2023東京インターナショナルオーディオショウレポート
2023年11月3日〜5日の3日間、国内外のブランドが一堂に集うHi-Fiオーディオの祭典「2023東京インターナショナルオーディオショウ」が東京国際フォーラムで開催されました。デノンは今年10月に発売となったばかりのレコードプレーヤーのフラッグシップモデル「DP-3000NE」を中心とした展示・デモを行い、好評を博しました。デノンオフィシャルブログではその様子をレポートします。
今年で40回目を迎える「2023東京インターナショナルオーディオショウ」が東京国際フォーラムで開催されました。国内外あわせて200を超えるブランドが一堂に会し、多くのオーディオファンのみなさまにご来場いただきました。
こちらがデノンのブースです。展示エリアは「デノンレコードプレーヤー50年の軌跡」と題し、デノンが放送機器専用メーカーだった時代に製造された放送局用モデルDN-308Fを筆頭に、DP-5000、DP-3000などの歴史的な名機が展示され、新製品のDP-3000NEに至るまでのデノンのレコードプレーヤーの50年の歴史を知ることができる貴重な展示となりました。
デノンの歴史的銘機DP-3000(左端)、DP-5000(中央)、DN-308F(右端)
最新のフラッグシップモデルDP-3000NE
またデノンは100年以上、蓄音機以来のプレーヤー(再生機器)のメーカーであったことを示す年表も展示されました。
さらに日本コロムビアの「DENON」レーベルから発売された数々の名盤の現物も展示されました。
こちらがデモの様子。レコードプレーヤー「DP-3000NE」やネットワークオーディオプレーヤー「DNP-2000NE」のデモンストレーションが行われました。発売されてまもないDP-3000NEは特に注目度が高く、多くのお客様にご来場いただきました。
デモブースに設置された機器群。DNP-2000NE プレミアムシルバー(上段左端)、DP-3000NE(上段中央)、DNP-2000NE グラファイトシルバー(上段右端)。
日本コロムビアの協力により、このイベントのためにマスターテープから作られたラッカー盤のデモ
DP-3000NEのデモでは数多くのアナログ盤が再生されました。写真は坂本龍一の「千のナイフ」のアナログ盤です。「千のナイフ」は日本コロムビアから発売されましたが、今回、日本コロムビアのご厚意でこのデモのためにマスターテープから新たにラッカー盤を製作していただき、レコード盤とラッカー盤の聴き比べも行われました。これはまさにデノンブースでしか聴けない貴重なデモンストレーションです。(編集部IはDP-3000NEで再生されたラッカー盤の音質の素晴らしさに度肝を抜かれました!)
坂本龍一の「千のナイフ」のマスターテープからカットされたラッカー盤
クラシック音楽ファシリテーター飯田有抄さんによるクラシックの名演奏のアナログ盤のデモ
デノンのデモブースで特に多くのお客様が詰めかけたのが、デノンブログでもお馴染み、クラシック音楽ファシリテーター飯田有抄さんによるDP-3000NEのデモでした。
クラシック音楽ファシリテーター飯田有抄さん
飯田さんは様々なレコードを、素敵な解説とともにDP-3000NEで試聴させてくれました。
たとえばこちらは2022年に出たばかりのアレクサンドル・タローによる「ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲」。
ラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲は、戦争で左手を失ったピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタインのためにラヴェルが書いた曲であること、そしてそのピアニストのヴィトゲンシュタインの弟が、西洋哲学史にその名を残すルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタインであることなど(ビックリ)のエピソードを聞かせてくださいました。
こちらはヴィキングル・オラフソン(ピアノ)による「モーツァルト&コンテンポラリーズ」。このアルバムからはモーツァルトのピアノソナタ第14番 ハ短調 K.457 第一楽章を試聴。アイスランド出身のピアニストだそうですが、透明なレコード盤となっています。音楽サブスクリプションサービスでのリスニングが主流となり音源を自分で持つことが少なくなってきた昨今ですが、アナログレコードで音源を「所有すること」の楽しさについても飯田さんは熱弁してくださいました。
またアナログレコードには音質などとは別に歴史的なドキュメントとしての側面もあることも言及されました。その一例として、チェロの歴史的巨匠であるパブロ・カザルスがホワイトハウスで演奏したモノラルのレコードは、カートリッジをモノラル専用MCカートリッジ「DL-102」に交換して再生。モノラル専用カートリッジならではの太く豊かな音で、演奏しながら漏れるカザルスのうめきに近い声や、ホールとは異なるホワイトハウスの室内の響き、なによりケネディ大統領などのホワイトハウスの観客の熱い拍手などが克明に再生され、その場の空気感までもが音源に収録されていることがよくわかりました。これぞまさに歴史の記録。素晴らしい音源の試聴でした。
飯田有抄さんによるデノンブログのエントリー
「モノラル・カートリッジDL-102でモノラル・レコードを聴こう!」
もぜひご覧ください。
というわけでTIAS2023デノンブースのレポートはここまで。
次回はTIAS2023デノンブースで行われた、デノンのサウンドマスター山内慎一による「山内セレクション@東京インターナショナルオーディオショウ2023」の様子をレポートします。そちらもお楽しみに!
(編集部I)