【無人島CD】何度聴いても味わい深い、ジャズピアノの不朽の名盤
無人島に1枚だけCDを持って行けるとしたらどれを選ぶ? 唐突に突きつけられる究極の選択、名付けて「無人島CD」。デノンブログ編集部に新たに参加したT.Sが選んだのは、不世出のジャズピアニスト、ビル・エヴァンスの名盤でした。
こんにちは。新しくデノンブログ編集部に参加したT.Sと申します。
ご挨拶代わりに「無人島に行くとして、1枚だけCDを持っていっていいなら、どのアルバムを持っていくか」というお題での原稿を書くことになりました。編集部に参加して早々、まさに究極の1枚の選択となるような問いを突き付けられるとは思いませんでした。
とは言え、これはまぁ、ある意味で大喜利のようなものですから、あまりシリアスに考えず、「いつかは島から帰れる予定」というお気楽な前提で、大自然の気持ちが良さそうな場所で、自分ならどんな音楽が聴きたいのか、という視点で考えました。
まず無人島にずっといるのにCDはたった1枚しかないわけですから、夜だったり、朝だったり、昼だったりといろんな時に聴くことになります。また聴く場所も海辺だったり森だったり……ジャングル?とか。ですからいつ、どんな場所で聴いても味わい深い音楽で、しかもその時々の自分のいろんな気持ちに寄り添ってくれる音楽、と考えると、結局日頃自分が一番聴いているアルバムだなぁ、ということで、ジャズピアニスト、ビル・エヴァンスの名盤「ワルツ・フォー・デビ−」を選びました。
アーティスト名:ビル・エヴァンス
アルバム・タイトル:ワルツ・フォー・デビイ
このアルバムのどこがいいかと言えばやはりビル・エヴァンスのピアノの素晴らしさ、そしてベースのスコット・ラファロ(この人はこのアルバムを録音してわずか11日後に交通事故で亡くなってしまうのですが)との仲の良さが忍ばれる、素晴らしいインタープレイです。
先ほど書いたように、このアルバムは私が日常的に一番よく聴くアルバムですが、アルバム中で一番聴くのは、タイトル曲の「ワルツ・フォー・デビー」ではなく、意外にマイルス・デイヴィスが作曲したモードジャズの名作「マイルストーン」だったりします。また1曲めの「マイ・フーリッシュハート」も好きですね。この録音はニューヨークの老舗ライブハウス、ヴィレッジ・ヴァンガードでのライブレコーディングですが、ライブハウス内の話し声などがうっすら聴こえるなかで演奏がそっと始まるところがいいです。
ちなみに次点で考えていたのは、やはりジャズピアニストのアルバムですが、キース・ジャレットの「マイ・ソング」です。こちらはキース・ジャレットのピアノが素晴らしいことに加えて、ノルウェー出身のサックス奏者のヤン・ガルバレクの澄み切った美しい音色もまた素晴らしいです。ただアルバムの中にフリージャズっぽい曲があって、その曲は無人島では聴きたくないな、と思って次点としました。
アーティスト名:キース・ジャレット
アルバム・タイトル:マイ・ソング
ちなみにフリージャズが嫌いなわけではありません。むしろ好きで、日本を代表するフリージャズの名盤、山下洋輔トリオの「クレイ」などはよく聴いています。強烈なフリーサウンドで、まさにフリージャズの迫力満点のアルバムですが、まぁ、これは、無人島には持っていかないかな、と思っています。
(編集部T.S)