デノンのサウンドバー新製品「DHT-S517」でDolby Atmosコンテンツを視聴してみた
コロナ禍の巣ごもり需要で人気沸騰中のサウンドバー。デノンが今年1月に発売したサウンドバー「DHT-S517」は、上方向からの音も再生するDolby Atmosイネーブルドスピーカーを搭載。サブウーハー付き3.1.2ch構成で、リアルで臨場感豊かな立体音響が楽しめます。今回はそんな「DHT-S517」で、デノンブログ編集部員がDolby Atmosコンテンツを視聴してみました。
Dolby Atmosの立体音響をリアルに楽しめるサウンドバー
サウンドバーといえば、2.0chや2.1ch構成のものが多く見られますが、デノンではミドルクラスに位置づけられるサウンドバーDHT-S517は3.1.2ch構成。フロントはツイーターが25mm、ミッドレンジが楕円形の120x40mmの2ウェイとなっており、それが左右にあります。センタースピーカーは25mmのフルレンジで、Dolby Atmosイネーブルドスピーカーも含め本体に合計7基ものユニットを搭載しています。
DHT-S517で最も特徴的なのが、天面の左右に搭載された2基のDolby Atmosイネーブルドスピーカー(上図の赤いドライバー)です。ここから天井に向けて音を出し、反射させることで上方向の音像定位を実現します。Dolby Atmosイネーブルドスピーカーを搭載していないサウンドバーでDolby Atmosコンテンツを再生する場合、上方向からの音はDSP処理によって作られたバーチャルサウンドでの再生になりますが、DHT-S517ではDolby Atmosイネーブルドスピーカーが実際に鳴らしている音が頭上から聴こえますので、よりリアルで迫力ある立体音響を体験できるのです。
天面の左右にある2基のDolby Atmosイネーブルドスピーカー。音が出る部分にスリットが入っています
セッティングはとても簡単でDHT-S517とテレビをHDMIケーブルで繋ぐだけ。サブウーハーは、ワイヤレスで繋がりますので、電源を入れてDHT-S517本体の近くに置くだけで完了です。サブウーハーのサイズが大きいと置き場所に困るかも?と思っていましたが、実際に置いてみると、さほど気にならず収まり感もよかったです。A4の紙を置けるスペースがあれば置けると思えば想像しやすいかもしれません。この冬に新調したテレビのサイズは65インチ。(テレビ台とテレビの大きさのバランスが取れてない気がしていますが…)DHT-S517のサイズ的にはぴったりだと思います!
高音質「Pureモード」でストレートに伝わる音楽の魅力
今回はDHT-S517でDolby Atoms音声が収録された3本のBlu-ray作品を視聴してみました。
まず1本目は、Official髭男dismの「Universe + Official髭男dism ONLINE LIVE 2020 – Arena Travelers –」です。これは2020年に行われたオンラインライブをDolby Atomsでも収録した作品です。
「Universe + Official髭男dism ONLINE LIVE 2020 – Arena Travelers –」
CD+Live Blu-ray:¥4,500(without tax) ※特殊スリーブ仕様
(Blu-ray:音声24bit 48k PCM 2ch / 24bit 48k Dolby true HD(Dolby Atmos))
2021.2.24 Release 詳細はこちら
Official髭男dismはApple Musicなどでも積極的に3D音楽の配信を行っているバンドで、このライブの録音を担当しているレコーディングエンジニアの古賀健一さんはデノンブログでもおなじみです。
古賀健一さんのエントリー
DHT-S517では、再生モードがPureモード、Movieモード、Musicモード、Nightモードから選べます。まずはMusicモードで再生。冒頭の曲「HELLO」から、ボーカルの声が勢いよく天井へ突き抜けるような、音の疾走感にはっとします。サブウーハーで重低音域が確保されているため、中音~高音域に余裕があって安心して聴けるのと、音がすごく鳴っているな~という充足感もあり、サウンドバー1本で鳴らしていると思えないぐらいパワフル。Dolby Atmosイネーブルドスピーカーが上方の音を見事に再現して、確かな音像をもって存在させ、実際のライブの臨場感を再現しているように思いました。
そして、3.1.2chのサウンドバーとして他にはない魅力が、デノンならではの高音質で音楽再生ができるPureモードでの再生です。デノンのサウンドマスター山内慎一がサウンドチューニングしたDHT-S517は、Hi-Fi音質を追求したサウンドバーでもあり、Pureモードはバーチャルサラウンドなどの処理をバイパスして、その名のとおりピュアに音を楽しむモードです。
2曲目の「宿命」はPureモードで視聴。冒頭のホーンセクションからめちゃくちゃパワフル。正面から音がせまってくる感じがすごい!音の粒立ちも良く、Official髭男dismのビビッドで解像度のある、バンドサウンドがより輝いていて、本当に聴いていて楽しいな、と思えました。音楽の魅力がストレートに伝わってきます。
映画を違った面から楽しめる、映画音楽のコンサート
次に視聴したのは、ジョン・ウィリアムズ「ライヴ・イン・ウィーン」です。
「ジョン・ウィリアムズ ライヴ・イン・ウィーン」
録音年:2020年1月
録音場所:ウィーン
録音方法:ライヴ・レコーディング
共演者:アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン 3-6, 15-18 / Blu-rayオーディオ 3, 13)
指揮者:ジョン・ウィリアムズ
楽団:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
片面2層/映像約155分/音声約75分/MPEG4 AVC/16:9/1080 High Definition 59.94i/メニュー画面付/1.DTS-HD MA(96kHz/24bit)2ch Stereo 2.DTS-HD MA(48kHz/24bit)5.1ch surround 3.Dolby ATMOS/1.英語字幕 2.ドイツ語字幕 3.日本語字幕
