
サックス奏者 住谷美帆さんにデノンヘッドホン『リアルウッドシリーズ』を試聴してもらいました。

昨年スロベニアで開催された第9回国際サクソフォンコールで初の女性優勝者となるなど、国内外のサクソフォンコンクールで入賞。またデビューアルバム『プロムナード』を発表し音楽ファンから高い評価を得ているサクソフォン奏者・住谷美帆さん。デノンブログでは住谷美帆さんに独占インタビューを行いました。クラシックのサクソフォンの魅力やアルバムのこと、そしてデノンヘッドホンのリアルウッドシリーズの試聴もしていただきました。
住谷美帆プロフィール
1995年茨城県生まれのサクソフォン奏者。5歳からピアノを習い、12歳から吹奏楽でサクソフォンを始める。サクソフォンを須川展也、鶴飼奈民、大石将紀、有村純親の各氏に師事。2016年、N響ツアーへ『展覧会の絵』のサクソフォンソロパートに抜擢され、その美音と音楽性に注目を集めた。2018年、東京藝術大学を首席で卒業。同年7月、スロベニアで行われた第9回国際サクソフォンコンクールにて、女性初の優勝者となる。財団法人地域創造平成27・28年度公共ホール音楽活性化事業派遣アーティスト。ぱんだウインドオーケストラ シーズンメンバー。
住谷美帆オフィシャルウェブサイト
http://www.concert.co.jp/artist/Miho_Sumiya/
クラシックのサックスは、ピュアな音色が魅力
●住谷さんがサクソフォンを始めたきっかけを教えてください。
住谷: 中学1年生のとき、吹奏楽部でアルトサックスを始めました。トランペットやサックスは吹奏楽の花形楽器で、自分も活躍する楽器をやりたいと思ったんです。それに、サックスパートに可愛くて頭も良い先輩がいて、その先輩に憧れた、というのもあります。
●サックスを始めてみて、どんなところが魅力でしたか。
住谷:最初はクラリネットやフルートもいいかなと思っていたんですけど、サックスを吹き始めたら、ほかの楽器には興味がなくなりました。サックスって他の楽器に比べて簡単で、すぐ上達できる楽器なんです。そのぶん上達も早いので、いつのまにかどんどんのめり込んでいきました。
●そのころに憧れたアーティストはいましたか。
住谷: 私の師匠でもある、クラシックサックス奏者の須川展也さんです。私の中学には、先生の趣味でオケや吹奏楽など、何千枚ものCDが置いてあって、生徒は自由にCDを借りて聴くことができました。その中に須川さんのCDがあって、須川さんが所属しているトルヴェール・クヮルテットの四重奏団も、中学校の時にCDを借りて初めて聴いて憧れました。
●サックスというと、ジャズやポピュラーを思い浮かべる方が多いと思いますが、クラシックの中のサックスの魅力は、どんなところにあるのですか。
住谷:私はピュアな音色だと思っています。ジャズやポピュラーのサックスは、あえてノイジーにしているというか、奏者が工夫して出す音色が『味』となっていますけど、クラシックのサックスは、基本的な奏法で吹いた、そのままの音で演奏します。サックスはジャズのように味のある音も出せれば、クラシックで吹く時のようなピュアな音色も出せる。鋭い音や柔らかい音、ビブラートなど、サックスはいろいろな音が表現できるので、とても面白い楽器です。ジャズのサックスだけではなく、ぜひクラシックのサックスならではのピュアな音色も聴いていただきたいと思います。
アルバム『プロムナード』では、4種類のサックスの音色の違いを楽しんでほしい
●音楽ファンの中でも、クラシックのサックスはあまり聴いたことがないという方もいると思います。どんな曲を選んで聴いたらいいでしょうか。
住谷:クラシック曲でサックスが活躍する曲、という意味では、一番有名なのは『ボレロ』だと思います。ただ、サックスという楽器が誕生したのが1840年から1860年代と言われていますので、クラシックの曲にサックスが登場するのは、近代の曲に限られているんです。ですからクラシックでサックスが活躍する楽曲自体はもともと多くありません。
