お答えします!「8KとHDMI2.1について」
デノンから世界に先駆けて8Kに対応したAVアンプ、AVC-X6700H、AVR-X4700Hが発売中されました。ところで8Kの映像ってどのくらい凄いのでしょうか。そんな疑問にディーアンドエムホールディングス 国内営業本部 営業企画室の田中 清崇がズバリとお答えします。
AVC-X6700H、AVR-X4700Hについてはデノンオフィシャルブログのこちらのエントリーもご覧ください。
ディーアンドエムホールディングス 国内営業本部 営業企画室 田中 清崇
8Kは4Kの4倍、フルハイビジョンの16倍緻密な表現ができる画素数
●田中さん、ついに世界初の8K対応AVアンプが出ました。で、ズバリおうかがいしますが、8Kってそんなにすごいんですか。
田中:これが、すごいんですよ! 今一般的になりつつあるのが4Kテレビじゃないですか。8Kだとこれが縦横それぞれ2枚分になりますから4倍です。同じ大きさのテレビで見ると、4倍緻密になるわけです。
●AVアンプの8K対応モデルとしては、AVC-X6700H、AVR-X4700Hが世界初ですか。
田中:そうなります。8K放送はNHKの紅白歌合戦もそうですが、もう放送がはじまっていて、8Kテレビも発売されているので8Kの映像は見ることはできます。でも対応したAVアンプがまだありませんでした。
●画素数が4倍の8Kになったことで画質は飛躍的に向上するのでしょうか。
田中:解像度だけで言えば、8Kになったことで4Kの4倍画面が緻密になったということですが、8Kという解像度と同時に、色の表現も飛躍的に進化しています。
HDMI(High-Definition Multimedia Interface 高精細度マルチメディアインターフェース)という規格があります。これはテレビとAVアンプやゲーム機などを1本のケーブルで接続して映像や音声を送受信するための規格なんですが、その規格がHDMI2.1という新しいバージョンになりました。今回のアップデートでは、8Kが大きく謳われていますが、実は他にも進化した機能がたくさんあります。ですから8Kだけで「画像がきれいになった」と言うのは、話としてはわかりやすいんですが、内容的には不充分なんです。
映像クオリティを飛躍的に向上させるHDMI2.1
●HDMI2.1とはなんでしょうか。
田中:HDMIは2002年に最初のバージョンが発表されました。年々バージョンが更新され、直前の2.0が発表されたのが2013年、HDMI2.1は2017年に発表されました。
●3年前にすでにHDMI2.1は発表されているんですね。製品ができるまで意外と時間が経っていますね。
田中:3年前に発表されたのは仕様です。仕様が決まってから実際に製品ができあがるまでにはICメーカーがチップを作ったり、チップを動かすためのソフトを作ったりというプロセスが必要で、そのチップを組み込んだ製品を作るまでにはどうしても数年かかってしまいます。
●HDMI2.1の最大のポイントはなんでしょうか。
田中:最大伝送レートが48Gbpsまで上がったことです。HDMI2.0では18Gbpsでした。今までの帯域幅では、8Kの信号はデータ量が大きすぎて通せませんでした。
●HDMI2.1で実現したのは「8K」以外にどんな点が挙げられるのでしょうか。
田中: 8Kは先ほど申し上げたように解像度ですが、HDMI2.1では解像度だけでなく、映像クオリティに関わる様々な点が進化しています。具体的には5つありまして、フレームレート、明るさ、カラースペース、色深度、そして解像度です。
●1つずつ要素を教えてください。まずフレームレートからお願いします。
田中:フレームレートは動画の滑らかさを決める要素で、いわゆる、コマ数、動きの解像度、つまり1秒に何枚の静止画を見るかということです。一般的に映画が24フレーム、日本のテレビが30フレームですが、DVDなどで採用されているのはより動きが細かい60フレーム、さらにゲームなどで使われるさらに細かい120フレームなどもあり、HDMI2.1はそれらに対応します。
