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【無人島CD】デノン国内営業本部のSが無人島に持ち込む究極の一枚とは?
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無人島に1枚だけCDを持って行けるとしたらどれを選ぶ? と唐突に突きつけられる究極の選択、名付けて「無人島CD」。今回は国内営業本部のSさん。ご自身でもトランペットを演奏するSさんが選んだのは一度置いたトランペットへの想いを変えた1枚でした。
えっ!?これがコルネット?と耳を疑うほど、柔らかな音色と滑らかなアーティキュレーション。超絶技巧もあいまって今まで聴いたことが無い音楽に、純粋無垢な少年だった私は強烈に衝撃を受けたのでした。
ジェラルド・シュワルツ
ハイドン トランペット協奏曲 変ホ長調
ニューヨーク室内交響楽団
私がこの作品に出合ったのは10代のころ。演奏者はジェラルド・シュワルツ(コルネット)とロナルド・バロン(トロンボーン)。シュワルツは1947年生まれなので、この作品が世に出た1980年頃だと30歳ころで油の乗った頃?のレコーディングだと思われます。
当時の私は10代で、コルネットとトロンボーンのデュエットやソロ曲など、アメリカのハーバート・L.クラークが作曲した作品を、この作品を中心に聴き込んでいました。息の合った演奏と信じられないテクニックが展開されていくありさまを固唾を呑んで聴きいったことが昨日のことのようです。(歳をとると昔のことのほうがより鮮明に思い出されますね)。
それ以降、シュワルツを真似て演奏しようとするも、テクニックも音楽的にも足元にも及ばないことを痛感した少年(私)は数年後楽器を置くことになったのですが、それからのお話はまたあらためて。
もとい!作品に話をもどすと、コルネット奏者のジェラルド・シュワルツはオーストリア人の両親をもつニュージャージー生まれ。ジュリアード音楽院を卒業後ニューヨークフィルで活躍します。ちなみに、ニューヨークフィルハーモニックはアメリカの五大オーケストラのひとつで、昔から管楽器の名手揃いでも有名です。
私はといえば、そのころはオケプレーヤーとしてのシュワルツの存在は全く知らず、シカゴ交響楽団やらフィラデルフィアの往年の名手たちの派手な演奏や、モーリス・アンドレ、ティモフェイ・ドクシツェルのような天才ソリスト達の人間離れした演奏にうつつを抜かしていたのでした。
私がシュワルツの存在初めて知ったのは、当時同じ夢を抱いていた中学時代の親友から聴かされた1枚のCDでした。それは今はすでに廃盤になってしまったシュワルツ&バロンの超絶CDだったのです。その時の雷で撃たれたような衝撃は今でも忘れません。
今回無人島CDの企画を依頼された時、まずこの1枚が頭に浮かびました。しかし残念ながらすでに廃盤になっているとのことで、この無人島CDの企画には、同じシュワルツの演奏でトランペット吹きの定番ともいえるハイドンとフンメルのコンチェルトが収められた作品を選びました。
「これぞシュワルツ!」という、今までの古典的な演奏をひっくり返し楽器を自由自在に操るロマンティックな演奏、そしてそれに加え録音の良さも絶品です。楽器の性格上、特にクラシックの場合は演奏者との距離と周囲の環境が求められるトランペットという楽器で、これだけ美しい音色の録音を私は他に知らないのです。
ちなみに、このCDと出合ったのは、私が楽器を置いてから10年ほど経った20代後半の頃、秋葉原のとあるレコード店でした。店に入ると、それまで忘れかけていたシュワルツの名前をふと思い出し、冷やかし半分でその名前を探してみることに。
そこで探し当てたのは、シュワルツの名が刻まれた1枚のジャケット。それも曲は定番のハイドンとフンメルのコンチェルト! 迷うことなく私はそのCDを購入し、それ以来、私のお気に入りの1枚となったのは言うまでもありません。
その頃のシュワルツはといえば、指揮者へ転向しつつあり、このCDもトランペットでは珍しい吹き振り(自分で演奏しながら指揮をするスタイル)での録音です。この作品を境に、その後は指揮者としての活動に専念しているためか、大変残念ながらトランペットの録音があまりありません。
この1枚が、私のトランペットへの想いを改めて変えました。そして、それと同時に私にとって永遠に夢の演奏であり続けることは間違いないのでした。
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