
松室政哉 インタビュー サウンドバー聴き比べ【前編】 DHT-S217、DHT-S517

2022年7月にリリースされた楽曲「ゆけ。」が、人気ドラマ「六本木クラス」(テレビ朝日系)の挿入歌に選ばれるなど活躍中のシンガーソングライター松室政哉さんがデノンブログに登場。大の映画好きでもある松室さんに、デノンのサウンドバー3モデルを聴き比べてもらいました。前編では、DHT-S217、DHT-S517を中心にレビューしていただきました。
松室政哉 プロフィール
1990年1月4日、大阪生まれ。
小学生の頃、カセットテープから流れたサザンオールスターズで身体中の細胞が騒ぎ、音楽に目覚める。それまで欲の無い子供だったが、初めて親に頼み込んでおもちゃのピアノを買ってもらい、独学で作曲を始める。高校生からシンガーソングライターとして活動を始め、10代限定の音楽フェス“閃光ライオット”のファイナリストに。以降、大阪で音楽活動を続け、22歳で上京。
現・所属事務所のオフィスオーガスタ“だけ”に送ったと言うデモテープで見出され、2017年11月1日に1st EP「毎秒、君に恋してる」でメジャーデビュー。
松室政哉 公式ウェブサイト URL:http://matsumuroseiya.com/index.html
DHT-S217はクチコミサイトのレビューでよく見かけます
学生時代は年間300本以上の映画を観ていたという大の映画好きの松室さんに、デノンのサウンドバー 3モデルを聴き比べながら、映画や音楽を視聴いただきます。製品についての補足説明や機材のセッティングにディーアンドエムホールディングス 営業企画室 田中が加わり、和やかに行われたサウンドバーレビュー会【前編】の様子をお届けします。
前編で視聴した映画は「DUNE/デューン 砂の惑星」、音楽はアメリカのロックバンドイーグルスのアルバム「Unplugged 1994」になります。
DUNE/デューン 砂の惑星[4K ULTRA HD + Blu-ray]
(ドゥニ・ヴィルヌーヴ/2021年)
(左)ディーアンドエムホールディングス 営業企画室 田中
●前回デノンブログにご登場いただいた際は、松室さんにAVアンプAVC-A110で映画を視聴いただきました。今回はサウンドバーの3モデルを聴き比べていただきます。よろしくお願いします。まずは一番シンプルなDHT-S217からです。
松室:このDHT-S217はクチコミサイトのレビューでよく見かけますよ。Dolby Atmos 対応なんですよね。サウンドバーでDolby Atomos対応ってどういう概念なんですか?
田中:Dolby Atomosは「上からの音の情報」というのが一つ大きなポイントなんですね。DHT-S217は上向きのスピーカーがありませんので、バーチャルで上方向の音を再生しています。Dolby Atmos Height Virtualizerによる処理を行うことで一体型のサウンドバーでありながらDolby Atmosのバーチャル再生ができます。ですからシンプルなワンバーでもDolby Atmosが楽しめるというわけです。理屈はさておき、まずは「DUNE/デューン 砂の惑星」をDHT-S217でご覧ください。
(映画「DUNE/デューン 砂の惑星」を視聴)
松室:音の広がりは、このバーの大きさ以上の感覚がありますね 。上の方の音も高音が突き刺さるような「痛さ」がないところがさすがですね。こういう映画って低音もそうなんですけど、高い機械音みたいな音がずっと鳴ってるんですよ。映画館で聴くとそれが臨場感になるんですけど、家だとなかなかそれが結構つらいんです。ヘッドホンやイヤホンで聴くとよけい顕著で、それで耳が痛いな、と感じることが多いんです。でもDHT-S217はチリチリと鳴ってるのに、痛くなくて、音が温かいという印象を受けました。
●低音の印象や音質的にはどうですか。
松室:低音も嫌味がないですよね。ほどよく丸くしてくれてると言うか。全体的にバランスも良い感じがしましたね。
田中:サウンドバー1本で全てを収めようとするとバランスの良さが大切になってきます。スピーカーでいうとブックシェルフに近いようなバランス、品位の高い音、というところを目指したのがこのDHT-S217です。
松室:確かにバランスは大切だと思います。今はいろんなものを観ますからね。映画だけじゃなくて、音楽もそうだし、普通にYouTubeをぱっとつけてもバランスがいい方がありがたいです。
●買ったら置くだけっていうシンプルさもいいですよね。これで価格は3万円をきっています。
松室:すごく安いですよね。大丈夫なんですか(笑)。これは壁に掛けられるんですか?
