ストリーミングやハイレゾ音源などを高品位で再生できる ネットワークオーディオプレーヤー「DNP-2000NE」登場
ストリーミングやハイレゾ音源などのデジタルオーディオを高品位に再生できるネットワークオーディオプレーヤー「DNP-2000NE」が登場しました。製品についてのプレゼンテーションが行われた新製品発表会の様子をリポートします。
ネットワークオーディオプレーヤー「DNP-2000NE」の製品発表会は、ディーアンドエムホールディングス本社ビルにて行われました。製品のプレゼンテーションは国内営業本部 営業企画室 田中が行いました。
※新製品発表会はディーアンドエムホールディングス本社にて人数を限定し複数回実施されました。
110周年モデルと同様のグラファイト・シルバー仕上げも採用したネットワークオーディオプレーヤー「DNP-2000NE」
田中:デノンから久しぶりに発売するネットワークオーディオプレーヤー「DNP-2000NE」です。現在のデノンのラインアップの中で本格的なネットワーク機能を持っているフルサイズのHi-Fiコンポーネントには、PMA-900HNEがありますが、のみ。純粋なネットワーク専用機としては、この「DNP-2000NE」が久々にラインアップに加わることになります。
国内営業本部 営業企画室 田中
田中:まず一目でわかる特長ですが、DNP-2000NEには2種類のカラーリングがあります。通常のHi-Fiのシルバーに加えて、デノンの110周年モデルで採用されたグラファイト・シルバー仕上げもご用意しました。
本来、通常のレギュラーモデルに、この110周年記念モデルの限定色であるグラファイト・シルバーが採用されることはありません。しかしDNP-2000NEは企画の時点で「110周年記念モデルとも組み合わせられるネットワークプレーヤーを作ろう」と考えており、110周年記念モデルとの橋渡しになるようなモデルにしたいということで、グラファイト・シルバー仕上げも企画されました。もちろん1700NEシリーズなどにも合わせて使っていただきたいという思いも持っております。
手前がグラファイト・シルバー仕上げの「DNP-2000NE」。奥に見えるのが同じくグラファイト・シルバー仕上げの110周年記念モデルのプリメインアンプ「PMA-A110」
田中: さて製品特長ですがDNP-2000NEには3つの特長があります。
- デジタルオーディオ再生の未来を拓くネットワーク
- あなただけのオーディオを家族のオーディオに
- デノンデジタルHi-Fi技術の集大成
それではこの3点について説明させていただきます。
デジタルオーディオ再生の未来を拓くネットワーク
田中:昨今、音楽の聴き方はストリーミングが主流となりつつあります。そしてデノンはプレーヤーづくりを得意とするブランドであると自負しています。それはデノンが蓄音機から会社が始まっていること。また業務用のレコードプレーヤーも作っていましたし、50年以上前に発売して今なお生産し続けているカートリッジDL-103なども手掛けています。また世界で初めてのCDプレーヤーも作りました。そのどれもがオーディオ史に名を残すオーディオプレーヤーです。
そんなデノンが、ネットワークの時代高音質と信頼性を実現したネットワークプレーヤーを作りたい。ストリーミング、あるいはNASに音源を入れてネットワークで楽しむといったデジタルオーディオ再生のためのモデルを作る、ということがDNP-2000NEのコンセプトでした。
田中:そのようなコンセプトで生まれたDNP-2000NEですので、非常に多彩なデジタルオーディオのソースに対応しています。
まずHEOSを搭載していますので、多彩な音楽ストリーミング、Bluetooth、AirPlayでの音楽再生が可能です。さらに、USB-DAC機能でパソコンをつないでPCオーディオを楽しむことができます。今回の大きな特徴であるHDMI接続では、テレビをプレーヤーとしたデジタル再生が可能です。そしてUSB-A端子も装備されているのでUSBメモリーに入れたハイレゾ音源などが再生できます。そしてネットワーク経由でNASに格納されているデジタル音源の再生も可能です。高音質設計のヘッドフォン端子も搭載していますので、ヘッドフォンでも高音質に音楽を楽しめます。
DNP-2000NE 新製品発表会資料より
「あなただけのオーディオを家族のオーディオへ」
田中:2つめのポイントは「あなただけのオーディオを家族のオーディオへ」です。
これはどういうことか、と申しますと、オーディオシステムって結構大きいですから、リビングに置かれていることが多いと思います。
とはいえオーディオを勝手にいじったら壊れるんじゃないか、操作が難しいんじゃないか、という心配があるから、たいていそのオーディオを購入した方しか使っていないということが多いんではないでしょうか。
しかしDNP-2000NEを既存のシステムに追加する、または置き換えていただければ、家族全員がオーディオを気軽に楽しめるようになります。
DNP-2000NE 新製品発表会資料より
田中:それはなぜか。DNP-2000NEにはHDMI端子があるからです。
DNP-2000NEをテレビとHDMIケーブルで接続することで、簡単にテレビの音声をオーディオで再生でき、テレビ内蔵のスピーカーの音とは比較にならない高いクオリティのオーディオ体験が味わえます。しかもHDMI CECに対応したテレビであればDNP-2000NEのARC HDMI端子と接続すると、オーディオの電源のオン・オフやボリュームコントロールがテレビのリモコンから操作できます。さらにデノンのプリメインアンプを組み合わせればDNP-2000NEも含めたすべての操作がテレビのリモコンで手軽に行えます。
つまりいろいろなリモコンを持ち替えたりせず、すべてテレビのリモコンでオーディオシステムがコントロールできるようになるということなので、全然難しくありません。ご家族どなたでも、テレビを操作する感覚でオーディオを操作でき、テレビの音声とは全く次元の違う高音質で音楽やテレビが楽しめる。そんな世界が始まります。
