背筋も凍る「怖い映画」をホームシアターで堪能しよう
夏といえば「怖い映画」。深夜自宅で一人見る怖い映画ほど背筋が寒くなるものはありません。今回は「音」と「場所」に着目して、ホームシアターのサウンドのリアリティを心臓がバクバクするほど実感できる映画をご紹介します。
まだまだ残暑厳しい日が続きますね。夏の夜の定番といえば、ホラー映画やサスペンス映画など「怖い映画」です。
映画館で見ても怖いものですが、何といっても深夜一人、テレビで見る怖い映画ほど背筋が寒くなるものはありません。
映像と同じぐらい大切なのが「音」なのは言うまでもないでしょう。
ささやきや足音、風の音、モンスターが何かを破壊する音。
そういう音の効果が、映画をいっそう怖くしていますよね。
深夜一人、サラウンド5.1ch以上に対応したソフトをホームシアターで見れば、音響による臨場感で背筋が寒くなりっぱなし。
残暑なんかフッとんでしまいます!
臨場感といいましたが、よく考えると本当に怖いのはモンスターそのものより、それが登場する「場所」なんじゃないかと思えてきます。
そしてその「場所」に臨場感を与えるのが「音」です。
たとえば、古い屋敷、夜の森、野中の一軒家、夜の病院といった「場所」、そこで四方から聞こえるかすかな「音」が、私たちを震え上がらせてくれます。
だから怖い映画の鑑賞には、その「場」を音の効果でリアルに再現してくれるホームシアターが、一段と威力を発揮するわけです。
そこで今回は、映像と音で表現されたコワ〜い「音」と「場所」に着目して、いろいろな「怖い映画」をご紹介してみます。
「アザーズ」DVD
発売中
発売元:ポニーキャニオン、ギャガ
販売元:ポニーキャニオン
価格 ¥4,700(本体)+税/2枚組
(C)2001 SOGECINE and LAS PRODUCCIONES DEL ESCORPION
怖い場所といえば、代表選手は何といっても「ヨーロッパの古い屋敷」でしょう。
「アザーズ」(2001年 アメリカ、スペイン、フランス)の舞台は1945年の英仏海峡、深い霧に覆われたチャネル諸島にある壮麗な屋敷。
美しい母親役をニコール・キッドマンが好演しています。
戦争に出征した夫を待ち続ける母親と、光線過敏症を患う二人の子どもたち。
子どもたちを光に当てられないことから、母親は屋敷のカーテンやドアを神経質なまでに閉じることが日課となっています。
映画全体を通して薄暗い画面のなかで、足音などの音響効果が、石造りの屋敷の冷たい雰囲気をしみわたるように表現しています。
物語は新しく三人の召使いを雇い入れたときから始まり、やがて屋敷内に不思議なささやき声やピアノの音が聞こえるようになって・・・
怖いけれど最後は泣けてしまう、哀しくて心に響く映画です。
「ソウ」
価格 ¥2,381 +税
発売元 アスミック・エース
販売元 株式会社KADOKAWA 角川書店
(C)2004 SAW PRODUCTION INC
現代の物語になると「怖い場所」も多様化します。
「ソウ」(2004年 アメリカ)で、二人の男が目覚めたのはうち捨てられたような古いバスルーム。
たぶんどこかの地下です。
二人は部屋の対角で鎖に足をつながれて身動きができず、部屋の中央には一人の男の死体。
姿の見えない犯人からのメッセージが、テープレコーダーや携帯電話から届きます。
犯人の抑揚のない、くぐもったような声が、捕らえられた二人の絶望感を際立たせます。
そして映画のタイトルでもある「のこぎり」の音など、怖い「音」も満載。
物語は、犯人を追う刑事の視点もはさみながら、タイトルから容易に想像できる「迎えたくないある結末」に向かって突き進んでいきます。
この映画のヒットで「ソウ」はシリーズ化され、続編が次々と誕生しています。
(国内では販売が終了しているようですが、DVDはたいていのレンタル店にあります)
以前は精神病院だった巨大な廃虚。
しかもそこはかつてロボトミー手術発祥の地といわれ、非人道的な治療により閉鎖に追い込まれた病院。
この廃虚は2008年まで実在した・・・もうこれだけで充分ですね。
「セッション9」(2001年 アメリカ)は、その廃虚でアスベスト除去工事を行う男たちの物語です。
淡々と作業を続ける男たちですが、廃虚の空気に蝕まれるように、少しずつ精神的に追いつめられていきます。
オープンリール式テープに残された解離性同一障害患者のインタビュー記録を一人の男が興味本位で聴くようになり、
そのインタビューの進行に合わせるように事件が起こります。
この映画の主人公はまさに廃虚という場所そのもの。
心臓をギュッとつかまれるような効果音がときどき挿入されるのでご注意を。
