ヘッドホンのニューモデルAH-C120MAとAH-C50MAで 佐久間正英「SAKUMA DROPS」を試聴してみた。
デノンの高音質を追求したハイエンドスタイルヘッドホン、MUSIC MANIAC <ミュージックマニアック>シリーズから、AH-C120MA/C120MとAH-C50MAの2モデル3機種のインナーイヤーヘッドホンが発売されました。今回は編集部がこのヘッドホンを使って、先日発売された佐久間正英プロデュース作品のベスト盤「SAKUMA DROPS」を試聴してみました。
高音質を追求したハイエンドスタイルヘッドホン、MUSIC MANIAC <ミュージックマニアック>シリーズから、
AH-C120MA/C120MとAH-C50MAの2モデル3機種のインナーイヤーヘッドホンが発売されました。
今回は編集部が、このヘッドホンで先日発売された佐久間正英プロデュース作品のベスト盤「SAKUMA DROPS」を試聴してみました。
まず製品情報を簡単にご紹介しておきましょう。
AH-C120MA/C120Mは、新たに開発した大口径の11.5mmドライバーユニットを搭載したインナーイヤーヘッドホン。
ミュージックマニアックシリーズらしい妥協のないピュアなサウンドを実現しています。
本体は不要な共振を防ぐためにABS樹脂とアルミ削り出しのハイブリッドハウジングとなっています。
アルミ削り出しのエッジ部分は「ダイヤカット」という加工を施されており、キラキラと輝いて高級感があります。
デノンのロゴが耳元にあるのもポイント。
AH-C50MAはコンパクトなサイズながら、このモデル専用に新たに開発した9mmドライバーユニットを搭載し、
ミュージックマニアックシリーズならではの高音質と、快適なつけ心地を両立したインナーイヤーヘッドホンです。
装着してみると、コンパクトで着け心地がよく、重量もわずか4g(ケーブル含まず)と、とても軽量。
つけていることを忘れてしまいそうなぐらい、ナチュラルな装着感です。
そして、肝心の音の特長ですが両モデルとも、さすがミュージックマニアックシリーズ!
デノンのHi-Fiの伝統が息づいた解像度の高いサウンドであり、キャラクターもナチュラルで、色づけのないフラットサウンドです。
巷の「ドンシャリ」や「低音重視」のサウンドとはハッキリと一線を画している印象を持ちました。
AH-C120MA/C120Mはさすがに11.5mmの大口径ユニットを搭載しているだけあり、
どっしりとした低音から伸びやかな高音まで広い帯域で明瞭なサウンド。
ひとつひとつの音に精度の高さを感じます。
AH-C50はすこし小振りなぶん、AH-C120よりやや音像がコンパクトにも感じられますが、歯切れの良さはこちらのほうがあるかもしれません。
ボーカルなどの中域には豊かな充実感を感じます。
ちなみに、この2モデルには「アコースティックオプティマイザー」という「穴」があいています。
耳の奥に挿入されたドライバーが振動したときに、ドライバーの前後(つまり、耳の中と外)における空気密度の変化を防ぐ働きをする技術です。
これによって、質感のある低音と、抜けの良い高音を実現することができます。
AH-C50MAではハウジングの横、AH-C 120MA/C120Mではハウジングの上下と側面、そしてドライバーの真ん中に穴が空いています。
AH-C50MAのアコースティックオプティマイザー(スリット状の穴)
AH-C120MA/C120Mアコースティックオプティマイザー(ノズルの真ん中の穴)
それでは、このヘッドホンで、先日発売された音楽プロデューサー/ミュージシャンである
佐久間正英のプロデュース作品集「SAKUMA DROPS」を聴いてみたいと思います。
ちなみに「SAKUMA DROPS」とは2014年1月16日に惜しくも永眠した
音楽プロデューサー/ミュージシャンである佐久間正英のプロデュース作品をコンパイルしたアルバムです。
GLAY、BOØWY、THE BLUE HEARTS、JUDY AND MARY、エレファントカシマシ、くるりなどによる、世代を超えて愛され続ける大ヒット曲から、
dip in the pool、PLASTICS、早川義夫などのレア音源まで、佐久間正英自らがセレクトした33曲を収録。
さらに死去する前日にミックスのOKを出したという渾身の遺作「Last Days」も特別収録されており、収録曲は計34曲。
すべてそのまま80年代以降の日本のロックの歴史といってもいいのではないでしょうか。
さまざまなジャンルの曲が収録されている「SAKUMA DROPS」ですが、そのサウンドを色づけすることなく、
スタジオマスターレベルで緻密に再現するミューミックマニアックシリーズのコンセプトは、
佐久間正英の緻密なプロデュースワークを堪能するのにピッタリです。
まずAH-C50MAではロック系の音を聴いてみます。
JUDY AND MARYの「そばかす」をプレイしてみると、TAKUYAのテレキャスターらしいクランチっぽいギターの音色、
そして、やや歪んだリード音色などがクリアに再生されます。
ギターが何台もダビングされていますが、そのひとつひとつを克明に聞き分けられる解像度。
そしてボーカルのYUKIの圧倒的な存在感も見事に表現しています。
またTHE BLUE HEARTSの「キスしてほしい」では、前につんのめりがちな切迫感のあるドラムサウンドと、
甲本ヒロトのボーカルのエネルギー感がクリアに再現されます。
くるりの「東京」ではイントロのギターから、バンドが入る瞬間の圧縮されたエネルギー感もストレートに表現。
AH-C50MAがこうしたロックサウンドをドンシャリではなく、脚色することなくクリアで骨太に表現するのは、
さすがミューミックマニアックシリーズの面目躍如です。
それにしても、ロックの初期衝動、生命感を損なうことなく捉えながら、さらにその魅力を磨き上げたのは、
さすがロックの本質を見抜いていた佐久間正英。
まれに見る卓越したプロデュース手腕です。
次にAH-C120MAでアコースティック系の楽曲である早川義夫の「ひまわりの花」を聴いてみます。
早川義夫本人が弾くピアノとボーカルは、まるで目の前で弾き語りしているかのようなリアリティ。
そこに佐久間正英が弾くエレキギターが、美しいアルペジオで重なってきます。
歌が終わると佐久間正英のギターソロが入ります。
美しいピアノとギターのアルペジオで織り上げられた音空間に、鋭角で切り裂くようなトーンで入ってきます。
ギターアンプがギリギリまで音量を上げて鳴らされ、歪んでいるニュアンスをAH-C120MAはシャープに描ききっています。
最後に聴いてみたのが佐久間正英の遺作「Last Days」。
イントロのピアノ、絶品といえるトーンのエレキギター、シンプルながら深い味わいのある屋敷豪太のドラム、
そして万感を籠めたJUDY AND MARYのTAKUYAのボーカル。
これらがひとつの音世界に融合しています。佐久間正英が残り少ない日々に感じていた心象風景をそのまま映し出したような「Last Days」。
AH-C120MAは、その音の風景をピュアでクリアに再現してくれました。
アーティスト名:佐久間正英
アルバム・タイトル:SAKUMA DROPS
ビクターエンタテインメント
デノンの新しい、AH-C120MA/C120MとAH-C50MAのサウンドを、ぜひ店頭で聞いていただきたいと思います。
製品情報の詳細について:
インナーイヤーステレオヘッドホン AH-C120MA/AH-C120M
インナーイヤーステレオヘッドホン AH-C50MA
(Denon Official Blog 編集部I)