ソチ五輪の氷上で響きわたるゲイリー・ムーアの「泣き」のギター!
ソチ五輪、盛り上がってますね。フィギュアスケートで金メダルを獲得した男子シングルスの羽生結弦選手は、私たちに大きな感動を与えてくれました。その羽生選手がショートプログラムで使用した曲が、なんと3年前に亡くなったロックギターヒーロー、ゲイリー・ムーアの「パリの散歩道」でした!
日本勢の活躍で盛り上がっているソチ五輪。音楽ファンとしても見逃せないのが、音楽を使う競技です。
特に冬期五輪の花と称されるフィギュアスケートは、どの選手がどんな曲で滑るのかが、気になるところです。
フィギュアスケートの音楽でよく使われるのが、ラフマニノフ、レスピーギなどのクラシック曲、
そして荒川静香さんが使ったことで有名になったプッチーニの「《トゥーランドット》〜誰も寝てはならぬ」などのオペラ曲ですよね。
でもソチの男子シングルスで金メダルを獲得し、いまや新たなスケートのヒーロとなった羽生結弦選手が
ショートプログラムで使用しているのがなんと3年前に亡くなったロックギターヒーロー、ゲイリー・ムーアの「パリの散歩道」です!
ソチの氷上で、あのゲイリー・ムーアの泣きのギターが炸裂したのはロックファンとしては、嬉しい驚きでした。
ご存じない方もいらっしゃると思いますので、ゲイリー・ムーアについて少しご紹介しましょう。
彼はTHIN LIZZYというアイルランドのハードロックバンドのギタリストとして頭角を現しました。
骨太で粘りのある、直情径行型のギターですが、他のハードロックギタリストとひと味違うのは
ジャズロック的なアプローチのバンドを組んだり、その一方では晩年はブルースに回帰したりと、
一つのジャンルに固執することなく、さまざまなフィールドで活躍したところでしょう。
それは彼がテクニカルな面で卓越していたからです。
彼のギターの最大の特徴は、驚異的な早弾きとその対極にあるバラードでの感情豊かな「泣き」を両方使いこなせること。
特にギターを「泣かせる」ことに関して、右に出るものはカルロス・サンタナぐらいでしょうか。
サンタナの泣きが、ラテンフレーバーでやや明るさがあるとすれば、ゲイリーの泣きは、いわば極寒アイルランドの男泣き。
ドラマチックな「パリの散歩道」は、まさにゲイリーの泣きが炸裂しています。この曲は羽生さん本人が選んだのでしょうか?
興味のあるところです。
ちなみにゲイリー・ムーアの伸びやかで厚みのある音は
レス・ポールというタイプのエレキギターのサウンドの一番いい部分を引き出したもの、といってもいいでしょう。
ゲイリー・ムーアが使用しているレス・ポールはブリティッシュ・ブルースシーンでの先輩にあたる
ピーター・グリーンから譲り受けたものだそうです。
ピーター・グリーンは、エリック・クラプトンが脱退したジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズに参加して、絶賛を博し、
その後にピーター・グリーンズ・フリートウッド・マックを結成して大成功します。
(代表曲は「ブラック・マジック・ウーマン」、後にサンタナがカバーしてヒット)
1970年にグリーンは大ファンだったゲイリー・ムーアにギターをタダ同然で譲った後、
1990年代に復活するまで忽然と音楽シーンから姿を消してしまうのでした。
ゲイリー・ムーアはその間、そのレス・ポールを弾き続けギターヒーローとなったわけです。
実は「パリの散歩道も」、そのギターで演奏されているとか。
2人のギタリストに愛されたギターの極上のサウンドをぜひ味わっていただきたいと思います。
アーティスト名:ゲイリー・ムーア
アルバムタイトル:バック・オン・ザ・ストリーツ
ユニバーサルミュージック
ゲイリー・ムーア「パリの散歩道」も収録された
配信限定コンピレーション『フィギュア・スケート2014』も現在販売されています。