天気の音、音楽の音 〜音の大きさ「デシベル」について〜
音の大きさは「dB(デシベル)」という単位で数値化できます。たとえば家で聞くオーディオの音量、雷が落ちた音、さらに様々な楽器の音などを、数値でわかりやすく比較できるわけです。今回は自然音や音楽の音量について調べてみました。
音の大きさは単位「dB(デシベル)」ってなに?
まず最初に、音量について調べてみました。音量とは、つまり音の大きさです。
音量は通常「dB(デシベル)」という単位で示されます。デシベルの「デシ」とは1/10を示すもので(容積を表すデシリットルなどの「デシ」)、基となる単位は「ベル」。
そのベルとは世界初の実用的電話の発明で知られるアレクサンダー・グラハム・ベルに由来しています。
元々はアレクサンダー・グラハム・ベルが電話における電力の伝送減衰を表わすのに最初に用いた単位だったと言われています。
ではデシベルとはどんな音量なのでしょうか。
人が聞き取ることのできる最小の音量を0デシベルとします。
日常生活の普通の会話レベルの音量が60デシベルほど。
100デシベルを越えるとかなりうるさい音量となり、130デシベルを超える音量になると耳に損傷を与える危険性があるほどの大音量となります。
これらの音量はデシベルメーターという機械で測定することができます。
下の写真はデノンの試聴室で管理している簡易的なデシベルメーターです。
撮影時は、通常のオーディオの試聴レベルの音量でCDを再生していましたが、ここでは70デシベルという数値が出ています。
↑デノン試聴室にあった簡易的なデシベルメーター
「暮らしの中の音」の音量は?
それでは生活音、つまり暮らしの中の音の音量は何デシベルぐらいあるのでしょうか。
0デシベルは無音ですが、実際に0デシベルの空間はほとんどないようで、最も静かな無音室、あるいは放送局などのアナウンスブースでも20デシベルくらいの音量があります。
また普通の生活空間で最も静かだと感じられる郊外の住宅地の深夜で30デシベル、おなじく小さなささやき声も約30デシベルほどと言われます。
静かなオフィスや小さめの話し声が40デシベルから50デシベル程度。
そして目覚まし時計のベルが60デシベル。
目覚まし時計のベルの音は思ったよりデシベル数が低く感じられますが、寝室などの静かな環境で、音色も気に障る音、おもわず起きてベルを止めたくなる耳障りな音だからかもしれません。
地下鉄の車内は意外にうるさく80デシベルもあります。
普段乗り慣れているので感覚的に慣れてしまっているのかもしれません。
ただ地下鉄でヘッドホンを使って音楽を聴いていてちょうど良かった音量が、静かな場所で聞くと途端に「大きいな」と感じることはよくあります。
そしてライブハウスやカラオケになると100デシベルほど。隣の人に話をするのにも大声、あるいは怒鳴るぐらいの音量になります。
もっとうるさいのが飛行機のエンジン音で、120デシベル。
ジェット機の離陸時における最大音量は130デシベルにも達します。
空港の滑走路などで働いている方は防音保護具、イヤーマフを使っています。
ヘリコプターや射撃、モータースポーツのピットで働いている人たちも使っていますね。
日常的にこれほどの大音量に曝されると聴力障害を起こす危険性があるからでしょう。
暮らしの中での音圧レベル(デシベル)をまとめるとこのようになります。
「音楽の音」の音量は?
次に、音楽や楽器の音量について調べてみました。
楽器や音楽では0〜50デシベルではかなりの小音量と言えるようです。
通常のテレビ、ラジオの視聴で60デシベル程度、テレビ、ラジオの大音量で70デシベルぐらい。
楽器の音量はテレビやラジオより大きくなって弦楽器や管楽器による普通の演奏でも80デシベル程度の音量となります。
合奏になるとさらに音が大きくなり、100人ほどの演奏者を擁するオーケストラの演奏は100デシベル。
これが音響効果に優れたホールのステージ上でのオーケストラの合奏となると110デシベルもの音量となります。
オーケストラに負けないような音量で協奏曲を演奏するピアノもまた、ステージでの音量は110デシベルに達します。
また、楽器の中でも特に音が大きいとされるトランペットや小太鼓のフォルテシモ(非常に強く鳴らす)での演奏が120デシベル。
そして最も音量が大きいドラムでは130デシベルもの音量に達します。(ドラムの近くでライブを聞く時などは音量に注意した方が良さそうです)。
音楽の音、楽器の音の音圧レベル(デシベル)をまとめると下の表になります。
「自然の音」の音量は?
では自然の音はどんな音量なのでしょうか。
自然の中で最も静かな音は、雪が降る音で20デシベルです。
木の葉のそよぐ音が30デシベル、そして雨がしとしと降る音が40デシベル。
小鳥のさえずりで50デシベルです。
オフィスの騒音と小鳥のさえずりがだいたい同じ音量なんですね。
ずいぶん爽快さが違いますが……。
さらに近くで聞く蝉の鳴き声が70デシベル、そして近くの犬が鳴き声は90デシベル。
犬の鳴き声は意外と大きな音量でした。
そして自然の中で最も大きい音が雷の音です。
近所への落雷は120デシベル。そしてすぐ近くに落ちた雷の音量は、なんと140デシベルにも達します。
うるさいというより、これは耳が「痛い」と感じるほどの音圧レベルで非常に危険な音量です。
「自然の音」「暮らしの音」「音楽の音」を比較してみると?
最後に、ここまでに調べてきたジャンルごとのデシベル値を比較してみましょう。
雪がしんしんと降る、と言いますが、実際は音がするというより、むしろ雪の柔らかさが周囲の騒音を吸って、放送局のアナウンスブースレベルの静かさになるようです。
雪が降っている夜が普段の夜よりずっと静かに感じられるのは、そういうわけだったんですね。
また目覚ましのベルの音がテレビやラジオの普通の音量と同じというのは意外でした。目覚ましはやはり耳の近くに置かないといけませんね…
地下鉄車内の騒音の80デシベルは、周りで楽器の演奏をしている中にいるような音量となり、かなりうるさい状況のはずですが、いつも日常的に地下鉄に乗っているせいでしょうか、その騒音に慣れてしまって、そこまでの音量には感じません。
ただ地下鉄や飛行機などで使用するノイズキャンセリングヘッドホンは車内のノイズを抑えることができますから、通常のヘッドホンよりも小音量で音楽が楽しめ、耳に優しいといえるでしょう。
また落雷の音と飛行機の音、そしてトランペットの音が同じ大きさであることにも驚きました。
今回は音量だけに注目し、デシベル値での比較をしましたが、音に対する快・不快に関しては、体感上の音量や音色にも大きく左右されることが分かっています。
たとえば潮騒の音量は70デシベル程度ですが、その音を不快に感じることはあまりないでしょう。
交通量が多い道路の騒音も同じく70デシベル程度ですが、これは多くの方が不快に感じるかと思います。
またテレビ・ラジオの大音量も70デシベル程度ですが、自分が聴いている場合には快適です。
しかし他人が観ていて自分には興味がないものであれば不愉快に感じるかもしれません。
ですから一概に音量が大きいからうるさく感じる、というわけではないようです。
趣味のオーディオも、ついつい楽しくなってボリュームを上げがちですが、周囲に配慮して楽しく音楽を聴けると良いですね。
また機会があれば、このような音の性質についてとりあげたいと思います。
(Denon Official Blog 編集部 I)