
ミニマリストのよしかわけいすけさんが、デノン初完全ワイヤレス・インイヤーヘッドホンAH-C630W、AH-C830NCWを使ってみた

高音質と卓越したコストパフォーマンスで話題を集めているデノン初の完全ワイヤレス・インイヤーヘッドホンAH-C630W、AH-C830NCWを「高校教師、住まいを捨てる」の著書もあるミニマリストのよしかわけいすけさんにレビューしていただきました。モノ選びにはひときわ厳しいミニマリストはどんな評価をしたのでしょうか。


ミニマリストのモノ選びの基準
ミニマリストは常に商品・サービスの最適解を探している。それはミニマリスト歴6年になる私も同様だ。先日老舗オーディオブランド・デノンから満を持して完全ワイヤレス・インイヤーヘッドホンが発売されたと耳にし、早速手に取ってみた。今回はその使用感を忖度なしでレビューする。
ミニマリストにとって買い物は一大イベント。数少ない所有物に新しい仲間が加わることになるからだ。
そのためモノ選びも慎重になる。具体的には私の場合、新しくモノを買うときに次の3つの基準を設けるようにしている。
- 汎用性がある
- デザインに飽きが来ない
- コスパがいい
例えば私は普段着る洋服を1種類しか持っておらず、同じデザインのモノを仕事でもプライベートでも毎日着用している。
今着ているのは2年ほど前に購入したセットアップで、考えたのはやはり「1. オン・オフどちらでも使えること」「2. デザインがシンプルであること」「3. 長く使え、高過ぎないこと」の3つだった。
最近私が使っていたイヤホンの調子が悪くなり、新しいモノを買う必要が出てきた。そんなときに出会ったのがAH-C630WとAH-C830NCWの2つのイヤホンだ。
今回は両モデルを3週間、仕事でもプライベートでも使い倒し、上記3つの条件を満たす「買い」なアイテムかを吟味してみた。以下はその記録だ。
ジムでも、飛行機でも、職場でも大活躍
私が普段イヤホンを使うのは主にスポーツジムでのトレーニング中、仕事中、移動中の3つの場面だ。
まず使ってみたのはジム。私は普段、筋トレやランニング中、自分を鼓舞するために音楽を聴くか、勉強のためにポッドキャストを流している。
以前使っていたイヤホンだと周囲の音(特にマシンの機械音)が気になることがあったが、AH-C630WとAH-C830NCWはそれがない。特にノイズキャンセリング機能のあるAH-C830NCWは、まるでその空間に自分一人しかいないような感覚にすらなる。
また両モデルとも重さが5g前後と非常に軽く、耳へのフィット感もいい。それに加え防滴性能も備えているため、余計なことを考えずにトレーニングに集中することができた。
続いては移動中。移動時は映画やドラマを観ることが多い。しかし電車や飛行機だと周囲の音がうるさく音声がよく聞こえないため、日本の作品も字幕を表示させる必要があった。
ただAH-C830NCWはどうだろう。今回はたまたま遠方へ行く用事があったため、飛行機の中でダウンロードした映画を観てみることにした。選んだ作品はエドガー・ライト監督の『ベイビー・ドライバー』。音楽が重要な役割を持つ作品だ。
(編集部注※航空機内でBluetoothを接続する際は、各航空会社の規定と指示に従ってください。)
ベイビー・ドライバー (吹替版)
映画が始まりノイズキャンセリングをオンにした瞬間、周りの騒音は一気に消え、主人公のベイビーよろしく映画の世界に入り込むことができた。登場人物たちのセリフがクリアに聞こえるのはもちろん、この作品の醍醐味である音楽も十分に楽しむことができ、機内で映画を観て満足できたのは今回が初になった。
そして最後はお仕事にて。ここ1~2年、リモートワークの普及からオンライン会議に出席する機会が増えている。1日の大半をZoomの中で過ごすことも日常茶飯事だ。
そんなときイヤホンは必需品になってくるが、私は(ミニマリストであるにもかかわらず)普段使いのワイヤレスイヤホンとは別に、オンライン会議用に有線のモノを持っていた。理由はワイヤレスだと肝心なときに音が途切れてしまったり、充電がなくなったりすることがあるからだ。
しかしAH-C630WとAH-C830NCWの場合はその心配もいらなかった。会議中以外も通話や作業時のBGMのためにイヤホンは使っていたが、接続が悪くなることもバッテリー切れになることも一度もなかったのである。(編集部注:AH-C830NCWは最長6時間、AH-C630Wは最長4.5時間の連続再生が可能です。)