●次の「明るさ」とはなんでしょうか。
田中:明るさの範囲であるダイナミックレンジが広いということで、HDR(High Dynamic Range)という形式があります。今までのHDRはコンテンツ単位で設定されていて、つまりこの映画でいちばん明るいところはここ、いちばん暗い所はここ、という情報(プロファイル情報といいます)を送っていましたが、HDMI2.1ではダイナミックHDRに対応しました。
●ダイナミックHDRはどんな点が優れているのでしょうか。
田中:HDRのようにコンテンツ単位ではなく、シーン単位、あるいはフレーム単位で明るさが指定されます。例えば非常に暗いシーンと非常に明るいシーンが混在する映画があったとします。HDRではその映画全体で一番明るいところと暗いところを指定し、テレビの最大輝度をもとにその間で明るさの階調を指示したわけですが、HDRではシーン単位、あるいはフレーム単位で指示できます。どういうことができるかというと、真っ暗の洞窟のシーンと真っ白に光り輝くシーンが一つの作品の中にあったとすると、HDRでは真っ暗な中のシーンでの階調がとても狭いので、暗いシーンがほぼ黒くて見づらいというようなことがありましたが、ダイナミックHDRであれば暗い中、明るい中それぞれ階調が出せるため、より豊かで詳細な色の表現が行えます。
●では3つ目の要素、カラースペースとはなんですか。
田中: カラースペースとは、色域ともいいますが、テレビやカメラ、プリンターなどが再現できる色の範囲のことです。従来のフルHDテレビやブルーレイではBT.709という規格が用いられていました。BT.709では肉眼で認識できる色の内、74.4%までしか表現できませんでした。4K/8KテレビやUHDブルーレイではBT.2020という規格に対応し、色の表現力は99.9%まで拡張されました。先ほどのダイナミックHDRと合わせて輝度と色域の両方で豊かな表現が可能になったということですね。
●4つ目の色深度とはなんでしょうか。
田中:色深度とは色数のことです。カラースペースが再現できる色の範囲だとすれば、色深度はその色の深さで、グラデーションがどのくらい細かく表現できるかということです。こちらも8、10、12、14、16bitといったバリエーションがサポートされます。輝度や色域の範囲が広くなってもその中のグラデーションが綺麗に表現できなければ美しい映像にはなりません。ですから色深度もとても重要な要素です。
●そして最後が解像度で、それが8Kということですね。
田中:そうです。ですからHDMI2.1では8Kだけでなく、動き・解像度・色に関わる要素が向上しています。これらの相乗効果で飛躍的に画像のクオリティが向上しています。
●ちなみにHDMI2.1ではいままでのHDMIケーブルは使えるのですか。
田中:データの量が増えますから今までの18Gbpsを前提としたHDMIケーブルは使えなくなります。HDMI2.1以降は、48Gbps伝送が可能なHDMI2.1対応ケーブルをお使いください。
今後の動画メディアの進展を見据えると8K対応がお勧め
●すでに8K放送は始まっているということは、どんどん8Kの映像が増えてくるのでしょうか。
田中:NHKはすでに放送を始めていますので、今すぐに楽しむことができます。また、これは私見ですが、これからは5Gもはじまりますし、動画配信サービスから8Kのコンテンツが配信されるのではないでしょうか。また、年内の発売が予告されている次世代ゲーム機も8Kに対応するそうですから、こちらも楽しみですね。
●今後AVアンプを買うなら、やはり8K対応にすべきでしょうか。
田中:毎年AVアンプを最新型に買い換える熱心なファンの方々は別として、AVアンプって普通は1度購入されたら3年、5年と使われますよね。その間にどんどん8Kのコンテンツが増えていきますし、テレビを買い替えることもあるでしょうから、AVアンプも8K対応のものが安心ではないでしょうか。今AVアンプのご購入や買い換えをご検討中であれば、8K対応モデルが、後悔のない選択になると思います。
ありがとうございました。
(編集部I)