もしクラシックのサックスを聴いてみたいが、何を聴いていいかわからないということであれば、聴き馴染みのある曲をサックスで演奏しているものをお勧めしたいと思います。きっと「あ、クラシックのサックスって、こういう音がするんだ」という発見がきっとあると思うんです。
●住谷さんのデビューアルバム『プロムナード』に収録されている『展覧会の絵』も、有名な曲ですね。
住谷:そうですね。みなさん聴いたことがある曲だと思います。特にその『展覧会の絵』の『古城』という曲は、オーケストラの演奏でもサックスが登場する曲です。でも『展覧会の絵』のサックスって、その曲にしか登場しないんです。それまでずっと待って、その曲だけ吹いたら、また全曲が終わるまで待ってるんです(笑)。
私のアルバムでは『古城』をピアノとのデュオで収録しているんですけど、オーケストラの『古城』と聴き比べても面白いかもしれません。
●アルバム『プロムナード』でちょっと珍しいと思ったのは、住谷さんは一人でソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックスの4種類のサックスを全部吹かれているんですよね。
住谷:はい。私も基本はアルトサックスとソプラノサックスをメインに吹いていますが、この『プロムナード』では、ソプラノからバリトンまで一人で挑戦しました。須川さんもやはり一人で『展覧会の絵』をアルバムに録音していますが、普通はやらないと思います。珍しいですよね(笑)。やはりそれぞれの楽器ごとに、鳴るツボが違うので、アルトだったらこの音、バリトンだったらこの音とか、同じサックスでも、聴こえ方が違ってきます。
あとは逆に、バリトンを吹いているけどテナーに聴こえるとか、吹き方によってはまた音色が変わるので、今何の楽器を吹いているのか、想像しながら聴くのも楽しいと思います。
ゆったり聴くならAH-D7200、緻密に聴くならAH-D9200
●デノンは「良い音で聴いてみたいレコメンドナンバー」と題して、全国の家電量販店の店頭で選び抜かれたスペシャルナンバーをデノンの最新のヘッドホン、イヤホンで試聴できるキャンペーンを実施しています。前回のキャンペーンでは住谷さんに『ムソルグスキー 展覧会の絵より プロムナード』でご参加いただきました。
住谷:ありがとうございます。
●そこで今回はデノンのリアルウッドシリーズというヘッドホンの、AH-D5200、AH-D7200、AH-D9200の3モデルをご試聴していただきたいと思います。
住谷:それは楽しみです。このリアルウッドシリーズは、ヘッドホンに天然の木を使っているんですね。モデルごとに素材が違うのでしょうか。
●はい、AH-D5200にはゼブラウッド、AH-D7200にはアメリカン・ウォールナット、AH-D9200には高知県産孟宗竹が使用されています。



住谷: 木の素材が共鳴することで音のキャラクターが変わる、ということでしょうか。楽器と一緒ですね。
●では、ゼブラウッドを使ったAH-D5200からお聴きください。
住谷:ありがとうございます。自分の曲だけでなく、ポップスも聴かせてください。
住谷:(試聴して)これは低音がズーンとくる感じですね。サックスの音色はホールで聴いているというよりは、もっと近くで聴いている感じがします。本当にリアルです。楽器が発しているノイズまで聴こえるし、本当にその場にいる感じがします。ピアノコンチェルトでも、クラシックだと、近くで聴いているように輪郭がはっきりしていて、音の変化がすごく伝わりやすい。生で聴いているみたい。ポップスだと後ろからも前からも音が来る感じで、周りから聴こえてくるような感じがしました。
●続いて、アメリカン・ウォールナットを採用したAH-D7200を試聴していただきましょう。
