ハイコストパフォーマンスと高音質を実現したデノンのエントリーAVアンプ「AVR-X1700H」登場!
デノンから2021年11月下旬にエントリークラスながら高音質と多機能を実現した7.2ch AVサラウンドレシーバー「AVR-X1700H」が発売されます。デノンオフィシャルブログではその発表会の様子をレポートします。
エントリークラスながら、8K/60HzやDolby Atmosなどに対応する多機能とデノンのHi-Fiコンポーネントに通じる高音質を実現した7.2ch AVサラウンドレシーバー「AVR-X1700H」が2021年11月19日に発売となります。デノンオフィシャルブログでは「AVR-X1700H」の発表会の様子をレポートします。
デノンAVアンプのフィロソフィーとは
今回の発表会は、主にオーディオ専門誌やオンラインメディアの記者の方々を招いてのプレス向け発表会として開催されたものです。プレゼンテーションはデノンオフィシャルブログでおなじみの国内営業本部 営業企画室の田中が担当しました。
田中:今日ご紹介させていただくのは、7.2ch対応のAVR-X1700Hというモデルです。デノンのAVアンプでは末弟に近いモデルで、Dolby Atmosなどの3Dサラウンドの機能を備えたAVアンプとしてはエントリーモデルとなります。
ディーアンドエムホールディングス 国内営業本部 営業企画室 田中
田中:最初にデノンのAVアンプの考え方、哲学についてご紹介させていただきます。デノンのAVアンプのコンセプトは「最高の技術で最高のマルチチャンネルサラウンドを」ということです。ご存知の通り現在マルチチャンネルのコンテンツは映画のみならず、ゲーム、音楽配信など多様なコンテンツが出てきています。この多様なコンテンツをご自宅で高音質で楽しむ。それが現代のホームシアターの定義だと考えています。
そんな中で我々がまず大切にしていることは「ワールド・ファースト」、つまり最新のAV規格にいち早く対応するということです。AVアンプの世界は次々に新しい音声フォーマットや規格が登場します。これらに世界で一番初めに対応する。これはデノンの技術力を示すことでもありますが、それよりも大切にしているのは、お客様に「このモデルは新しい規格に対応しているのだろうか?」と心配させないことです。デノンのAVアンプであれば、最新規格が出ても安心だと思っていただけるように、スピード感を持って開発に取り組んでいます。
AVR-X1700H発表会資料より
田中:その次は「ストレートデコード」です。昨今のマルチチャンネルコンテンツは以前と比べると格段に音質が良くなっています。それらの作品に対して我々の側で手を加えるのは製作者の意図とは反するのではないか、というのがデノンのスタンスです。ですからコンテンツに記録された音声データをそのまま、何も加工することなく再現するのがベストだと考えています。それがストレートデコードです。
最後の一つは「フォー・オール・カスタマーズ」。いろいろなものネットワークでつながれることで、さまざまなコンテンツを楽しむことができます。しかしながら、使い方が難しければその豊富なコンテンツは限られた人だけのものになってしまいます。ですから、誰が使っても簡単につながること、そして使いやすいこと、この二つを追求しています。これらがデノンのAVアンプに対する考え方、プライオリティになります。デノンのAVアンプは、ありがたいことにGfKデータで4年連続ブランド総合シェア1位の評価をいただいております。使い方はほとんどがマルチチャンネルであり、まさにAVアンプの王道的な使われ方をしていると思います。
AVR-X1700Hはエントリーモデルながら最新規格に対応
田中:そんなデノンAVアンプの哲学を踏まえつつ、今回登場するAVR-X1700Hをご紹介させてください。
AVR-X1700Hのコンセプトは、ずばり「最強のエントリーAVアンプ」です。まず機能面ですが、エントリーモデルながら8K/60Hzと4K/120Hzまでの映像信号に対応するHDMI入出力を装備しています。しかも「Variable Refresh Rate」(VRR)、「Quick Media Switching」(QMS)、「Quick Frame Transport」(QFT)などゲームなどがより楽しめる最新の規格にも対応しています。
AVR-X1700H発表会資料より
田中:オーディオフォーマットは、Dolby Atmos、DTS:X、MPEG-4 AAC(5.1ch)にも対応しています。MPEG-4 AACは日本の新4K8K衛星放送で採用されている音声フォーマットであり、日本のユーザーからのニーズがとても高いのでデノンはエントリーモデルから対応しております。またハイトスピーカーやサラウンドスピーカーを使っていない環境でも、3Dサラウンドの臨場感が楽しめるDolby Atmos Height VirtualizerやDTS Virtual:Xなどのバーチャルサラウンド技術にも対応しています。
サウンドマスター山内による徹底的なサウンドチューニングで高音質を実現
田中:ここからは最も重要なサウンドクオリティについてです。
実は、AVアンプの開発プロセスに変更がありまして、AVR-X1700H以降のAVアンプの開発においては、音質設計のごく初期の段階からデノンのサウンドマスターである山内が関わることになりました。それによってデノンのサウンドフィロソフィーである「Vivid & Spacious」、つまり鮮明でシャープな音像と透明度が高く広々と展開する音場再生を目指し、より深く踏み込んだグレードアップが施されました。ここでは、そのために何をしたのかを具体的にご紹介します。一つ目は、山内ならではのポイントですが「パワートランジスタの共同開発」です。これは新たに開発するトランジスタについて、デバイスメーカーに山内自らが要望を出し、トランジスタ内部のパターニングなどにもカスタムしたパワートランジスタを作りました。そして二つ目は、デジタル電源回路の基板を一新し、コンデンサーも山内が厳選したエルナー社製の高音質パーツに変更しています。これらによって広い空間表現を伴う高純度なサウンド、つまり「Vivid & Spacious」なサウンドにさらに磨きをかけることができました。
