AH-C820Wを編集部で使ってみた
豊かな低音で人気が高いインイヤーヘッドホンAH-C820をワイヤレス化したAH-C820Wがついに発売となりました。そこで今回は編集部が一週間にわたってロードテストしてみました。今回はAH-C820Wの音の印象や使い勝手をリアルかつ克明にレポートします。
豊かな低音で人気が高いインイヤーヘッドホンAH-C820をワイヤレス化したAH-C820Wがついに発売となりました。そこで今回は編集部が一週間にわたってロードテストしてみました。今回はAH-C820Wの音の印象や使い勝手をリアルかつ克明にレポートします。
バイブレーションと音声でスムーズにペアリング完了!
昨年開発者インタビューを掲載したAH-C820Wですが、この製品はユーザー目線の使用レポートも必要だと力説し、やや無理を言って一週間ほど編集部で実機を借りてロードテストしてみました。上の写真は製品の箱から出した状態。AH-C820Wはデノンとしては初のネックバンド式のBluetoothインイヤーヘッドホンですが、このケースに入っています。かなりしっかりしたケースですが、オーバーイヤーヘッドホンよりはずっと薄いのでバッグなどに入れてもかさばりません。
さて、Bluetoothヘッドホンの場合、まずはペアリングですが、AH-C820Wはネックバンド部分のボタンを長押しするとペアリングモードとなります。やってみるとすぐにスマホの設定画面にAH-C820Wが表示されてタッチしたらあっさりと完了しました。
↑iPhoneとペアリング
↑ペアリングが完了し「接続」成功
AH-C820Wはこうした動作状況が音声ガイダンスでアナウンスされますが、同時にネックバンドのバイブレーターの振動でも知らせてくれます。電源のオン/オフでバイブレーターが1回、ペアリングモードで2回、Bluetooth接続完了で3回ブルっと振動するので、イヤホンを耳に装着していない状態でも様々な動作状況がわかります。電源やBluetoothの接続作業などはイヤホンを耳に入れる前にすることが多く、使ってみたらとても便利な機能でした。
サウンドはさすがAH-C820譲り!
さくっとペアリングが済んだところで、さっそく音楽を聴いてみました。サウンドは、まさにAH-C820。あの聴き慣れた豊潤な低音が再生されました。これはAH-C820と同じくデノンが特許を取得しているダブル・エアーコンプレッション・ドライバーの搭載によるものでしょう。このドライバーは11.5mm ダブル・エアーコンプレッション・ドライバーといってドライバーを2個、対向配置することで2倍の振動板面積を実現しています。それでこの自然で豊かな深みのある低音が出せるわけです。また音質を重視し2つのドライバーにはそれぞれ直接ケーブルがつながれています。
そのあたりのこだわりもAH-C820を継承しています。AH-C820Wの開発者インタビューでも「インイヤーヘッドホンのフラッグシップモデルAH-C820をそのままワイヤレスにする」と語られていましたが、まさにあのAH-C820サウンドが、そのままワイヤレスになっています。これはすごい技術だと思います。
↑2基のドライバーが向かい合っているダブル・エアーコンプレッション・ドライバー。OFCデュアル・ダイレクトケーブルが2つのドライバーに直接つながっている
意外なほど使いやすいネックバンド型
私は今までいわゆるBluetoothイヤホンを使ったことはありましたが、ネックバンド式のものは使ったことがありませんでした。というのも、ネックバンド式はパッと見で、柄が大きいのでなんとなく敬遠していたわけです。ところがネックバンド式のBluetoothインイヤーヘッドホンをいざ自分で使用してみるとこれが実に快適で驚きました。
ネックバンドは他人から見るとやたらと存在感が強いですが、自分ではネックバンドは見えませんし(これはやってみるまで気づきませんでした)、装着していることを忘れてしまうほど重さも感じません。またネックバンドからでているケーブルが必要最小限なので、まったく邪魔にならず、ケーブルが自分の顔や洋服に触れるうっとうしさがありません。ケーブルが身体や服に触れるタッチノイズがないのも快適です。
このタッチノイズがないことが、私にとっては自分でも驚いたほど快適なものでした。いままでタッチノイズが非常に気になっていたことに、はじめて気が付きました。
