進化するスタンダード。RCD-M40登場
CDレシーバーRCD-M40は初代D-M7から数えると18年の長きに亘ってロングセラーとなっているMシリーズの最新モデルです。今回はMシリーズを貫くコンセプトやデザインにフォーカスしてその魅力に迫ります。
ワンボディでHi-Fiグレードの高音質を実現したコンポーネントD-M40シリーズが登場しました。
CDレシーバーRCD-M40は初代D-M7から数えると18年の長きに亘ってロングセラーとなっているMシリーズの最新モデルです。
デノン公式グログではそのMシリーズを貫くコンセプトやデザインにフォーカスしてその魅力に迫ります。
D&Mホールディングス インダストリアルデザイナー 山後 光広
RCD-M40
CDレシーバー RCD-M40
RCD-M40の詳細はこちらをご覧ください。
希望小売価格 42,800円(税抜価格)
●M40とはどんなモデルでしょうか。
山後: MシリーズはコンパクトながらHi-Fiグレードの高音質が楽しめる小型イコンポのシリーズです。
M40はその最新モデルとなります。
●Mシリーズには長い歴史があるそうですね。
山後: Mシリーズは長年多くの方に愛されてきた伝統あるシリーズです。
その歴史を振り返ると、初代は1997年に発売されたD-M7というモデルになります。
当時はLapisia(ラピシア)というサブネームがついていましたが、これは社内で公募したものです。
そこから現在まで18年に亘ってMシリーズは受け継がれてきました。
下の写真で言いますと、M30が第4世代、M31が第5世代、M33が第6世代、M37が第7世代、M38が第8世代、M39が第9世代。
そして今回のM40で10世代目となります。
長い間発売されているMシリーズですが、ご覧のようにデザインを大きく変えてこなかったのも特長といえるでしょう。
●確かに並べてみると、デザイン面での大きな変化はないように感じられますね。
山後:シリーズが登場してから今に至るまでMシリーズは「デノンのフルサイズのHi-Fiオーディオの高音質を継承したコンパクトなコンポ」というコンセプトで貫かれています。
その芯にブレはありません。
ですからデザインもそれを体現するべく「Hi-Fiオーディオを凝縮したデザイン」となっており、その考え方もブレることなく継承されています。
ですから急に大きくイメージを変える、ということはありませんでした。
●デザインに関して具体的に言うと、どんな点が継承されてきた点でしょうか。
山後:近年のデノンのHi-Fiオーディオ機器はフロントパネルの形状がラウンドしている点が大きな特徴です。
そこでMシリーズでもその外観上の特徴を継承し、下にボリュームを持たせたラウンド形状となっています。
そのほかにも材質としてフロントパネルにアルミのパネルを使っている点、またボリュームノブに関しても同じくアルミを使っている点もずっと継承されてきました。
コスト面だけを見ればプラスチックの方が安価ですが、音質面で有利であることに加え、質感やフィーリングの面でもアルミの本物感は妥協できない部分です。
特にボリュームはお客様が頻繁に触ることになります。
触れたときのヒヤっとしたあの感覚は、プラスチックでは決して出せない「本物感」であり、それがHi-Fi機器らしい高級感につながるわけです。
ですからそのあたりはずっと継承してきました。
↑下にボリュームのあるラウンド形状のトップパネル
●では逆に、今回変わった点はどんな点でしょうか。
山後:いちばん大きな変更点は、ボリュームの大きさと造作です。
この写真では上が前モデルのM39、下が今回のM40ですが、ボリューム周りが大きく変わっていることがおわかりいただけると思います。
M40はボリュームの周りをすり鉢状に抉り、一回り以上大きいサイズのボリュームノブを搭載しています。
これは昨年登場したデノンのプリメインアンプのフラッグシップモデルであるPMA-SX1のイメージを踏襲したものです。
Hi-Fiのフラッグシップモデルが変わったので、そこにイメージを合わせました。
もちろん操作性の面でもボリュームノブが大きい方が操作しやすくなります。
●ほかに今回ならではの変更点はありますか。
山後:細かい部分ですがボタンの仕上げを変えました。
従来はツルツルのメッキだったのですが、今回は同心円状の凹凸がある「スピン仕上げ」としました。
こちらもよりHi-Fiのテイストに近づけることで高級感を演出しています。
↑RCD-M40のボタン。細かい同心円状のスピン加工が施されている
↑RCD-M38のボタンは表面が滑らかなメッキ加工
●Mシリーズのように長年デザインコンセプトを大きく変えない製品のプロダクトデザインは、デザイナーとしてはかえって難しい点があるのではないでしょうか。
山後:そうなんです。
このシリーズは音が「本物」なので、時を経ても陳腐化することのない本物感をいかに大切にするか。
古びることのないスタンダード感をどう醸成するか、それが難しいところでした。
この苦労って実は「老舗の味」と似ていると思うんです。
守りすぎてずっと同じ味では飽きられてしまう。
でも変えすぎると受け入れられない可能性がある、この絶妙のさじ加減がデザインの肝でした。
変わらないことをキープしながら、どこに新しさを出すか、それを考えるのはけっこう大変でした。
●とはいえ、歴代のモデルの実機を並べてみるとやはり時代性は感じられますね。
山後:やはりこうやって並べてみると、ちょっとした面の処理やエッジの処理などでデザインのトーンや方法論の変遷がよくわかります。
やはり時代のデザインの流れの影響を受けているんです。
たとえば液晶の窓の角の曲線を見ても昔のモノの方がアールが大きいですし、CDトレイの両端の形状の処理も昔のものはラウンドしています。
それに昔のモデルのほうがスイッチが多いので、それに伴って造形的な飾りも多くなっています。
これらの過飾的な部分は時代を経るごとに削ぎ落とされていき、どんどんデザインが研ぎ澄まされていっています。
↑歴代のMシリーズ。
上からRCD-M-40、RCD-M39、RCD-M38、RCD-M33
●となると数年後に登場するであろうM41ではどうなるのでしょうか。
山後:うーん、それは……(笑)。
M40まで来て、かなりデザインとしてはやりきった感がありますから、この後はちょっと悩むんじゃないでしょうか。
(Denon Official Blog 編集部 I)