デノンのデジタルHi-Fi技術の集大成
田中:3つめは「デノンのデジタルHi-Fi技術の集大成」です。
DNP-2000NEはネットワークプレーヤーなので筐体は薄めですが、QUAD-DACやUltra AL32を搭載するなど、回路設計は110周年モデルであるDCD-A110と多くの共通点を持っています。
デノンと言えばまずアナログ波形再生技術であるアルファプロセッサーですが、DNP-2000NEでは「Ultra AL32 Processing」を搭載しています。これは今までのオーバーサンプリングの倍の1.536MHzまでアップサンプリングと32bitへのビット拡張を行い、本来のアナログ波形を再現するもので、それによって-3dBのS/N比の改善が実現しています。まさに最新にして最上のフルファプロセッシングを行っています。
DNP-2000NE内部のAdvanced AL32 Processing Plusを処理する基板
田中:そして、D/Aコンバーターに関してはステレオD/Aコンバーターを4個(8ch)使ったデノンの誇るQUAD-DACを搭載しています。これもDCD-A110と同じで非常に高いクオリティのサウンドを実現します。仕組みとしてはUltra AL32 Processingによりアップサンプリングされた1.536 MHzの信号を半分の768 kHzに分割し、L/Rの信号をそれぞれ2基(4ch)の差動電流出力型DACに入力。D/A変換された信号を再度合成してステレオの出力信号を得る、ということを行っています。
DNP-2000NE 新製品発表会資料より
田中:またアナログとデジタルの切り分けも重要です。DCD-A110はデジタルプレーヤーですからデジタル回路とアナログ回路の両方を内蔵していますが、ノイズの影響を抑えるためには、両者を分ける必要があります。そのためにアナログ回路基板とデジタル回路基板を電気的に絶縁します。また基板だけではなくそれぞれの回路に電源を供給する電源トランスや電源回路もデジタル用とアナログ用に完全に分けています。
DNP-2000NEの内部。デジタル用電源トランスとアナログ用電源トランスがそれぞれ独立している
DNP-2000NE 新製品発表会資料より
田中: DNP-2000NEには高剛性シャーシが採用されています。ネットワークプレーヤーって一見薄くて軽そうに見えます。実際、今までのネットワークプレーヤーは軽いモデルも多かったです。しかしDNP-2000NEはここまでに説明したような充実した機能を実現しており、そのため内部もぎっしり詰まっています。これだけの重量を支えるとなれば、やはりしっかりしたシャーシが必要、ということで2層構造のシャーシを採用しています。トップカバーはネジの量を減らし、その分、剛性が少し落ちた分を、エンボス加工して剛性を上げました。
田中:最後にもうひとつ付け加えますと、オーディオ基板の電源ケーブルは作業性よりも音質を重視し太いケーブルを採用しています。
ちなみにデノンは「作業性」をたいへん重要視しています。というのも作業性が悪くなると生産に要する時間が増え、人件費が上がり、結果的にコストが上がって価格が高くなります。デノンには「いいものをお求めやすい値段で作るというのも技術だ」という考え方がありますから、作業性を重視するわけです。とはいえ、我々の最上位のテーマは「いい音」です。で、このケーブルに関しては音質に非常に大きく影響するため、作業性を犠牲にして太いケーブルを採用いたしました。
シャーシの側面にあるケーブルが電源用の太いケーブル
サウンドマスターによるDNP-2000NEのサウンドの試聴
プレゼンテーション終了後は試聴室に移り、DNP-2000NEの試聴が行われました。デモンストレーションはデノンのサウンドマスター、山内慎一が行いました。
デノン試聴室
デノンサウンドマスター 山内慎一
試聴はアコースティックなアンサンブルのボーカル音源、そしてクラシックの音源でストラヴィンスキーの「春の祭典」の一部などを使って行われました。試聴ソースはNASに格納された音源の再生で、プリメインアンプはPMA-A110が使用されました。
次NAS音源に続き、USB-DACを使ってパソコンからのファイル再生を試聴。MacBookからAudirvanaというアプリケーションを使いDNP-2000NEへデータを送り出して試聴を行いました。ソースは大貫妙子さんの音源です。
そして最後はHEOSを使い、さまざまな音源のストリーミングでの試聴も行われました。
試聴後には記者の方々から多くの質問が寄せられました。その一部をご紹介します。
●プレゼンテーションで「ディスクに迫る高音質を実現した」という説明がありましたが、例えば同じ音源でCDとデータで比較検聴したのでしょうか。
山内:比較検聴は行いました。結果的にディスクとファイルで「ほぼ同等」といえるレベルには仕上がったと思います。ディスクプレーヤーの場合はシンプルで、ケーブルをつないでディスクを再生するだけなのでパラメーターが少なく音作りがしやすいです。一方ネットワークプレーヤーには様々なケーブルが繋がりますし、いろんなデバイスを搭載していますから、それらからの影響も多く、そこに苦労はあります。ただ、ネットワーク再生には今後大きな可能性がありますすし、ネットワークプレーヤーの音質はこれからさらに良くなっていくだろうと思っています。
●可能性とは、CDのフォーマットより高精度なデータ、ハイレゾ音源などのことですか。
山内:そうですね。そういうものもメディアとして増えてくるでしょうし、検索なども用意ですし、扱いの面でもディスクメディアよりも気軽な部分もあると思います。
その他にも多くの質問が寄せられました。
ディスクに匹敵する音質を実現したというデノンの新たなネットワークプレーヤーDNP-2000NEのサウンドをぜひオーディオ専門店などでご体験ください。
(編集部I)