ドルビーアトモス体験記
ホームシアターで最近話題のキーワードと言えば「ドルビーアトモス」。でも、どう凄いのかイマイチよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。というわけで今回はブログ編集部がデノンの試聴室でドルビーアトモスを体験してきました。
ホームシアターで最近話題のキーワードと言えば「ドルビーアトモス」。
でも、どう凄いのかイマイチよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。
というわけで今回はブログ編集部がデノンの試聴室でドルビーアトモスを体験してきました。
ドルビーアトモスについての案内人は、マーケティンググループの宮原にお願いしました。
D&Mホールディングス マーケティンググループ宮原利温
宮原:まず最初にドルビーデジタルの変遷についてお話しすると、まず1992年のドルビーデジタルが出て、1998年のドルビーサラウンドEX、そして2006年のドルビートゥルーHDではロスレスになりました。
このように6~8年の非常に長い周期で大きなフォーマットの進化がありました。
そして今回、2014年のドルビーアトモスも、そのレベルの大きなフォーマットの進化となります。
今後の製品にも大きな影響を及ぼしてくる大変革です。
編集部:ドルビーアトモスはどういうものなのでしょうか。
宮原:ドルビーラボラトリーズによる最新のフォーマットですが、これまでよりさらに進化した、新しいシネマサウンド技術です。
ちょっと難しくなりますが、従来のチャンネルベースのサウンドトラックの上に制作者が自在に配置し、縦横無尽に動かすことができる独立した音響要素「オブジェクト」を重ね合わせることで、これまでにないリアルな音響が体験できるようになっています。
サラウンドスピーカーに加えてオーバーヘッドスピーカーを使用するため、実際の世界と同じように頭上からの音を再現することができます。
水平方向のサラウンドに加えて垂直方向(頭上)も含めた全方向からの自然な音響空間に「包み込まれる」ので、映画を観ていても、あたかも映画の世界に入り込んだような感覚で楽しめるというものです。
編集部:ドルビーアトモスの特長は?
宮原:最大の特徴はトップスピーカー、つまり天井のスピーカーを使うことです。
今までのホームシアターの方式は「5.1」や「7.2」という表記でサラウンドスピーカーの数とサブウーハーの数を示していましたが、ドルビーアトモスでは3ケタとなり「5.1.2」とか「7.1.4」と表記します。
その最後の数字がトップスピーカーの数を示します。
↑一般的なドルビーアトモスのセッティング(7.1.4)
ではトップスピーカーを使うと、音場表現がどう変わるか、ですが、直接的には飛行機が上を通るといった今まで再現できなかった頭上の音場が再現できます。
こうした垂直方向のサラウンド感は新しい体験だと思います。
また、今までのサラウンドに関しても、トップスピーカーがあることで、より連続性があって自然な音、スムーズさを感じることができる、と私は感じました。
たとえば部屋の形状や広さの都合で理想的な場所のスピーカーが置けるわけではないですよね。
設置性の限界といいますか。
たとえばサイドスピーカーが正しい位置に置けない、というケースでもその間に設置されたアトモス用のトップスピーカーの効果によって、空間の隙間が埋められ、より自然な音場が表現できるように思います。
編集部:この試聴室ではトップスピーカーはどれですか?
宮原:天井に埋め込んでありますが、3つありますが、トップフロント、トップミドル、トップリアとなっています。
7.1.4のようにトップスピーカーを4つ使う場合にはトップフロントとトップリアを使います。
5.1.2のようにトップスピーカーを2つ使う場合にはトップミドルを使います。
編集部:天井にスピーカーを埋め込むのは、結構大変な気がします。
宮原:たしかにそういう面はあるかもしれません。
ただトップスピーカーの代わりに天井に向けて床置きで設置し天井の反射を利用するドルビーアトモス用の「イネーブルスピーカー」が使用できます。
また9.1サラウンドなどで使っていたフロントやリアのハイトスピーカーを使用するモードもAVR-X7200Wでは用意しています。
AVR-X7200Wは、アトモスを使う際に、かなりスピーカーアサインの自由度が高いAVアンプだといえるでしょう。
↑AVR-X7200Wは9.2chなど用のフロントハイトをトップスピーカーの代用として使用できるモードも用意している
編集部:では試聴をお願いします。
宮原:最初はドルビーから提供されているトレイラーをいくつか観てみましょうか。
~試聴~
編集部:自然をテーマにしたものを見せてもらいましたが、まず雨の表現が今まで体験したことのないものでした。
思わず上を見上げてしまいました。
それにジャングルでの葉擦れや動物の声による包まれ感! ジャングルの中にいるとしか思えないような凄いリアリティです。
また川に流されて滝壺に飲み込まれるシーンは全方向の水の音がグルグルして、もう溺れて死ぬんじゃないかと(笑)。
宮原:リアリティがすごいですよね。
上からの音があると映像に全身で没入できる感じがわかると思います。
それと今までにない「オブジェクト」という今までにない考え方での音の動かし方が、やはり凄いですね。
宮原:ネイチャーものとは違う作品もお見せしておきましょう。
アメリカの人気ダンス映画のシリーズ最新作品。
ドルビーアトモス対応のものです。
~試聴~
編集部:ダンスを踊る場所が円形のシアターですが、客席が円筒状で上の方まであるので、観客の声や拍手が前からも横からも、そして上の方からも振ってきて凄いリアリティです。
動き回るダンサーに合わせて音も激しく動くので、すごい迫力ですね。
宮原:またクラシックのコンサートなどの音楽コンテンツでもアトモスの良さは体感できます。
しかも、アトモスに対応していないソフトでもAVR-X7200Wは内部で演算してアトモス再生用の音をバーチャルに生成してくれるので、トップスピーカーを使う環境で楽しめます(ドルビーサラウンド)。
では小澤征爾指揮、サイトウキネンオーケストラの演奏をアトモスに対応していないソフトで聴いてみましょう。
~試聴~
編集部:途中ドルビーサラウンドにしたり、もとのトップスピーカーなしのものにしてもらったりして聴きましたが、やはりドルビーサラウンドのほうが圧倒的に臨場感があって、まるでコンサートホールで聴いているようでした。
これなら手持ちのBlu-rayソフトをドルビーサラウンドで聴いてみる楽しみも十分味わえそうですね。
宮原:手持ちのBlu-rayの映画コンテンツも、ドルビーサラウンドにして聴くと、今までと違った感動が得られると思います。
古代の戦争をテーマにした映画で、投石機で石を投げるシーンを見てみましょう。
こちらもアトモス非対応のコンテンツですが、ドルビーサラウンドによりトップスピーカーの音が合成されます。
~試聴~
編集部:あきらかに重い石が上を飛んでいるような音場ですね、今までのフォーマットの映画でも、こんな風にバーチャルながらアトモスの音場が楽しめるのは凄いですね。
宮原:そういう方もたくさんいらっしゃいます。
お気に入りの映画や音楽ソフトをドルビーサラウンドで聴くことで、その魅力が再発見できた、という声もよく聞きます。
聴き慣れた音源のほうが、今までのフォーマットとの違いもよくわかると思いますから、ぜひ聴き比べなどしつつ、ぜひアトモスの世界をご体験いただきたいと思います。
9.2ch AVサラウンドレシーバー
希望小売価格:350,000円(税抜価格)
(Denon Official Blog 編集部I)