クラシック音楽ファシリテーターの飯田有抄さんがデノンのHDMI ARC対応ネットワークCDレシーバー「RCD-N12」を選んだ理由
クラシック音楽ファシリテーターの飯田有抄さんが、テレビとの接続がさらに使いやすくなったHDMI ARC対応ネットワークCDレシーバー「RCD-N12」を自宅に導入! さらにBowers & Wilkinsのスピーカーと新しいテレビまで! そんな飯田さんにRCD-N12を選んだ理由や使い勝手について寄稿していただきました。
リビングにRCD-N12を導入〜映像コンテンツも楽しみたい!
我が自宅のリビングに、ネットワークCDレシーバー「RCD-N12」を導入いたしました。新しく買う機材は仕事場にセッティングすることが多いのですが、RCD-N12だけは自宅リビング用です。
というのは、自宅のテレビと接続し、映像コンテンツをよりよい環境で見ようと決めていたからです。そう、RCD-N12にはHDMI ARC対応の端子がついていますよね! これがなんといっても大きな魅力です。
テレビといっても、今どきのテレビは地上波の番組を見るだけではありません。ネットに接続できて、YouTube、Netflix、Amazon Prime Videoなどをサクサク見られます。音楽系のコンテンツや生配信などもたっぷり堪能できるので、オーディオ機器と接続しないテはありません。
音楽映像コンテンツの充実ぶり
私は日頃、クラシック音楽を中心に聴いていますが、有名ピアノ・コンクールはのきなみ予選から決勝ラウンドまでずっと生配信するのが主流になりましたし、ベルリン・フィルのような一流オーケストラの「デジタル・コンサートホール」や、伝統あるレコードレーベル、ドイツ・グラモフォンの「ステージプラス」といった配信サービスが、定期公演や話題のアーティストの公演を配信し、インタビュー動画もアップしています。これらを、いい音で鑑賞しなくてどうする! という時代。RCD-N12はコンパクトでテレビ周りに追加しやすいアイテムですから、即購入しました!
603 S3、新しいテレビもお迎え
せっかくなら……ということで、リビングのオーディオのスピーカーも替えることにしました。Bowers & Wilkins 600シリーズのフロア型、603 S3のオークをお迎えいたしました。私はこれまでブックシェルフ型しか使ったことがなかったのでワクワクです。
左から順に、ブラック、ホワイト、オーク、レッドチェリー
Bowers &Wilkins フロアスタンディング・スピーカー603 S3
これでオーディオは準備万端。ところが、なんと自宅のテレビは古すぎて、HDMI ARC端子に対応していなかった……なんというオチ! でも、かれこれ10年以上は使ったテレビ、これを機に更新を決めました。テレビの価格帯って、案外お安いですね。私はそこまで大きな画面が必要ないので43型を選んだところ、なんと4万円! これでネットもサクサク動くようになりました。
テレビとRCD-N12をHDMIで接続
RCD-N12と603 S3、思わぬ活躍ぶり
夢の映像コンテンツ鑑賞ライフが始まりました。 私の大好きなピアニスト、ヴィキングル・オラフソンが故国アイスランドの離島で演奏するかっこいい動画だとか、人気指揮者クラウス・マケラとオスロ・フィルの映像や、「ステージプラス」で往年の指揮者バーンスタインのコンサートがたくさん見られたり、最新の音楽祭の映像なども、高画質・高音質で楽しめるようになって、ゴージャス!
※参考映像:オスロ・フィル
※指揮者クラウス・マケラ
オーケストラの演奏は、個々の楽器のアップが映し出され、指揮者の表情なども見られるので、生のコンサートとはまた違った視覚的楽しみがありますし、好きな時間に部屋着でゆったり鑑賞できるのもありがたい。もちろん、HDMI端子を通じて繋いだRCD-N12がパワフルに603 S3を鳴らしてくれるので、没入感がハンパありません。
ところが…この数ヶ月、映像コンテンツをメインに使ってきたかというと、実はそうでもなく。これは自分でも思いもよらぬ展開だったのですが、実はこの組み合わせで突如よく聴くようになったのが、インターネットラジオでした。
ネットラジオのススメ〜人に淹れてもらったお茶のごとく
最近、朝ベッドから起き抜け一番にスイッチを入れるのは、テレビではなくRCD-N12になりました。そこで鳴らすのが、インターネットラジオなのです。私がほとんど毎日鳴らしているのは、たまたま見つけた放送局で、アメリカはカンザスシティにある「CLASSICAL KC」。なんと2020年に開局したばかりの放送局のようですが、これが非常に選曲のセンスがよく、番組MCのトークが難しすぎず、かといって簡単すぎず、クラシック音楽ファンには非常に心地よい内容なのです。ある時は、ある作曲家や作品をテーマに解説や曲を流したり、ある時は映画音楽を特集していたり、重厚な音楽から比較的ライトな音楽まで、幅広く聴かせてくれます。
自分で選んだ音楽を聴くのとはまた違い、「人に淹れてもらったお茶は美味しい」ように、いろんな曲が次々流れてくるのは乙なもの。
朝っぱらから(米国は夜!)マーラーの交響曲が流れてきても、案外清々しく聴けてしまったり、よく知っているはずの曲が新鮮に感じれられたり。自分では聴き慣れていたはずの曲も、あらためて「こんなにいい曲だったっけ?」と感じられたり。
インターネットラジオは先代であるRCD-N10にもあるHEOS機能で使うのですが、リモコンのボタン1つでネットラジオに切り替えてくれます。これまで私はあまりネットラジオを聴いてはこなかったのですが、おおいに背中を押しているのが、フロアスタンディング・スピーカーの603 S3の音質だと思います。
リビングに置くフロア型だからこそ
インターネットラジオのストリーム音源の音質はKbpsという単位で出ますよね。かなり圧縮された軽いデータで送られているのだと思います。CLASSICAL KCは、RCD-N12のモニターに32Kbpsと出るので音源の質としてはそこまでよくないと思うのですが、これがどうして、603 S3で鳴らすと、非常に心地よく聴けるのです。
やはりフロア型は筐体のゆとりがかなり有利に働くのでしょうね。低音も高音もかなり伸びがよく、オーケストラ作品でもまったく鑑賞に値する音質なのです。それでいて、ガッチガチに追い込んだハイレゾ音源を鳴らすわけではないので、リビングで朝イチからかけても胃もたれしない。ボリューム自体はあまり上げておかなくても、ゆったり余裕の感じられる音質はデリケートな音楽表現も届けてくれる。ちょっと気になる曲が流れてきたら、しっかりボリュームを上げれば迫力が出て、集中鑑賞モードに。
フロア型っていいもんだなぁ…としみじみ思いました。もちろん、RCD-N12でCD再生やHEOSを介したハイレゾ音源のストリーミングもバリバリ愛用していますが、ネットラジオの気楽さこそは、程よく品質のよいスピーカーによって、音楽をより日常に添った形で楽しめる最高のツールだと感じられた次第。
白いRCD-N12と白&オークの色合いが素敵な603 S3の組み合わせ、選んだワタシ最高! と思っています。リビング・オーディオをお考えの方にぜひおすすめしたいです。
飯田有抄 プロフィール
東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。音楽専門雑誌、書籍、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジンなどの執筆・翻訳のほか、音楽イベントでの司会、演奏、プレトーク、セミナー講師の仕事に従事。NHKのTV番組「ららら♪クラシック」やNHK-FM「あなたの知らない作曲家たち」に出演。書籍に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」(共著、音楽之友社)、「ようこそ!トイピアノの世界へ〜世界のトイピアノ入門ガイドブック」(カワイ出版)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。