
デノンのミニコンポの試聴曲をご紹介します。

家電量販店などの試聴コーナーなどでデノンのミニコンポを試聴する際にお使いいただける試聴曲を用意しています。今回は店頭で試聴できる音源について、その詳細や聴きどころなどをご紹介します。
オーディオはどんな曲で試聴するのがいい?
オーディオ機器を店頭で試聴するときに、どんな曲で試聴していますか。なんとなく流れている曲や、あまり聴き馴染みのない曲や初めて聴く曲で試聴すると、そのオーディオの音の特徴がつかみにくくなってしまいます。できればいつも試聴する曲、自分用のリファレンス曲を決めておき、その曲のどの部分を注目するか、いくつかのポイントを自分で決めておくと判断しやすくなるでしょう。
デノンでは量販店などのミニコンポの試聴コーナーで試聴用の音源をいくつか用意しています。今回はデノンの試聴曲の詳細と、それぞれの試聴の参考になりそうなポイント、さらにぜひ味わっていただきたい聴きどころなどをご紹介します。あらかじめご自分のオーディオでこれらの曲を聴いてから試聴すると、その違いが良くわかるかもしれません。
ボブ・ジェームス・トリオ: Bulgogi(プルコギ)、Ain’t Misbehavin’(浮気はやめた)
ボブ・ジェームスといえばプロデューサーとしても数多くのグラミー賞を受賞しているスムースジャズ界の大御所ピアニスト。サックス奏者のデビッド・サンボーンと並ぶレジェンドです。またリー・リトナー(ギター)、ハービー・メイソン(ドラム)、ネイザン・イースト(ベース)という名だたるミュージシャンと結成したスーパーバンド、FOUR PLAYにもピアニストとして参加し、数々の名盤を残しています。FOUR PLAYは優れたレコーディングのアルバムも数多くあり、オーディオ機器のデモンストレーションでもよく使われていますのでご存じの方も多いのではいでしょうか。
今回デノンが試聴用に用意した音源は4曲ありますが、そのうち2曲はボブ・ジェームス・トリオの2018年のアルバム「Espresso」からセレクトされています。
アーティスト名:ボブ・ジェームス
アルバム・タイトル:Espresso
最初の曲は、Bulgogi(プルコギ)。ボブ・ジェームスは1939年生まれですから、現在81歳、このアルバムは78歳当時のアルバムですが、とてもそうとは思えない若々しさ。キメが多いタイトな演奏が繰り広げられていて驚かされます。全員サラっと余裕を持って演奏しているので気づきにくいのですが、よく聴くとテーマのある部分でピアノとベースがユニゾンになったりと、かなりテクニカルなアレンジが施されています。また最初のテーマではドラムがハイハットでタイトにリズムを刻んでいますが、ピアノソロが始まった瞬間のライドシンバルのレガートに移って伸びやかに疾走感を出すあたり、実に気持ちがいいです。ベースランニングも自在。それらをバックにボブ・ジェームスが実にのびのびとソロを弾いています。派手さを押さえつつ、深みのあるピアノソロから、ウッドベースのソロ、そしてドラムソロへとソロが受け渡されていきます。
聴きどころはイントロのピアノ、コードの透明感と鮮やかな色彩感、同じくイントロのドラム、シンバルのレガートの美しさ、そしてリズムが入ってからのベースのドライブ感とウッドベースならではの音色、このあたりの表現が試聴ポイントになりそうです。
Bob James – Bulgogi (audio)
もう1曲は、Bob James Trio : Ain’t Misbehavin’(浮気はやめた)。こちらは軽快なジャズのスタンダード曲。レイドバックしたピアノと、それをぐいぐい引っ張るウッドベースとドラムの絡みが聴きどころ。中高音を多用したピアノの瑞々しい音質をどこまで再生できるか、そしてバックのウッドベースのウォーキングのドライブ感、ドラムのソロのリムショットやスネアドラムの音の抜けの良さなどが試聴ポイントでしょう。
この曲ではボブ・ジェイムス・トリオのメンバーが実に楽しみながら演奏している様子がうかがえます。気軽に自分たちが楽しむ気持ちをもちつつ、素晴らしいテイクを録音してしまうあたり、さすが大御所ならではの圧倒的な実力と余裕を感じさせます。
Bob James – Ain’t Misbehavin’ (audio)
名倉誠人:マリンバ「バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第15番 前奏曲とフーガ BWV 884」より
次はうってかわって、J.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集よりバッハ 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第15番 前奏曲とフーガ BWV 884。音楽の世界遺産といっていいようなバッハの作品を、ニューヨークで活躍するマリンバ奏者である名倉誠人と同じくマリンバ奏者の河野玲子が演奏している作品です。
ちなみにバッハが平均律クラヴィーア曲集は平均律ピアノ曲集とも訳されることがありますが、第1巻 (BWV 846〜869) が1722年、第2巻 (BWV 870〜893)は1742年に作られました。当時ピアノはまだ一般的ではなく、クラヴィーアとは、チェンバロやクラビコード、オルガンなどの鍵盤楽器を指すのだそうです。
アーティスト名:”Makoto Nakura & Reiko Kono”
アルバム・タイトル:Bach Parallels
2台のマリンバによるこのバッハの演奏は、よく聴くピアノでのバッハとは印象が全く違います。ピアノでの演奏は建築物のようにカッチリとした硬質で構成的な曲に感じられますが、2台のマリンバによるこの演奏では、音がたゆたいながら浮遊し、バッハの曲が揺らぎを持ったコンテンポラリーな現代曲に聴こえます。マリンバという楽器はいわゆる大型の木琴ですが、比重の重い木材ならではの、ややくぐもったウッディな響きが印象的です。特に深遠な森を思わせる低音の木の鳴りと、ややヒステリックな高音の澄んだ響きが美しく、さらに台のマリンバの音が響いている空間感も味わえます。
この音源は配信で5.1チャンネルのものもあるようです。非常に空間をよく捉えた音源ですので、機会があればこの音源もサラウンド環境で試聴してみたいと思います。
スーザン・ウォン : Nothing More to Say
最後の1曲は、女性ボーカルのポップス。スーザン・ウォン(Susan Wong)。香港の歌姫と称されるボーカリストであり、女優、ファッションモデルでもあります。
彼女は6歳のときに家族とともにオーストラリアに移住し、音楽活動のために香港へ帰国。全編英語曲をカヴァーした日本デビュー作『クロース・トゥ・ユー』は、香港のHMVのジャズ・チャートで3週連続1位を記録、その録音の良さがオーディオ誌で話題になりました。
Susan Wong – Nothing More To Say (MV)
Nothing More to Sayは2021年4月にリリースされたばかりの最新シングルで、ネオソウル的なグルーブを持ったバラード曲です。聴きどころはイントロの煌びやかなエレピをバックにした歌い出しの声の質感、そしてリズムが入ってからの、特にパンチの効いたバスドラムの重低音とスネアがわりのクラップの質感のバランス、間奏やエンディングのサクソフォンの息づかいなど。録音のクオリティが高くバランスのいい楽曲なので、オーディオ機器が持つ特徴、音楽性などが確認しやすいのではないでしょうか。
これはオーディオの試聴とは別の話ですが、この曲を聴きながら夏の直前、梅雨の終わり際にドライブしながら聴くのも良さそうです。
https://smarturl.it/SusanWongNothingMore
今回はデノンの試聴曲のご紹介をしました。ぜひデノンのミニコンポで今回ご紹介した曲をご試聴いただきたいと思います。また試聴曲は追加されていきます。曲が追加されたところで、またご紹介させていただきたいと思います。
(編集部I)
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