田中:信号ラインの出力インピーダンスの低減やミニマムシグナルパス、つまり信号経路の最短化は、デノンが常々心がけていることですが、今回はそこをさらにブラッシュアップしています。またカスタムコンデンサーやカスタムトランスなども十分に余裕のある大型のものを採用しています。また、大きな特長として、フラッグシップモデルから継承したボリュームIC、入力セレクターIC、出力セレクターICが挙げられます。以前採用していた一体型のボリュームICには入力、出力セレクター機能が搭載されていましたが、信号経路が複雑化してしまう問題がありました。そこで、それぞれに単機能のものを採用することによって信号経路を最短化し、理想的な信号の流れとなる回路設計を実現しました。またDSPについても32bitクアッドコアDSPを搭載し、処理能力を上げてゆとりを持たせました。D/Aコンバータについては薄膜抵抗を採用することでDACの性能を最大限に引き出しています。
AVR-X1700H発表会資料より
田中:ここまで音質向上のためのポイントを箇条書的にご紹介してきました。ですがこれはごく一部の代表的なものをピックアップしただけで、実際には合計100点に及ぶ大小様々なパーツ変更を行っています。もちろんただパーツを交換しただけではありません。パーツ交換をすれば音は変わるのですが、一部が良くなったと思ったら、同時に全体としての音のバランスが崩れてしまうことがあります。このような副作用もきちんとコントロールした上で、トータルでバランスの整ったサウンドに仕上がりました。このあたりはまさに山内の腕の見せ所だったと思います。
それからもう一つ、緩衝材などの細かい部分について。緩衝材が必要な部分は素材、長さ、あるいはビスの素材や締めるトルクなどを吟味し、緩衝材が不要な部分は大胆に取り外すなど、細かな部分も徹底的に見直しています。ワイヤリングなどに関しても後ろを回すよりも前から回した方が音が良い、などといった細部に渡る部分にも手間と時間を惜しまず、徹底的に吟味してよりよい音を追求しました。
ステレオ音源からマルチチャンネル音源まで多彩なソースでAVR-X1700Hのサウンドを試聴
AVR-X1700H発表会の後半は音源を鳴らしての試聴となりました。ここからはデノンサウンドマスター山内慎一がAVR-X1700Hの音質の特徴を解説しながら曲を再生していきました。
デノンサウンドマスター山内慎一
山内:ではまずステレオの音源でAVR-X1700Hの音を試聴していただきます。フォープレイの90年代のデビューアルバムから、タイトルも「Fourplay」というフュージョン系のインストゥルメントの曲をお聴きください。私がAVR-X1700Hのサウンドチューニングをしているときにいつも考えたのは「シャープな音像」ということでした。そのあたりを注目してご試聴いただければと思います。
アーティスト名:Fourplay
タイトル:Fourplay
田中:(AVR-X1600HとAVR-X1700Hを比較試聴)いま聴いていただいた通り、AVR-X1600Hもなかなか侮れない音ですが、AVR-X1700Hではさらに山内がチューンしたことで、ここまで音が変わったのだということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
山内:では次にレベッカ・ピジョンの「SPANISH HARLEM」を聴いてください。
アーティスト名:Rebecca Pidgeon
タイトル:The Raven
●(記者より)AVR-X1600Hと比べて、微小信号がすごくよく出ている印象があります。それらはシャーシの精度の高さによって実現できることだと思います。今回筐体設計についてはあまり説明では触れられませんでしたが、そのあたりはいかがでしょうか。
山内:ご質問ありがとうございます。シャーシそのものはAVR-X1600Hと全く同じなのですが、例えばヒートシンクをシャーシに固定するネジを換えたりすることで、微小音源の再現性は良くなってきたのだと思います。また田中の説明にもありましたが、今まで緩衝材が何カ所かで使われていましたが、AVR-X1700Hでは可能な限り緩衝材を外しています。
山内:ではここからはマルチチャンネルのソフトをご試聴ください。最初はジョン・ウィリアムズの「ライヴ・イン・ウィーン」です。セッティングは5.2.2chです。
タイトル:ジョン・ウィリアムズ ライヴ・イン・ウィーン [Blu-Ray]
山内:AVアンプのサウンドチューニングの手順としては、まず2チャンネルから音を作ります。先ほどご試聴いただいたように、まず2チャンネルの音源で空間性がうまく表現できるようになれば、自ずとマルチチャンネル音源を再生した時も空間がやっぱり広がってきます。いわば会場が大きくなったような表現ができるというところがマルチチャンネルの面白い点だと思います。
では次は映画コンテンツをご視聴ください。「フォードvsフェラーリ」 のレースシーンをお聴きいただきます。
山内:このレースシーンは映像として観ていてもとても楽しいのですが、音声トラックも素晴らしく、車のエンジンの音と背景の音の重なり方などを楽しんでいただけたかと思います。
では最後に、ちょっと古いソフトになるんですけど、ジョージ・ハリスンの追悼コンサートの中から。Blu-ray作品ですが、ライブ感というか臨場感が非常によう楽しめるアルバムです。その中から、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが「タックスマン」というビートルズの曲を演奏しますが、原曲をかなり忠実に再現しています。特にリズムのキレを楽しんでもらえればと思います。
田中:この曲で試聴は終了とさせていただきます。
デノン試聴室でHi-Fiコンポーネントに通じる高音質を実証した7.2ch AVサラウンドレシーバーAVR-X1700H。発表会終了後も記者からの質問が絶えませんでした。デノンサウンドマスター山内が徹底的に練り上げたサウンドを、ぜお近くのオーディオショップなどでお確かめください。
編集部I