| ハイレゾ音源&リマスターCDプレゼントキャンペーン | 特別対談 マスタリングエンジニア毛利篤 x サウンドマネージャー米田晋 |

日本コロムビア株式会社の全面協力によって実現した、DCD-SX1発売記念キャンペーン音源「DCD-SX1 MUSIC SAMPLER」。その完成を受けて、2013年10月9日、川崎にあるデノン試聴室にて特別対談を行いました。マスタリングを担当した日本コロムビア毛利篤氏とデノン製品のサウンドチューニングを担うサウンドマネージャー米田晋が、収録された各曲を試聴。オリジナルの市販CDも用意し、新たに制作されたリマスタリングCD、リマスタリングデータとの音の違いを確認。ここにその様子を再現しました。
(左)日本コロムビア 毛利篤と(右)デノンサウンドマネージャー 米田晋

スーパーオーディオCDプレーヤー:Denon DCD-SX1
プリメインアンプ:Denon PMA-SX
スピーカー:Bowers & Wilkins 801D
データ再生用パソコン:MacBook Air
データ再生ソフト:Audirvana Plus

毛利: Hi-Fiに特化したマスタリングは極めて珍しいことです。通常、特定の機器をターゲットとしたマスタリングをすることはまずありませんが、今回は再生機としてDCD-SX1をターゲットにしました。さすがにデノンのフラッグシップモデルだけあって、空間表現力が豊かで、ダイナミックレンジも広く、その音質の上品さ、繊細さには驚かされました。今回の特別なマスタリングでは、その特長が活かせるように努めました。





作詞:Mitchell Parish

作曲:Hoagy Carmichael

編曲:山屋清 

伴奏:原信夫とシャープス・アンド・フラッツ

1965年録音、アルバム「 ひばりジャズを歌う」より。美空ひばり、初の192kHz/24bitハイレゾ音源をwavで収録、ダウンサンプリング音源をCDに収録。

美空ひばり初のハイレゾ音源となる貴重な作品。ハイレゾ音源は、アナログ録音のマスターから192kHz/24bitのデータを制作した。リマスターCDはそれをベースに44.1kHz/16bitに変換した。

米田: DCD-SX1で聴くと、市販CDもリマスターCDも十分に聴き応えがありますが、リマスターCDは音場がより安定していますね。誰もが知っている歌なのに、リマスターCDの極めて自然なサウンドが、新しさ、瑞々しさを感じさせてくれました。

毛利:確かにリマスターCDは前奏におけるオーケストラの小さな音、ボーカルのエコーの消え具合など、会場で響いてくるような雰囲気が伝わってきます。一方、ハイレゾ音源は192kHz/24bitと解像度が高いため、リマスターCDよりも、さらに音色の滑らかさが感じられると思います。

米田:確かにダイナミックレンジの伸びは、リマスターCDより優れていますね。一方でボーカルの声がふっと現れるシーンなどは、リマスターCDのほうが美しく響きました。

毛利:実は私のテスト環境では、また違った響きで聴こえていました。再生に用いるパソコンの構成、設定によって音が変わってくるのが、ハイレゾ音源の難しいところであり、聴き比べの楽しみでもあります。


作詞・作曲:小椋佳

編曲:若草恵

元はCMソングとして企画された異色作。1986年録音、アナログマスターをDCDSX1のためにリマスタリングして収録。



アナログ録音のマスターを用いて改めてマスタリングした。リマスターCDもパソコン用音源も44.1kHz/16bit。

米田:市販CDと比較してリマスターCDは、ボーカルの透明感が強く出ていて、歌声が気持ちよく耳に届きますね。

毛利:ハイレゾ音源もあえてCDと同じ44.1kHz/16bitにしています。しかしスターダストと同様、空間表現力、ダイナミックレンジが感じられるように狙った音づくりをしています。

米田:意外なことですが、リマスターCDと音の響き方が違いますね。3つとも同じ44.1kHz/16bitでも、マスタリングの方法でこれだけ音場が違うんですね。


作詞:秋元康

作曲:見岳章

編曲:竜崎孝路

今や日本のスタンダードとなった名曲。

1988年録音、PCM録音を、DCD-SX1のためにリマスタリングして収録。



44.1kHz/16bitのデジタル録音のマスターからリマスターCD、44.1kHz/16bitのパソコン用音源を制作した。

米田:市販CDに比べるとリマスターCDは美空ひばりの声が持つ優しい響きが強く印象に残りますね。

毛利:実はこの曲のマスタリングが一番難しかったんです。というのも、市販CDを担当したのも日本コロムビアのスタッフなので、音作りの傾向が似てしまうわけです。そこで意識してDCD-SX1らしさを追求しました。

毛利:パソコン用音源には思わず聴き入ってしまいました。CDと同じ44.1kHz/16bitなのですが、低音が非常に膨らんで空間の広がりが感じられます。

米田:音のプロポーションはマスター音源に近いのですが、音の伸びやかさ、耳にまとわりつくようなしっとりとした歌声が印象的です。音質は記録する規格だけでは決まらないことが実感できます。