代表作に「スター・ウォーズ」や「レイダース」、「ジュラシック・パーク」、「E・T」など、誰もが知っていて、観たことのある超有名映画作品の音楽を作り続けている、映画音楽界のレジェンド、ジョン・ウィリアムズが2020年1月にウィーン・フィルハーモニーと行ったコンサートのBlu-rayディスクです。ジョン・ウィリアムズ本人の指揮デビュー公演とのことで、注目を集めました。
まずはMusicモードで再生。名曲揃いの本作ですが、スター・ウォーズファンとしては、やっぱり聴きたいスター・ウォーズのメインテーマ「メイン・タイトル」を最初に視聴しました。オープニング、主題を吹く金管楽器の明瞭で堂々とした音が鳴り、そこから弦につながっていく流れがとても美しくて感動します。いつもの宇宙の映像をバックにした音ではなくて、オーケストラで個々の楽器のパートがどんなふうに重なりあっていくか、その演奏を「観る」という行為は、曲自体のすばらしさに改めて気づかされるとともに、壮大な宇宙への旅をどう音楽で表現しているか、映画の魅力をまた違った面から知ることができるような気がしました。
そしてさすがのウィーン・フィルという……その完璧で美しいハーモニーが、DHT-S517で忠実に再現されていて、上から左右から響いてくる音がまるでコンサートホールにいるよう感覚に。穏やかに音量をしぼったパートから、壮大な展開で音を鳴らしていくパートまで、その音の強弱や、音域の広さを余すところなく表現する余裕が、聴いていてとても心地よかったです。通常のクラシックのコンサートとは違って、観客も曲の途中で歓声をあげたりと、歴史あるウィーン学友協会のホールではなかなか観られない光景も、ライブ感がありました。
さらに映画音楽ですのでDHT-S517のMovieモードでも再生。インディー・ジョーンズシリーズのテーマ曲「レイダース・マーチ」を視聴しました。 Movieモードはより音が立体的に、映画的になって包み込まれるような感覚が増します。コンサートホールにシアターが現れたような不思議な感覚。インディ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)が鞭を手にジャングルを駆け回っているシーンが頭の中で再現されました。
サブウーハーから響く重低音でリビングが映画館に!
最後に視聴したのは、映画「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」です。
「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV 4K HDR REMASTER BOX」
発売日:2022年2月9日(水)予定
価格:13,200円(税込)
品番:SQEX-20087-8
JAN:4988601469234
仕様:4K ULTRA HD Blu-ray(1枚)& Blu-ray(1枚)+アートカード+SCENARIO BOOK+キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV File Fragments
2016年に公開された本作ですが、今年の2月に4Kリマスター版「キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV 4K HDR REMASTER BOX」が発売されました。
ファイナルファンタジーシリーズ最新作のゲームである「FINAL FANTASY XV」の発売に先立って制作された映画です。ゲームでは魔法国家ルシスの王子、ノクティスを中心にしたストーリーが展開されますが、映画ではその前章、父である王を中心としたストーリーが語られます。KINGSGLAIVEとは「王の剣」を意味し、ルシスを侵略せんとする敵国ニフルハイム帝国と戦う、王の剣たち=王の精鋭部隊の魔法の力を使った迫力の戦闘シーンや、全編フル3DCGアニメーションでリアルと見まがうような精緻な描写などが見どころです。
DHT-S517のHDMI入出力は4K/HDR(Dolby Vision/HDR10+)にも対応しているため、4K HDRリマスターの本作も、その映像の美しさが余すところなく表現され、より自然界に近い明るさと色、濃淡で、実際にいくつかのシーンでは一瞬リアルな肌や景色と錯覚してしまうほどでした。そして見どころの一つでもある、王の剣のワープアクションや魔法の表現も鮮やかでカッコイイのです。店や街なみ、道を走っている車などは現代的で洗練されたデザインなのに、戦闘では魔法が活躍するといった、現代に剣と魔法の世界がうまくミックスされた独特のファンタジー世界も面白いです。
こちらもMovieモードで再生しましたが、イネーブルド・スピーカーから聴こえる上方向からのサウンドの立体感と、なんといってもサブウーハーの重低音です。映画のようなコンテンツではサブウーハーで重低音をしっかり響かせることで、かなりの立体感と臨場感が醸成されるのだな、と改めて実感しました。激しい戦闘シーンで床に響くような地鳴り音が、アクションのすごさや戦いの鮮烈さをより引き立てます。サブウーハーがあることで、リビングが映画館になる、といっても過言ではないくらい。4K/HDRの美しい映像と、重低音、上左右からのサラウンドサウンドの臨場感が圧倒的で、全編とおして見入ってしまう、かなりの没入感がありました。
サブウーハーの重低音は調整も可能ですが、騒音を気にする深夜帯などに映画を観る際には、全体的に音の大小を抑えたNightモードもおすすめです。
本格的にサラウンドが楽しめるDHT-S517で癒しのひとときを
NetflixやDisney+(ディズニープラス)、Apple TV+、U-NEXT、ひかりTV、ビデオマーケット、J:COM、さらに音楽系の配信でもApple Music、Amazon Musicなど、配信サービスは軒並みDolby Atmosを採用したものが主流になってきています。
お家でその迫力を存分に楽しむためのサラウンド環境をどう作っていくか、今後ますますヒートアップしていきそうな界隈で目が離せません。サウンドバーDHT-S517はホームシアターを手軽に始められて、より臨場感豊かに、本格的にサラウンドが楽しめる一台です。リビングでの癒しのひとときにいかがでしょうか。ぜひお近くのショップなどで試聴してみてください。
(編集部S)