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 (昭和56年)

「DENONプレーヤー技術の集大成」
「Dynamic Servo Tracer」

超高級プレーヤー
DP-100M(受注生産)
標準価格:900,000円

■1981年11月



DENONは、放送局をはじめとする業務用機に代表される高信頼性高忠実度再生テクノロジーを一貫して駆使してまいりました。
高精度磁気記録検出によるスピードサーボ、水晶発振器による位相制御、さらに新開発ハイトルク3相ACモーターの採用等により、限界値まで回転性能を高めることが出来ました。
現在、ハイトルク3相ACモーターは、レコード制作時のカッターレーサーや業務用ターンテーブルに採用され、レコードメーカー放送局各社で活躍しております。
この度、DENONでは「ハイトルク3相ACモーター」「二重構造ターンテーブル」「アームベースフローティング構造」カットオフの低い「強力インシュレーター」の特長を持つ超高級プレーヤーDP-100(アームレス)に、f0のQを電子的にダンピング(水平・垂直)する新開発ダイナミックサーボトレーサー(電子サーボ軽質量トーンアームシステム)を搭載し、広帯域にわたる圧倒的な情報量と透明感、低域におけるスピード感とエネルギー感、中高域における解像力と表現力など超高級プレーヤーならではの完成度の高いプレーヤーDP-100Mとして完成させました。


主な特長

■ トーンアーム部

1. 電子ダンピング機構:ダイナミック・サーボ・トレーサー

f0のQを電子的にダンピングし、低域共振に起因する混変調ひずみの増加、クロストーク悪化による音質劣化を防止し、分解能のよいシャープな音像定位を実現しています。
また、ダンピングゲイン、カットオフ周波数が可変でき、最適なダンピング量を設定できます。

2. ストレート/S字形バイプアーム交換方式

ハイコンプライアンスカートリッジの性能を最大限に発揮させる軽量ロングタイプストレートアームと、すべてのカートリッジに対応するS字形パイプアームの交換方式です。
また、ストレート、S字共、材質は特殊軽合金に熱硬化処理を施し軽量化と十分な強度を両立させています。

ストレートアームのシェル部は、二層の硬質軽合金の間に粘弾性材料を組み合わせた三層ラミネート構造で、分割振動を効果的に制動しています。

3. リフター駆動機構

リフターは、専用アンギュラーコントロールモーターによって駆動しており、降下速度の可変できる安全設計です。またSP針を考慮して針圧20gまでの使用に耐える設計になっています。リフター操作は、リフター用UP/DOWNスイッチで操作でき、また、フォノモーター用のSTART/STOPスイッチとも連動し、モーターのスタートでリフトダウン、ストップでリフトアップします。

4. 無接触アンチスケーティング機構

レコードの外周部から内周部へと刻々と変化するインサイドフォース量を常に最適にキャンセルするため、本機では水平駆動部の制御コイルに流す電流を制御し、無接触のまま針圧に対応したキャンセル効果を得ています。

5. 滑らかな動作の高さ調整機構

カメラ等に用いられる精密ヘリコイド式アームエレベーション機構を採用。調整範囲も8mmと大きくとれ、殆んどのカートリッジを水平に保てます。

6. 正確な針圧が容易に得られる針圧調整機構

滑らかに動く針圧調整機構は、精密スパイラル使用のインナータイプで、最少目盛0.05g、1回転1.5g(2回転3gまで印加可能)と正確な調整ができます。

■ フォノモーター部

1. アウトローター形ハイトルク3相ACモーター採用

本機のモーターには、カッターレーサー、業務用プレーヤーとして開発されたハイトルク3相ACサーボモーターを採用しています。

  • AC三相駆動のため、3の倍数次高調波の打消しができ大変滑らかな回転が得られます。
  • シャフトは14mmφのステンレス系材料を高精度ラップ仕上げをしています。
  • ラジアル軸受は、回転体の測定器等の軸受にも使用されている銅錫合金を高精度ラッブ仕上げをしています。
  • スラスト軸受は、重量級ターンテーブルにも耐える鏡面仕上げしたサファイヤを採用し、ターンテーブルに8G以上の外力が加わると緩衝機構が働らきます。
  • DENON独自の磁気記録検出方式を更に高精度化した対向2個の検出ヘッド、サーボ回路、高精度軸受等によりワウ・フラッター0.003%(回転系)を得ています。
  • トルクは、慣性モーメント1,260kg・cm2(ターンテーブルシート、ローターを含む)のターンテーブルをす早く応答させる10kg・cm2のハイトルクとして、立上り時間0.4秒(33・1/3)という早い起動特性を得ています。
  • 負荷特性(0%)は、針圧1.5kg(最外周)以上と高くなっています。
  • 3スピード、デジタル表示ピッチコントロール付
    回転数は、33・1/3、45、78rpmの3スピードとなっています。
    ピッチコントロールは、クォーツのままで0.1%ピッチで±9.9%まで変化できます。