田中:壁掛けもできます。
松室:家電量販店とかでも試聴するんですが、周りの音がうるさくてきちんと聴けないんですよね。今日は試聴室の素晴らしい環境で試聴できて、あらためてDHT-S217はすごいなって思いました。
●当たりって感じでしたか。それとも思ったよりいい感じでしたか。
松室:いい感じだろうとは思っていたんですけど、その通りやったと言うか、それ以上によかったです。 接続はHDMIですか。
田中: HDMIです。しかもeARCというHDMI2.1に準拠していますので、最近のテレビであればHDMIケーブル1本でハイレゾ音源も再生ができます。
松室:十分ですね。これで3万円以下なのはすごいですね。
1つひとつの音が鮮明に聴こえるのがDHT-S517
●DHT-S217はサウンドバーのエントリーモデルということで、Dolby Atmosの上方向の音はバーチャル再生でした。次はDHT-S517になります。上向きのDolby Atmosイネーブルドスピーカーを2基内蔵していて、別体のサブウーハーがついた3.1.2ch構成になります。
松室:DHT-S217もそうでしたけど、HDMIケーブル1本で接続できていいですね。テレビをつけたら、サウンドバーも連動してオンになって音量も連動できて、とても便利です。サブウーハーを置く位置はどこがいいんですか。
田中:低音はあまり指向性がないので置きやすい場所に置いていただければいいと思います。ただ周りの音に影響を受けやすいので、少し環境を配慮してもらえればよいと思います。
松室:なるほど周りの騒音、音的なものですね。それが一番少ないところに置けばいいってことですね。
田中:DHT-S517は先ほどのDHT-S217とは違いまして、上向きのDolby Atmosイネーブルドスピーカーが2基、サウンドバー本体に内蔵されてます。音が天井に反射して、降ってくるという仕組みですね。
松室:なるほど。実際に上から音が聞こえるということですね。
田中:はい、それがDolby Atmosイネーブルドスピーカーです。この部屋は試聴室なので天井にも吸音材を使っており、一般の家庭より音の反射が少ないんです。ですからここで聴くより一般のご家庭では、もっと上方向の音が聴こえると思います。この部屋だと立って聴いていただくと、一般家庭ぐらいの反射で聴いていただけるかなと思います。
松室:(立ってみて)本当ですね。立つと音が上から降ってくる感じがよく分かります。DHT-S517はDHT-S217より音の分離が良いですね。1音1音が鮮明に聞こえて、上からの音もあるから、包まれる感覚はより高まりますね。しかもDHT-S217と同じようにちゃんとあったかい感じもある。すごいなあ。
●DHT-S217とDHT-S517の、共通の印象はあったんですね。
松室:そうですね。その上で1つひとつの音がより鮮明に聴こえるのがDHT-S517でした。
●DHT-S517の低音の印象はどうでしたか。
松室:いい意味ですごく自然で、サブウーハーの存在を意識しなかったです。途中で感じることはあったけど、それまでは意識しなかった。それぐらい低音が自然に聴こえるからすごいなって。それもあって、全体的に1つひとつ音が分離して聴こえやすくなっているのかもしれないですね。
田中:そうですね。さっきのワンバータイプはブックシェルフに近いイメージと言いましたけど、サブウーハー別体タイプは、トールボーイスピーカーのようにワイドな帯域で再生できるのが特長だと思います。サブウーハーの置き場所がないかも?と不安を感じる方もいらっしゃるかもしれないですが、A4サイズの紙が置けるスペースがあれば設置できますし、ラバーフットはありませんが、横向きに置くこともできます。
松室:DHT-S517本体とサブウーハーはワイヤレスでつながってるんですか?
田中:そうなんですよ。
松室:ワイヤレスにできるって事はほぼ遅延がないってことですよね?
