「No day, but today!」というフレーズが聴くたびにパワーを与えてくれる
無人島に1枚だけCDを持って行けるとしたらどれを選ぶ? デノン社員が突きつけられる究極の選択、APマーケティング部の社員N.O.が選んだのは、意外にもミュージカル映画のオリジナル・サウンド・トラックでした。
第10回となる今回の無人島CDは、APマーケティング部の社員N.Oが担当いたします。
「もし無人島に流されるとして、1枚だけCDを持って行けるなら、何を持ってく?」
音楽好きにとっては非常に難しくも考えるのが楽しいお題です。
私は新旧、洋邦、ジャンルも問わずなんでも聴いて気に入ったものはCDを購入して手元に置いておきたい性質なので、
自宅と実家の両方に大量のライブラリがあります3,000を超えたところで数えるのをやめてしまったので枚数は定かではありません。
最近ではダウンロードで音楽を買う機会も増えているので、それも合わせるといったいアルバム何枚分になるのか想像もつきません・・・。
できればNAS(ネットワークHDD)に保存して全部持って行き、ネットワークプレーヤーで聴きたいところです。
しかしそれではこの企画の趣旨に反しますので、断腸の思いで「無人島に持って行くなら、この1枚」を選びました。
「RENT(オリジナル・サウンド・トラック)」
このCDは2006年に公開されたミュージカル映画「RENT」のサウンド・トラックです。
元になったミュージカルは1996年2月にオフ・ブロードウェイで初演された作品ですが、大成功のうちに同年4月にはブロードウェイに進出。
その後12年4か月間で連続上演5140回(歴代8位)のロングランを記録した大ヒット作です。
プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」を下敷きにHIVやドラッグ、同性愛という現代的なテーマを盛り込み、
ロックやディスコ、タンゴにゴスペルなどバリエーションに富んだスタイルの音楽で構成されているのが特徴です。
これを元に2005年(2006年日本公開)に「ハリー・ポッター」シリーズや「ホームアローン」でおなじみの
クリス・コロンバス監督が映画化したのが本作です。
ブロードウェイ版の主要オリジナル・キャスト8名のうち6名が参加しているため、
できの悪いミュージカル映画に見られるキャスティングありきで作られた「アイドル映画」になっておらず、レベルの高い歌唱、演技を楽しめます。
ちなみに現在大ヒット中の「アナと雪の女王」でエルサの声を演じ、
主題歌の「Let it go」でアカデミー賞を受賞したイディナ・メンゼルは、本作でモーリーン役を演じています。
エルサも「ありの~ままの~♪」と歌っていますがモーリーンのありのままっぷりはその比ではありません。
ストーリーの要約は以下の通り(Wikipediaより引用)
1989年12月24日からちょうど一年間のニューヨークのイーストヴィレッジが舞台。元ロックミュージシャンのロジャーと、ルームメイトで自称映像作家のマークは、スクウォッターハウス化した倉庫ビルを占拠してボヘミアン的な日々を送っているが、ビルのオーナーのベニーから滞納している家賃(レント)を払うか退去するよう求められる。
彼らを中心に、ゴーゴーダンサーのミミ、大学講師でハッカーのコリンズ、ストリートドラマーでドラァグクイーンのエンジェル、アングラパフォーマーのモーリーン、ハーバード大卒エリート弁護士のジョアンらが、貧困と病魔に苛まれる日々の生活の中にも愛と生きることの喜びを見いだしていく。彼らの中にはゲイやレズビアン、ヘロイン中毒、そしてHIV陽性の者もおり、こうした登場人物たちによって、1980年代終わりのニューヨークの世相と、今では失われた「ボヘミアン イーストヴィレッジ」の世界が鮮やかに描かれていく。
私がRENTに出会ったのは、仕事で移動中の車内。
FMラジオを聴きながら運転していたときにたまたま耳に入ったのが主題歌の「Seasons of Love」でした。
最近では、缶コーヒーのTVCMやアメリカのTVドラマ「Glee」でも取り上げられていたので耳にされた人も多いかと思います。
ピアノとオルガンで始まる荘厳さと優しさに満ち溢れたイントロだけで心をしっかりつかまれ、
それに続くゴスペル調のアレンジに乗せて展開されるメインキャストのハーモニーの美しさがとても深く印象に残りました。
曲のタイトルを聞き逃してしまったので、うろ覚えの歌詞をたよりにあれこれ調べてミュージカル映画のサントラであることを突き止めました。
そしてそのままの勢いでサントラCDを購入。
元々は「Seasons of Love」だけを目当てに買ったディスクですが、
1枚17曲をすべて通して聴いてもバラエティ豊かで外れがありませんでした。
元は1996年の作品ですが、全く古さを感じません。
それもそのはずで、映画版サウンド・トラックのプロデュースとアレンジは、
グリーン・デイ、グー・グー・ドールズなどを手掛ける音楽業界屈指の名プロデューサー、ロブ・カヴァロによるものでした。
後に入手したブロードウェイ版のアレンジと比べると現代的なアレンジが施され、
(ダイナミックレンジはかなり狭いですが)音質もより良いものに仕上がっています。
購入してからすでに5年以上が経ちますが、今でも我が家でもっとも再生回数が多いディスクになっています。
後に映画版ブルーレイディスクを買い、ブロードウェイ版のサウンド・トラックCDとブルーレイディスクも入手。
さらには、メインキャストのアダム・パスカル、アンソニー・ラップが出演した
2009年のブロードウェイツアー東京公演も観に行くほどハマってしまいました。
重いテーマを扱った作品ですが暗くなりすぎることはなく、光の見えない境遇の中でも
それぞれに今日を生きる喜びを見出す若者たちの姿が生き生きと描かれており、
エンディングで高らかに歌い上げられる「No day, but today!」というフレーズが聴くたびにパワーを与えてくれます。
無人島というこれ以上ないぐらいの逆境にあっても頑張って生きていけるようにこのディスクを持って行きたいと思います。
前向きであれば何かいいことが見つかる、はず。
アルバム・タイトル:レント オリジナル・サウンド・トラック
ワーナーミュージックジャパン