ベネックス監督作品「ディーバ」(1981年)です。
『ディーバ <製作30周年記念 HDリマスター・エディション>』
DVD ¥ 3,800(税抜)
発売元:ハピネット ©Happinet
主人公は、あるオペラ歌手に憧れる郵便配達の青年。
オペラ歌手はディーバ(歌姫)と呼ばれるほどのカリスマですが、劇場で歌うことを至上としているため、レコードに記録することを一切認めていません。
ところが主人公の青年は、彼女の歌声を隠し撮りしてしまうのです。
この隠し撮りされた録音テープを巡って、主人公の青年が不可解な事件に巻き込まれていきます。。
非常に良い状態で録音されたテープは、レコードの海賊版を販売する悪徳業者に狙われます。
さらに町を牛耳るマフィアの秘密を記録したカセットテープまで主人公の手に渡ってしまいます。
そのため主人公は悪徳業者、マフィア、警察からひたすら逃げ回るのです。
音楽ファンとしてはこの映画は見どころ満載。たとえば主人公が隠し撮りに使った機器は、なんとオープンリールのデッキ。
しかもバッテリー駆動のタイプ。結構大きいのに、ソファーの横に持ってきて音楽を聴くシーンなんて、メカ好きなマニア心を刺激します。
この作品での名脇役は、隠し撮りされた歌、カタラーニのオペラ「ラ・ワリー」です。
特筆すべきはラストシーンでディーバが口にするセリフと、そこに流れる歌声の美しさ。
……ネタバレしたくないので、これ以上は書けません。ぜひDVDでご覧ください。
個人的には、今回紹介した3作品の中で一押しの美しいシーンです。
ぜひホームシアターやサウンドバーの高音質で体験してみてください!
それから、音楽が名脇役のおすすめの映画があれば、ぜひFacebookデノンページで教えて下さい!
今後のコンテンツの参考とさせていただきます。
(Denon Official Blog 編集部 O)