超初心者のための「ハイレゾって何?」フォーマット編
オーディオが好きな方なら「ハイレゾ」という言葉をよく耳にされていると思います。「でもハイレゾってなに?」とあらためて質問されたら、スラスラと答えるのはちょっと難しいかもしれません。今回の『超初心者シリーズ』は、「ハイレゾ」の第2回、「フォーマット編」をお送りします。
「ハイレゾ音源」はどうやって入手するの?
前回の「そもそも編」では、なぜハイレゾ音源がCDより音が良いかをご紹介しました。そして今回はいよいよハイレゾ音源を聴くプロセスに入りましょう。
まずハイレゾのフォーマットをご説明する前に、ハイレゾデータをどうやって入手するかについてご紹介します。ハイレゾ音源はCDのように店頭で販売されていることはほとんどなく、多くの場合はインターネットを通じたダウンロード購入が主な入手手段となります。ハイレゾ音源のダウンロードサイトは海外も含めたくさんありますが、ここでは国内の代表的なサイトをご紹介しておきます。
ハイレゾ音源配信サイト
URL | |
---|---|
e-onkyo music | https://www.e-onkyo.com/music/ |
Mora | https://mora.jp |
レコチョク | recochoku.jp/hires/ |
OTOTOY | ototoy.jp/top |
music.jp | music-book.jp/music |
giga music | https://www.giga.co.jp/jsp/top.jsp |
オリコンミュージックストア | music.oricon.co.jp |
2019.05.31現在
ハイレゾ音源のダウンロードにあたって、注意が必要なポイントがあります。
ハイレゾ音源はCD音源の数倍、MP3などの圧縮音源の10倍以上のファイルサイズになりますので、回線速度によっては時間がかかる場合があります。回線状況を確認してからのダウンロードをお勧めします。またアルバム単位でハイレゾ音源をダウンロードする場合、曲数によっては1〜10GBほどのファイルサイズになる場合もあります。あらかじめ保存先の空き容量を十分に確保しておくこともお忘れなく。
「ハイレゾ音源」のフォーマットとは?
さて、いよいよハイレゾ音源のフォーマットについて。ハイレゾ音源のダウンロードサイトでは、購入の際にどのファイルフォーマットで購入するかを選ばなくてはいけません。ハイレゾ音源で主に使われるフォーマットは非圧縮のWAV、AIFF、DSD、そして可逆圧縮のFLAC、Apple Losslessなどです。通常のダウンロード音源に使われているmp3やAACなどはハイレゾ音源用のフォーマットとしては使われていませんのでご注意ください。用途や目的に応じて最適なフォーマットを選択し、ハイレゾ音源をダウンロードしましょう。
では順番にフォーマットごとの特長を見ていきましょう。
- WAV
主にWindowsで使用される音声ファイルで、リニアPCMのサンプリングデータ用のフォーマット。非圧縮であるためデータは元の音声データからのロスがありません。ただし仕様としてカバーアートやアーティスト名・曲名などのメタ情報が埋め込めません。
- AIFF
AIFF は、Appleが開発した主にMac OS用の音声ファイルフォーマット。こちらもリニアPCMのサンプリングデータ用のフォーマットで、非圧縮であり元の音声データからのロスはありません。カバーアートやアーティスト名・曲名などのメタ情報を埋め込むことができます。
- DSD
DSDとは(Direct Stream Digital)の略称で、元々スーパーオーディオCDの録音フォーマットとして採用されているフォーマットであり1bitの疎密波として記録します。WAV、AIFFなどのPCMとは違う方式です、アナログに近いリアルなサウンドがメリットですが、DSDに対応した再生ソフトウェア/オーディオ機器でなければ再生ができません。
- FLAC
元データの情報を失うことなく圧縮できる可逆圧縮フォーマット。元データの60%程度にまでファイルサイズが圧縮でき、しかも音質が劣化しません。カバーアートの埋め込み、楽曲情報の記録もできるため、多くのハイレゾ音源のダウンロードで採用されています。
- ALAC
アップルが開発した可逆圧縮方式のオーディオコーデックでApple Lossless Audio Codecの略称で、iTunesなどでも使用されています。こちらも60%程度のファイルサイズが圧縮でき、音質劣化がありません。またカバーアートの埋め込み、楽曲情報の記録もできます。