田中:ほとんど遅延はありません。
松室:すごいなあ。これで5万円台ってすごいですね。何か計算ミスしてませんか? 大丈夫なんですか(笑)
田中:大丈夫です。ちなみに、DHT-S217もそうなんですが、サウンドバーのはじめの音決めはステレオでやるんです。5.1chなどの映画じゃないんです。まずステレオできっちり再生できないと、サラウンドにしてもまともな音にならないんですよね。
松室:なるほど。音楽もちゃんと聴けるってことですよね。
ピュアモードはスタジオでミックスチェックしてる感じに近かった
●デノンには、デノンのすべての製品の音決めをするサウンドマスターがいます。Hi-Fiオーディオの最高機種の音決めをする人間が、サウンドバーも同じスタンスで音決めをします。サウンドバーでそういう音作りをしているメーカーは他にないと思います。 デノンではひとりの人間が全部の音を管理しているので、製品ごとの音の方向性に統一感があるというのが特徴です。
松室:サウンドマスター! スターウォーズみたいですね。レジェンドがいらっしゃるんですね。
●それではDHT-S517で音楽も聴いてみましょうか。
(イーグルスの「Unplugged 1994」を、ピュアモード→ミュージックモードの順に再生)
松室:すごいクリアですね。これがピュアモードですか?
田中:そうです。
松室:ミュージックモードはより音が広がる感じなんですね。ピュアモードとミュージックモードの他に何かあるんですか。
田中:ムービーモードですね。あとは夜に大きな音を出したくない時に使えるナイトモードですね。音量を小さくしても、音が痩せない仕上がりにしています。
松室:ミュージックモードは音に酔いしれる感じがありますね。ピュアモードはすごいです。
田中:ピュアモードはミュージックモードやムービーモードの信号処理をしてないですからね。
松室:不自然に圧縮されている感じが全くなくて、スタジオでミックスチェックしてる感じに近かったほんとに。
●ピュアモードは音楽的にはどうですか。
松室:音楽を真剣に聴くというか、ここで何やってんのやろ、とか、ドラムはここでどんなことしてるんやろ、どうやって音を作ってるんやろ、みたいなことを知るにはピュアモードがいいと思う。ミュージックモードは もっと無心になって音楽に包まれる感じがあって、モードごとにそれぞれの楽しみ方ができると思いました。ピュアモードはもうほんとマジで真剣に聴いてしまいそうになりました。仕事になっちゃう感じ、研究したくなるというか、そのくらい全部聴こえました。
田中:デノンのサウンドバーは映画だけじゃなくて、音楽もゲームも楽しめるようにしています。もちろん普通のテレビ番組でも十分楽しめます。
松室:ほんとに1本で全部楽しめるって感じですね。ちなみに自宅ではこの音量は出せないので、もう少しボリュームを抑えて聴けますか。
(ボリュームを下げて再生)
松室:小さくしてもクオリティがキープされていますね…どういうこと? 今ピュアモードですか。これくらい小さい音量にしても、全然クリアに聴こえますね。ミュージックモードも広がり感あります。こんな小さくしてもクリアになってるのはすごいですね。
田中:これがナイトモード。
(ナイトモードで再生)
松室:どういうことになってるんですか。ナイトモードは低音を減らしただけ、ではないですよね。
田中:ではないですね。夜でも楽しめるようなバランスに変えています。センターチャンネルのレベルをちょっと上げて、台詞やニュースでのアナウンサーの声など、真ん中の音が聞こえやすいようにしてます。
松室:なかなか一般家庭で大音量で聴ける環境ってないけど、このくらいの音量にしても強いっていうのはちょっと衝撃です。
●リビングのオーディオとして考えたら十分ですよね。テレビも見れるし。では先ほどのDHT-S217でも音楽を聴いてみましょう。
田中:DSPで、この辺(上の方)にスピーカーがあるだろうなっていうので調整を行ってます。
松室:やっぱり音があったかくて、バランスは共通してすごくいいですね。これで3万円しないって思うと素晴らしいですね。<後編につづく>
▼前回の松室政哉さんエントリー記事もぜひご覧ください
「松室政哉 インタビュー&お気に入りの映画をAVC-A110で視聴してもらいました」
(編集部I)
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