AVR-X2600H&AVR-X1600H新製品発表会レポート
2019年5月15日に、ディーアンドエムホールディングス本社にてデノンの新しいAVサラウンドレシーバー「AVR-X2600H」「AVR-X1600H」の新製品発表会が行われました。デノンオフィシャルブログではプレス関係者しか入ることのできなかった発表会の様子を特別にレポートします。
今回発表された「AVR-X1600H」「AVR-X2600H」はいずれもAVR-X2500H、AVR-X1500Hの後継モデルです。発表会は、ディーアンドエムホールディングス川崎本社のデノン試聴室において、オーディオ専門誌、音響専門誌などのプレス関係者を集めて開催されました。
↑デノン試聴室でのプレゼンテーションの様子
↑製品のプレゼンテーションは国内営業本部 営業企画室 田中が担当
発表会ではまず、2019年のデノンAVレシーバーの概要が説明されました。今年度のテーマには「Dolby Atmos Height Virtualizer」や「eARC」など最新のAVフォーマットへの対応、ネットワーク機能の強化、ユーザビリティの向上、ダビングステージの音の再現などが挙げられました。今回発表されたAVR-X1600H、AVR-X2600Hは、「Dolby Atmos Height Virtualizer」や「eARC(Enhanced Audio Return Channel)」などの最新のAVフォーマットに対応し、音質面もさらに磨き上げられました。
↑AVR-X2600H、AVR-X1600H発表会資料より
Dolby Atmos Height Virtualizer※、eARCへの対応
AVR-X2600H、AVR-X1600Hはともに7.2chに対応しており、Dolby AtmosやDTS:Xなどの5.2.2chが設定でき、高さ方向のスピーカーを使用するイマーシブオーディオ環境が構築可能です。とはいえ、家庭で天井にスピーカーを設置するのはなかなか難しい、という方も多いのではないでしょうか。そこで便利な機能が、今回新たに搭載された「Dolby Atmos Height Virtualizer」。ハイトスピーカーやサラウンドスピーカーが無くても、仮想的にリスナーの左右、後方、上下方向を含めた3Dサウンドの再生を可能にする技術です。
※ファームウェア・アップデートによる対応を予定しています。アップデートの実施時期については別途お知らせいたします。
またeARCはテレビからAVアンプへの非圧縮の5.1chや7.1chのオーディオ信号やDolby Atmos / DTS:Xのオブジェクトベースオーディオ信号の伝送に対応する機能で、テレビの機能で受信したサラウンドの音声信号をそのままAVR-X1600H、AVR-X2600HにHDMIケーブル経由で送出でき、高音質でのサラウンド再生を可能にします。4K放送の開始やストリーミングサービスの普及を機に、テレビの買い替えが進むいま、Dolby Atmos 対応の動画配信サービスであるAmazon プライムビデオやNetFlixが見られるテレビを購入した人には必須の機能ではないでしょうか。
Bluetooth送信機能など使いやすさも進化※
AVR-X2600H、AVR-X1600Hは使いやすさの面でも進化しています。たとえばBluetoothは今までスマホなどから音楽を受信して再生するだけでしたが、AVR-X2600H、AVR-X1600HはBluetoothの送信機能も搭載。深夜にワイヤレスヘッドホンを使って映画を見る、などの用途に対応します。さらにAVレシーバーに接続したスピーカーとワイヤレスヘッドホンの同時再生も可能となっており、スピーカーは小さめの音量とし、ヘッドホンの再生音だけを大きい音量にする、といった使い方もできるようになりました。
※ファームウェア・アップデートによる対応を予定しています。アップデートの実施時期については別途お知らせいたします。
↑AVR-X2600H、AVR-X1600H発表会資料より
ダビングステージの再現のため、さらに磨き上げられた音質
そして肝心の音質ですが、こちらはデノンのAVアンプのサウンドコンセプトである「すべてはダビングステージの音の再現のために」を目指して徹底的に磨き抜かれています。ちなみにダビングステージとは、映像作品の音声の録音や仕上げを行うスタジオのこと。つまりダビングステージの音の再現とは、コンテンツの制作者が意図したとおりの音、制作現場でモニターされているサウンドをそのまま再現する、という意味です。「AVR-X2600H」「AVR-X1600H」はより高品位な音質を追求するために、様々な点でハイグレードモデルである 「AVC-X8500H」「AVC-X6500H」からの技術を継承しつつ、基本性能のチューニングアップが行われています。
↑AVR-X2600H、AVR-X1600H発表会資料より
↑発表会で展示されたAVR-X2600Hの内部
↑発表会で展示されたAVR-X2600Hのデジタル基板
サウンドマネージャー山内によるAVR-X2600Hのサウンドデモ
サウンド面に関してプレゼンテーションはデノンのサウンドマネージャーである山内が担当。「AVアンプは毎年モデルチェンジしますが、2019年モデルのサウンドの特徴は見通しがよくて、分解能が全体的に上がり、透明感がある音だと言えます」とコメント。サウンドデモでは、まずアナログ接続されたSACDプレーヤーでSACDを再生し、2chステレオでAVR-X2600Hの基本的なサウンドクオリティを確認しました。
↑音質面のプレゼンテーションはサウンドマネージャー山内が行った
その後は映像コンテンツを5.2.2チャンネルで再生。ミュージカル映画の歌唱シーン、そして音のリアリティや臨場感を感じさせる戦争映画、さらにサウンド効果を多用したアクションものなどを再生し、エントリーグレードとは思えない厚みのあるサウンドを披露しました。
↑試聴室の様子。フロントスピーカーの左右にはB&D 802 D3、センタースピーカーにはHTM2 D3を使用
↑リアに設置された804 D3、天井のスピーカーは試聴室に埋め込まれているシーリングスピーカーを使用
サウンドマネージャー山内ミニインタビュー
発表会の後に、サウンドマネージャーの山内にAVR-X2600H、AVR-X1600Hについて話を聞きました。
●「AVR-X2600H」「AVR-X1600H」の音質についてきかせてください。
山内:今回は先代のモデルからフォーマット上の変更が少なかったので、その分開発としては音に注力できたバージョンアップとなりました。特に今回のモデルは、例年よりも音質的な向上は大きかったと思います。
●音質面での進化について、あえて言葉で表現するとどのようなイメージでしょうか。
山内:クリアさの向上、つまり付帯音がなく、音の純度が上がった、ということになると思います。
●AVアンプのようなマルチチャンネルの映画の音と、Hi-Fiの2チャンネルでは目指す音の方向性は違いますか。
山内:基本として「いい音」へのアプローチは同じです。ただAVアンプのサウンドチューニングでは2チャンネルで聴いてみてはじめてわかる課題もあるし、マルチチャンネルで聴いてみてはじめて分かる課題もありますから、両方でやる必要があります。そこが大変ですね。
実際には2チャンネルでまず音を固め、それを他のチャンネルにも合わせていき、最終的に全てのチャンネルで同一のクオリティに仕上げていく、というのがデノンの基本的なAVアンプのチューニング方法です。そして全チャンネルでアンプを同一クオリティに仕上げることが、最終的にダビングステージの再現につながっていきます。
●ご多忙中お時間いただきありがとうございました。
(編集部I)