主なデジタルオーディオフォーマット
方式 | 形式 | 特長 |
---|---|---|
非圧縮 | WAV | 非圧縮リニアPCM。非圧縮のためファイルサイズは大きい。 カバーアートの埋め込み、楽曲情報の記録はできない。 |
AIFF | 非圧縮リニアPCM。非圧縮のためファイルサイズは大きい。 カバーアートの埋め込み、楽曲情報の記録ができる。 |
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DSD | SACDの録音フォーマット。 PCMとは異なり、1bitの疎密波として記録する方式。 DSD対応の再生機器、ソフトが必要。 カバーアートの埋め込み、楽曲情報の記録ができる。 |
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可逆圧縮 | FLAC | 音質が劣化しないロスレスの圧縮方式。 60%前後に圧縮可能。 多くのハイレゾサイトで採用されている。 カバーアートの埋め込み、楽曲情報の記録ができる。 |
ALAC | Appleが開発した音質が劣化しないロスレスの圧縮方式。 60%前後に圧縮可能。 iTunesなどで採用されている。 カバーアートの埋め込み、楽曲情報の記録ができる。 |
まとめ
ハイレゾ音源のダウンロードで最も多く用いられているのがFLAC。音質劣化なしでファイルサイズが圧縮でき、アルバム情報や画像の埋め込みも行えます。
またハイレゾ対応の多くの機種がサポートしている点も安心です。もし、非圧縮のデータにこだわるのであればWAVがいいでしょう。非圧縮音源のWAVはデコード(復元)が不要なので音質的にはもっとも信頼がおけます。
DSDは1bit方式であり他のPCM系の録音とは記録原理が異なりアナログレコードに近い滑らかな音が楽しめるのが特長です。
ただしDSD対応機器でなければ再生が行えませんのでその点、注意が必要です。
ハイレゾ音源の再生方法
ダウンロードしたら、いよいよ再生。最後にハイレゾ音源の再生方法についてご紹介します。
ハイレゾ音源再生方法 その1 PC+DAC
ハイレゾデータをPCのハイレゾ対応のアプリで再生し、DACを使ってアナログ変換する方法です。ダウンロードしたPCにハイレゾ再生用のアプリケーションをインストールし、PCのUSB端子などからUSB DACへデジタル出力します。DACからは通常のオーディオでもヘッドホンでも再生できます。
ハイレゾ音源再生方法 その2 NASに格納しネットワーク機能で再生
NAS (ネットワーク接続ハードディスク)にハイレゾ音源のデータを入れておき、Wi-Fiなどのネットワークに接続されたオーディオ機器のネットワーク機能を使って再生します。たとえばデノンのHEOS対応オールインワン・ネットワークCDレシーバー「N10」やネットワークオーディオプレーヤー「DNP-800NE」、HEOSに対応したAVアンプ「AVRーX1600H」などHEOS機能を持ったオーディオ機器で再生が可能となります。
ハイレゾ音源再生方法 その3 USBメモリーで再生
デノンのネットワークオーディオプレーヤー「DNP-800NE」や、CDプレーヤー「DCD-800NE」、AVアンプシリーズなどは本体にUSBメモリー接続端子を装備しており、USBメモリーに書き込まれたハイレゾ音源が再生できます。ネットワークなどを使用せずハイレゾ音源が再生できるお手軽な方法です。
ハイレゾ音源再生方法 その4 DVD-R/-RWに収録されたハイレゾ音源を再生する
DVD-R/-RWなどのディスクメディアに収録されたハイレゾ音源をSACDプレーヤーDCD-1600NEなどで再生する方法です。こちらもネットワークなどを介することなく、ディスクをCDトレーに入れるだけの簡単操作でハイレゾ音源が楽しめます。
ハイレゾ音源再生方法 その5 ハイレゾ音源対応のデジタルオーディオプレーヤーで再生
ハイレゾ音源に対応したDAP(デジタルオーディオプレーヤー)などで再生します。DAPは直接インタネットに接続できるものもあり、DAP本体で直接ダウンロードすればそのままヘッドホンでハイレゾ音源が楽しめます。
ハイレゾ音源は、このように様々な方法で聴くことができます。ハイレゾ未体験のあなた、ぜひ一度ハイレゾ音源のサウンドを体験してみてください。
(編集部I)