住谷: (試聴が終わって)響きがAH-D5200より、若干増えている感じがします。聴いている位置が変わったような雰囲気があって、さっきは演奏者のすぐ横で聴いている感じでしたが、AH-D7200は、ちょっと離れてホールの客席で聴いているような感覚です。だから響きがちょっと増して、空気感が感じられます。ホールだったら前から5列目あたりで聴いている感じ? 自分の曲を聴くなら、私はこっちのほうが好みですね。
ポップスは、AH-D5200で聴いているとき低音の主張が強かったんですけど、AH-D7200は逆にマイルドというか、馴染んでいる感がすごくあります。ポップスはAH-D5200のほうがガッツリくる感じで好きですね。クラシックはAH-D7200のほうが好みです。
●では、高知県産の孟宗竹を採用したAH-D9200で試聴していただきましょう。
住谷:(試聴が終わって)この木の質感と色はいいですね。これも、また音が全然違います。すごくニュアンスとか輪郭がはっきり聴こえます。
でも、AH-D7200のほうが、やはり素材の特性だと思うんですが柔らかさがありました。AH-D9200は、柔らかさもありますけど、輪郭がとにかくきちんと聴こえる。音がどこでどう入っているのかが一番はっきり聴こえます。だからニュアンスの違いとか、本当にクラシックが好きで、細かいところが聴きたい人や、この演奏はどうやっているのだろうって研究したい人には、とてもいいと思いますね。ちょっとしたニュアンスの違いが分かりやすいと思います。
●クラシックを聴くとしたら、AH-D7200とAH-D9200ではどちらがお好きですか。
住谷:うーん、それは好みが分かれるんじゃないでしょうか。AH-D7200はホールの5列目で聴いているような感じですが、AH-D9200はもっと細部まで詳細に聴ける感じがします。リラックスしてゆったりと聴きたいならAH-D7200、音を緻密に聴きたいならAH-D9200でしょうか。
私ならオーケストラとか交響曲を聴くならAH-D7200ですし、ソロとかコンチェルトとかデュオだったら、AH-D9200がいいかもしれません。ボーカルがとてもくっきり聴こえるので、ポップスもAH-D9200で聴きたいですね。
●住谷さんの『展覧会の絵』をデノンのヘッドホンで聴かれるお客様もたくさんいらっしゃると思いますが、これらのヘッドホンで聴く時の聴きどころがあったら教えてください。
住谷:サックスって息を吸って音を出すわけですが、今日試聴したリアルウッドシリーズは、とてもいいヘッドホンなので、息を吸う時のニュアンスまでよく分かると思います。音が出る前のギリギリのところのニュアンスや、ブレス(息継ぎ)の後で、音がどう出ているのかなど、そういったディテールにまで注目して聴いていただけると面白いかもしれません。
サックスってこういうふうにビブラートを掛けているんだといった専門的なところも、リアルウッドシリーズであれば分かっていただけると思います。あと、伴奏のピアノとのバランスに注目するのも面白いですね。他の管楽器だと、音量の関係でピアノが音量を抑える場合も多いのですが、サックスは楽器の音量が大きいですから、ピアノも全開で弾いてきます。そのピアノとサックスがどういうバランスで聴こえているかも、聴きどころかもしれません。とにかくよく聞き分けられるヘッドホンなので、演奏の細部までじっくりと聴いてもらえると嬉しいです。
●最後に、今後の活動や、目標などをおきかせください。
住谷:ジャズのサックスはたくさんの方がご存じだと思いますが、私はクラシックのサクソフォン奏者として、自分の中できちんとした音楽を作って奏で、それを多くの方に聴いていただきたいと思っています。また、それによってクラシックのサックスの世界が、もっと広がっていけばと思っています。
さらに、クラシック・サックスの女性奏者はまだまだ少なくて、活躍できる場がそこまでないと自分は思っているので、もっともっと世界に発信していきたいと思っています。
●本日はありがとうございました。
(編集部I)
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