作詞・作曲:Stevie Wonder

編曲:西山史翁

iTunesジャズ・チャート1位のアルバム「LOTUS F LOWER」から。

96kHz/24bitPCM録音をwav収録、それを基にダウンサンプリングしてCDに収録。

スティービー・ワンダーの「OVERJOYED」をSHANTIがカバーした曲。リマスターCDは市販CDの再録。96kHz/24bitのハイレゾ音源は、一定期間のみネットでダウンロード販売されたものを収録したもの。市販CD、ハイレゾ音源の順に聴き比べをした。

米田:ハイレゾ音源は、出だしで音が響く瞬間、初めて声が聴こえる瞬間に「構えがしっかりしている」とわかります。音の滑らかさ、音の響きがまったく違いますね。

毛利:DCD-SX1の上品な音と相まって、空間の広がりが感じられます。ハットの音もシャリシャリしていませんし、この曲はハイレゾでさらに魅力が深まります。


作曲:佐村河内守

演奏:大友直人指揮 東京交響楽団

録音:2011年4月11-12日 パルテノン多摩

大ヒット・クラシック「HIROSHIMA」第3章より後半部分。

本楽曲では初の96kHz/24bitハイレゾ音源をwavで収録、それを基にダウンサンプリングしてCDに収録。



クラシックとしては異例と呼べるほど話題になった佐村河内守の作品「HIROSHIMA」、そのクライマックスシーンを抜粋。リマスターCDは市販CDの再録、96kHz/24bitのデジタルマスター音源は世界初公開。

米田:ハイレゾ音源が持つ空間表現力に驚かされました。その一言に尽きます。CDと比べて聴くと、ハイレゾのメリットが一目瞭然。こういう音楽こそハイレゾ音源に向いているんですね。

毛利:フルオーケストラですから、演奏者の数、楽器の音が段違い。ステージも広い。その膨大な情報量を持つこの曲は、ハイレゾ音源だから表現できたといえます。




録音:1973年5月4&7日 イイノホール

現代最高のピアニストの一人ピリス、若き日の来日コンサートから。

DENONクラシック秘蔵アナログ音源を、DCD-SX1のために192kHz/24bitリマスタリングしてwav収録、それを基にダウンサンプリングしてCDに収録。

マリア・ジョアオ・ピリスはポルトガルのピアニスト。この演奏は1973年にアナログ盤として発売されたものの、翌年にデジタル収録したCDで全集が出たためにアナログ盤は廃盤に。今回、アナログ録音のマスターから192kHz/24bitにマスタリングした。ハイレゾ音源化は世界初。

米田:リマスターCDで聴くとピアノの音から、演奏者が発するエネルギーが伝わってくる感じがしますね。この録音はノイズの響きにも味があって、そこに注目して聴くのも楽しいです。ハイレゾ音源ではピアノの鍵盤に触れる彼女の独特なタッチ、その余韻がきちんと味わえますね。

毛利:狙い通りの音がしっかり出ていることがわかり、胸を撫でおろしました。これも、DCD-SX1の表現力があってこそ、ですね。

米田:デノンは日本コロムビアから独立した会社。昔はひとつの傘の元で、ソフト(レコードやCD)とハード(オーディオ機器)を作っていました。「大切な音楽を、お客様に届ける」という共通目的を達成するには、ソフトが悪くても、オーディオ機器が悪くてもいけません。ともに良質なものを作って「お客様が音楽を楽しめる環境」を提供したいという思いで切磋琢磨していたことが思い出されます。今回奇しくも両社が手を携えて、DCD-SX1というハードに最適なソフトを作るというプロジェクトが立ち上がり、懐かしさを感じるとともに、改めて「ソフトとハードは両輪だ」という認識を強くしました。




1978年、DENON(当時日本コロムビア)設計部に入社。テープデッキの設計に従事。1982年スピーカー設計の担当に。1988年商品企画部に異動しステレオシステムの企画を担当。1992年より製品の音質検証、プロモートに従事し、現在に至る。1992年以降のDENONブランド全製品に関わる。
1992年、日本コロムビアソフト技術部に入社。スタジオメンテ等に従事後、1994年よりマスタリングを担当し現在に至る。CDの他、SACDやBD等のサラウンド音声マスタリングまで幅広い分野を担当。近作は、ブルックナー:交響曲第9番&第8番/スクロヴァチェフスキ&読売日響(BD)、東京佼成ウインドオーケストラ/ 吹奏楽燦選(CD)。
【毛利篤氏がマスタリングを担当した推薦CD】
  • 上岡敏之&ヴッパータール交響楽団 『ベートーヴェン:交響曲 第9番《合唱》』 2013/11/6発売 COGQ-65
  • 吹奏楽燦選 フェスティーヴォ! 2013/10/23発売 COCQ-85028
  • RETURN TO BACH / 日下紗矢子 COCQ-84998
  • テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア COGQ-54/5
  • ブルックナー:交響曲第9番&第8番
  • スクロヴァチェフスキ&読売日響 COXO-1024