長時間の着用も苦でなく、またマイクの音質については通話相手から「よしかわさん、声きれいになりました?笑」と聞かれるほど良いらしく、今回の期間でイヤホンはこれ1つがあれば十分であると確信した。
どんなシチュエーションにも合うデザイン
機能については申し分ないことが分かった。ではデザインはどうか。商品のレビューをする前にまずは、なぜミニマリストにとってモノの見た目が大事なのかについて考えたい。
断捨離のイメージがあるため意外かもしれないが、ミニマリストはモノを大切にする。というのも私たちの所有物のほとんどがなくてはならない必需品で、それらがないと日々の生活を送ることが難しくなるからだ。すると自ずと選ぶモノは長く使えるかどうかがひとつの基準になってくる。それは耐久性などの性能はもちろん、見た目についても同様だ。ストレートに言うなら「持っていてデザインに飽きないかどうか」「ずっと持っていたいと思えるかどうか」が重要なのである。
その点で言うとAH-C630WとAH-C830NCWはデザイン的にも私好みだった。
まずはケース。カラーは白と黒の2色展開とシンプルで、マットな質感からは落ち着きや高級感が伝わってくる。また形は全体的に丸みを帯びた設計になっており、握るとどこか安心感のようなものを感じることができた。
そしてイヤホン本体。こちらは両モデルともケースと同色になっている。素材はAH-C630Wについてはケースと同じだが、AH-C830NCWは表面に光沢の出る加工が施されており、こちらからは近未来やスタイリッシュといったカッコいい印象を受けた。
私は普段から白と黒がベースのモノを選ぶことが多い。この2つの色はシンプルで飽きにくく、また他のどのような色とも合わせやすいからだ。(余談だが世界における車の色の人気は10年変わらず白色がトップで、2位が黒色らしい。)
最高のサウンドをお手頃な価格で
ここまで両製品をさまざまな角度から見てきたが、もう一つ気になる点がある。それは価格だ。私は高くていいモノよりも、安くていいモノを見つけることに喜びを感じる。それは自分自身のお財布事情的にもそうなのだが、それより私はいいと思った商品やサービスを人に勧めたくなるからだ。
例えば、私は財布の代わりにマネークリップを使っている。東急ハンズで150円ほどで購入したモノだが、振り返ればもう6年近く持っていることになる。その間故障や劣化もないため、よく周囲の人たちに勝手に商品の宣伝をしているのだが、気軽にオススメできるのはやはり150円という安さがあるからだ。
ではAH-C630WとAH-C830NCWはどうだろうか。実は私が今回最も驚いたのはその圧倒的コスパの高さだ。なんとAH-C630Wは1万円以下、そして上位モデルのAH-C830NCWであったとしても1万円台で手が届いてしまうのである。
これまで私の中でデノンと言えば高級オーディオメーカーのイメージだった。本物の音を聞くためには相応のコストがかかると思っていたのだが、そんなデノンのハイクオリティなサウンドをこの価格帯で楽しむことができるのは本当にありがたい。(また私の「友人に勧めたいリスト」が1つ増えてしまった…。)
これはひとえに企業努力あってのことだが、この辺りの技術的な話やプロダクト制作の裏側などについてはぜひ本製品の開発者インタビュー記事を読んでいただきたい。モノ作りへのこだわり・探究心を垣間見ることができて非常に面白い。
ここまで私なりにAH-C630WとAH-C830NCWの特徴についてまとめてきたが、すでにお分かりの通りどちらのイヤホンもマストバイなアイテムだと断言できる。イヤホンについては長年その最適解が見つかっていなかったが、それは両製品が発売されるのを待っていたからなのかもしれない。
デノンの最高クオリティのサウンドを是非一度お試しあれ。
よしかわ けいすけ プロフィール
ミニマリスト。1993年、石川県金沢市生まれ。大学卒業後、新卒で地元の高校に英語教師として赴任。広域通信制高校での勤務を経て、2022年1月からは東京のIT企業に勤める。プライベートでは2015年に所有物の99%を手放しミニマリストに。2019年からは特定の拠点を持たないアドレスホッパーとしての生活を始める。
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