ネックバンド式のメリットのもうひとつは、ヘッドホンのつけ外しが苦にならないことです。普通のインイヤーヘッドホンであれば、耳から外したら、そのまま首に掛けておくことはできませんし、いったん外してどこかに置いたら、つけるたびにまた左右の確認をしなくてはいけません。
しかしネックバンド型ならヘッドホンをはずしても、そのまま首に掛けておけますし、オーバーイヤーヘッドホンのように煩わしくないので、外したまま首に掛けていてもほとんど気になりません。またケーブルが短いので装着する時も、手探りですぐに装着でき、左耳、右耳の確認も必要ありません。これは使ってみるまで便利さがわからなかった点でした。付け外しが楽なので、オフィスなどで使っている時、誰かに話しかけられて外し、また装着する、といったときの煩わしさを、ほとんど感じることがありませんでした。
また左右のドライバーはマグネットが内蔵されているので、使用しない時にはネックバンドにつけたり、ドライバー同士をつけたりすることができます。
↑ドライバー部分はネックバンドにマグネットで装着できる
電話やSiriが使え、さらにDAC機能で充電しながらのリスニングも可能
ネックバンドの内側には下の写真のように4つのボタン式のコントローラーが装備されています。左端は電源で、その右隣が音量を上げる、次が再生、そして右端が音量を下げるボタンとなっています。またボタン操作でバッテリーの残量も音声ガイダンスが教えてくれます。
↑ネックバンドの左内側に装備されたボタン類
↑パソコンと接続すると充電しながら音楽が聴ける
AH-C820Wは満充電時には10時間ワイヤレス使用が可能です。毎日2時間使っても5日間も使えるということになりますから、日常使いでバッテリーの残量が気になることはなさそうです。充電はネックバンドの先端にあるUSB端子で行います。パソコンと付属のUSBケーブルでつないで充電するときは、パソコンで再生している音楽を高音質で楽しめるUSB-DAC機能も搭載しています。AH-C820Wのバッテリーは約2時間で100%まで充電できます。
AH-C820にはない便利な機能としては、接続しているスマホに電話がかかってきたときにそのままハンズフリーで会話ができる点。これも実際にやってみましたが、ちょっとビックリするぐらいの高音質で会話ができました。また電話だけではなくSiriやGoogleアシスタントを呼び出すことができる点も注目です。呼び出しは音楽の再生中にPlay / Pauseボタンを1秒以上長押しするだけでOK。これもスマホに接続して音楽を聴いているとき、急に電話をする約束を思い出したので試してみましたが、スマホを取り出すことなくAH-C820W経由で会話ができました。そして電話が終わると、またもとの音楽再生に戻りました。まるでいきなり近未来に来たような便利さでした。
オーバーイヤーヘッドホンとインイヤーヘッドホンのいいとこどり?
最後に一言、このロードテストしてみた感想で一番印象的だったのは、「使いやすい」とことでした。装着感が安定していて、しかも外したときに首に掛けたままにできるという使い勝手は、オーバーイヤーヘッドホンに似ています。私はわりとヘッドホンをするほうですが、これはヘッドホンのかけやすさ、安定感などは、そのままAH-C820Wのメリットにもなっていると思いました。
↑AH-C820Wはカフェでも快適。
逆にヘッドホンの難点は重さと圧迫感で、ヘッドホンを長時間していると、どうしても重量が気になってきますし、ハウジングの中の蒸れや、ヘッドバンドによる耳や頭への圧迫も気になります。その点AH-C820Wはインイヤーヘッドホンですから、重量は忘れてしまうぐらい軽く、しかも標準装備のComplyのイヤーピースは耳によくフィットして蒸れもなく快適。長時間使用していてもまったく気になりません。気にならないというより、むしろインイヤーヘッドホンで音楽を聴いていることを忘れてしまうぐらい、自然に使うことができました。
↑AH-C820Wは、オフィスで頻繁につけたり外したりしても、ストレスは感じられなかった
ということで、AH-C820Wのロードテストをお送りしました。私の感想は「これは買う!」です。みなさまもぜひ、お近くのオーディオショップなどでAH-C820Wの快適な装着感と、低音が効いた豊かなサウンドをお確かめください。
(編集部I)