2. フリュイッド(流体)ダンパーとスプリングによる二重構造ターンテーブル

二重ターンテーブルの防振効果は、DP-80等ですでに実証済となっています。
モーターと直結した下部ターンテーブルと3ヶ所のスプリング板および、フリュイッドダンパーにより連結されています。
上部ターンテーブルと下部ターンテーブルは、回転方向には一体構造となっておりターンテーブルの回転ずれは生じません

  • アコースティツクフィードバツクや、外部からの振動の影響による音質劣化を防ぎ、更にハウジングマージンを高めることができます。
  • ターンテーブルの固有振動も、二重構造のオイルダンパーや振動吸収減衰効果の大きいターンテーブルシートにより吸収減衰させています。
  • 6.5kgの厚肉アルミ鋳物ターンテーブルは、滑らかなハイトルクモーターと優れたサーボ系等とあいまって、大きな外乱の影響にも極めて安定度の高い滑らかな回転が得られます。

3. フローティングアームボード

二重構造ターンテーブルの原理をアームボードフローティング構造にも採用いたしました。
4ケ所のスプリング板とオイルダンパー材により、フレームからの振動を遮断するとともに、アコースティックフィードバックによる外乱工ネルギーや鳴き現象を吸収減衰させています。

■ スプリングとオイルによる大型インシュレーター

プレーヤーの外部からの振動を効果的に防止するため、スプリングを使いカットオフ周波数を3.5Hzと低い値に設定するとともに、オイルダンバーの粘性抵抗によって振動伝達を効果的に防止しています。

■ 振動防止効果の高いアルミ鋳物フレーム

フレームは十分な強度を考慮した形状の厚肉アルミ鋳物製です。フレーム内のカバー、回路部品、トランス等は、振動防止のためフローティング構造にしてあります。


主な仕様

■フォノモーター部

  • 駆動方式:両方向サーボ・ダイレクトドライブ
  • モーター:アウトローター形3相ACサーボモーター
  • スピード制御方式:周波数検出によるスピードサーボ及び位相サーボ
  • 回転数:33・1/3、45、78rpm
  • 回転数偏差:0.002%以下
  • 回転数可変範囲:規定スピードに対して±9.9%(0.1%ピッチ)回転数微調時もスピードサーボ及び位相サーボ
  • スピード切換え:電子式
  • ワウ・フラッター:0.003%w.rms以下(回転系)0.02%w.rms以下(JIS)
  • SN比:90dB以上(DIN-B)
  • 起動トルク:10kg-cm
  • 起動時間:0.4秒以内(33・1/3rpm時)
  • 負荷特性:最外周針圧1.5kgの負荷に対して0%
  • 電源電圧特性:90〜110Vの変動に対して0%
  • ブレーキ:電子式ブレーキ
  • ターンテーブル:フリュイド・ダンプ方式の二重構造。上部・下部共アルミ鋳物製(重量6.5kg)
  • 慣性モーメント:1,260kg-cm2(ローター等を含む)
  • アームボード:フリュイド・ダンプ方式フローティング
  • フレーム:アルミ鋳物製
  • インシュレーター:コイルスプリングとフリュイド・ダンプ
  • 電源・消費電力:AC100V、50/60Hz・25W

■サーボアーム部

  • 形式:スタティックバランス形電子制御トーンアーム(パイプ部交換可能)
  • 全長:ストレートパイプアーム装着時380mm、軸受部より後部97mm
  • 有効長/オーバーハング:282mm/12.5mm(ロングタイプ)
  • オフセット角/トラッキングエラー:18°/2°以内
  • 高さ調節範囲:43〜51mm(アームボード面よリパイプ中心まで)
  • 針圧調節方式:0〜3g(1回転1g変化、最小読取り目盛0.05g)
  • 適合カートリッジ自重:
    ・ストレートパイプ・アーム:4〜28g(ビス等を含む)
    ・S字形パイプ・アーム:6.5〜31g(ヘッドシェル等を含む)
  • アンチスケーティング:電子式アンチスケーティング機構
  • アームリフター:アンギュラーコントロールモーターによるサーボコントロール方式
  • 軸受部:高精度ピボットベアリングおよびミニチュアベアリング
  • S字形パイプアーム・ヘッドシェル・コネクター:標準4Pコネクター

■他

  • 寸法:W570×H310×D465mm
  • 重量:約48kg


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