「呪怨」劇場版 デラックス版
発売中
価格 ¥1,111 +税
発売元:NBCユニバーサルエンターテイメント
(C)「呪怨」製作委員会
かわって日本代表はこちら。
「呪怨」(2003年 日本)の怖さは、その恐ろしい出来事が、日本のどこにでもあるような郊外の住宅地で起こることにあります。
建築当初は立派だったことが想像できる、古めの木造住宅。
その階段のきしみやドアを開け閉めする音は、日本で一戸建て住宅に住む人なら毎日聞き慣れているような生活音。
その音から、住まいに染みついた匂いさえ連想できてしまいます。
そんな極めて日常的な空間に登場するのが、かの「リング」の貞子をパワーアップさせたような「伽椰子」と「俊雄」です。
伽椰子の「あ、あ、あ・・・・」という奇声にはなんとも言えない恐怖感が湧き上がります。
相手が誰であろうとおかまいなし。
とにかくその家という場所に足を踏み入れた人々に理不尽に襲いかかります。
おまけに何とかこの家から逃がれても彼らはどこまでも追ってくるので、救いがありません。
ハリウッド版(物語の舞台は同じ日本です)でも海外の人々を震え上がらせたようなので、この怖さは世界共通の感覚なのでしょう。
「ディセント」
発販元:エイベックス・ピクチャーズ
(c)CELADORFILMS 2005
怖いのは建物の中だけではありません。
大自然も恐怖でいっぱいです。「ディセント」(2005年 イギリス)の舞台は未踏の洞窟。
休暇で訪れた6人の女性はいずれも冒険好きで、クライミング道具の扱いも手慣れたもの。
でも潜行して間もなく落盤で出口をふさがれるというアクシデントが起き、6人は出口を探して洞窟内をひたすらさまようことになります。
すべて暗い洞窟内のドラマなので、カラビナがカチャカチャと触れ合う音や水の滴る音、
焦燥に駆られトーンの上がった女性たちの会話が、耳に突き刺さるように響いてきます。
ネイチャー・サバイバルものだったとしても充分に怖いのですが、
映画の後半、洞窟内で聴こえるはずのない音がして・・・一気に新たな恐怖が襲ってきます。
「ジョーズ」
発売中
価格 ¥1,886 +税
発売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
(C) 1975 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.
自然の恐怖といえば、この映画を抜きには語れません。
スティーヴン・スピルバーグの出世作「ジョーズ」(1975年 アメリカ)で人々を恐怖に引きずり込む「怖い場所」は「海」です。
海水浴客でにぎわう穏やかな海が、巨大鮫の出現により一転して恐怖の空間に変貌します。
迫る鮫の恐怖を倍増させるジョン・ウィリアムズの曲は映画音楽史に残る名作。
ボロ船「オルカ号」の頼りないエンジン音も印象的です。
そしてサメ漁師ブロディの登場シーン。
あの「音」ひとつで、この人物がどれだけアウトローなのか強烈に印象づけてくれます。
アカデミー作曲賞、音響賞を受賞したこの作品は、まさに「恐怖は音で作られる」ということを示してくれた作品です。
(国内では販売が終了しているようですが、DVDはたいていのレンタル店にあります)
最後はこれ。古今東西いちばん怖い映画は何か、とアンケートをとったら必ずベストテンに入ってくる作品ではないでしょうか。
この「悪魔のいけにえ」(1975年 アメリカ)は、そのプロットや映像の芸術性ゆえに、
ニューヨーク近代美術館にマスターフィルムが永久保存されています。
登場人物の若者たちを恐怖に陥れる場所は、アメリカ深南部の片田舎。
ガソリンスタンドが一軒、廃屋が一軒に家が一軒だけという、集落ともいえない荒れ地です。
どこからともなく響いてくる小型発電機の音が、ここが外界から隔離された場所であることをじんわりと教えてくれます。
邦題のように「悪魔」が出てくるわけではなく、怖いのは人間なのですが、
主役?のレザーフェイスが使うチェーンソーの音が怖いのはもちろん、彼のもう一つの武器が発する音が心底恐ろしい。
さらに、彼の家族の狂気に比べるとレザーフェイスはまだカワイイ・・・と恐怖はノンストップ。
レンタル店にあるうちにぜひ一度ご覧くださいと言うべきか、見ないほうがいいですと言うべきか。
とにかく、ホラー映画史に残る作品であることは間違いありません。
映画の草創期から数えきれないほどの名作が生まれてきたホラー映画やサスペンス映画。
真の恐怖を味わうにはホームシアターが最適です。
この夏、ぜひ体験してみてください。
(Denon Official Blog 編集部Y)